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 袈裟丸山郡界尾根/シャクナゲ

6月の袈裟丸山はシャクナゲの花に彩られます
 

5月に入ると後袈裟丸山一帯はアカヤシオ、ミツバツツジ、シロヤシオ、ヤマツツジと次々にバトンタッチしながら一年のうちでもっともあでやかな季節となります。そして6月、シャクナゲが開花する頃になると頂稜部の鬱蒼とした針葉樹林が妖艶とさえいえる景観を見せてくれます。
とりわけ郡界尾根の後袈裟頂上直下と前袈裟北側頂上直下の群落は規模も大きく満開の時季にその花のトンネルを歩けば必ずや忘れえぬ山旅となるはずです。
また、この季節、八反張りコルにはサクラソウの一種、ユキワリソウを見ることができます。余所ではなかなか会えない花ですがここでは大群落を作って咲き競っています。郡界尾根から後袈裟丸往復のハイカーも、ぜひともちょっと足を延ばして八反張りコルまで降りこの群落を見て頂きたいものです。

すでに郡界尾根のページがありますが、このシャクナゲの季節にはツツジの頃とはまた違った魅力がありますので、シャクナゲモード袈裟丸郡界尾根のページを新たにUPしました。

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袈裟丸山下の滝沢左岸尾根
袈裟丸山オオノ沢左岸岩稜
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二子山

【日程】 2003年6月8日 
【山域】 足尾
【地図】 1/25000袈裟丸山
【アクセス】 国道122号を小中で左折。小中大滝の分岐を左に。旧ヘリポートを経て登山口。
【駐車地】 登山口路肩に広場(数台)
ここが満車なら手前のカーブ地点まで戻ればここにも数台分
または登山口の先に2カ所、それぞれ数台分
(写真は登山口先最初の駐車地)
【コース】 登山口 - 八重樺原 - 石神様 - 後袈裟丸山 - 八反張りコル−前袈裟丸山−小丸山(捲き道)−弓の手コース
実行程約6時間 健脚向き

  八重樺原から後袈裟山頂

アズマシャクナゲ(拡大)

アズマシャクナゲ群落・郡界尾根(拡大)

【メモ】 6月も2週目となればヤシオツツジもおしまい:
6月初めに登れば、標高の高いところではまだシロヤシオが元気に咲いていて、八重樺原先の針葉樹林内の群落ではアズマシャクナゲが満開です。しかしその時期、郡界尾根上部のシャクナゲ大群落はまだ開花が始まったばかりでそれほどの艶やかさはありません。
今回は6月8日、この大群落の満開を見ようというものです。
登山口から八重樺原までの急登はすでに緑が濃く、5月にはミツバツツジの咲き乱れる道もすっかり花も終わっていました。道ばたにはギンリョウソウの花がいくつも見られました。

緑濃い八重樺原
八重樺原はいつ来てもよいところです:
シロヤシオ(拡大)
八重樺原はすっかり濃い緑に包まれて、すでに春の明るい雰囲気はありませんが、この深い緑の景観もまた魅力です。
樹林が切れるとこれからたどる前袈裟、後袈裟が一望できる笹原になりますが、あれに登るのかといささかうんざりさせられる大きさ、遠さです。
広闊な笹原を過ぎて八重樺原を背にして穏やかな登降を繰り返すと針葉樹林内の最初のシャクナゲ群落に出会います。5月末にはあたりのシロヤシオと競演するのですが、すでにのんびり屋の花がいくつか見られる程度でした。
全体さしたる急登もなくダラダラと距離を稼ぐばかりの登山道ですが、最後の主尾根に登る樹林帯でだけは大汗をかかせられます。しかしそれもわずかで主尾根にたどりついて右に折れるといきなりシャクナゲ群落に迎えられます。

頂上直下はまさにシャクナゲ道:
樹林のシャクナゲ
(拡大)

ここの群落はなぜか登山道脇にだけ広がっていて、樹林を透かして見ても奥の方まで広がっていることもないようです。頂稜部の地質と気象が生育に適しているのでしょうか。まあ、我々には視界の範囲さえ咲いてくれればそれで満足なのですが。
頂上まで艶やかな花の道が続き、カメラのシャッターばかり忙しく足がさっぱり進みません。あたりは薄暗いコメツガ樹林ですがこの季節ばかりはぱっと明るく華やいだ景観になります。
足下にはミツバオウレンの白い花が多く、草本の花の少ない袈裟丸山群にあってこの花はこの山の一つの特徴といっていいかもしれません。

さらにもう一つの目的、八反張りコルのユキワリソウ:
ユキワリソウ(拡大)

ユキワリソウ
(拡大)
後袈裟頂上についてビックリ。昨年まで樹林に囲まれた地味な頂上でしたが、展望を得るためかあたりはばっさり。それもなんだか中途半端で、木は切ったものの素晴らしい展望が得られたわけでもなく、ただ切りっぱなしの木がだらしなくうち捨てられて無惨です。展望がなければないで、その深山の雰囲気がまたこの山の良さだったのですが、余計なお世話というほかありません。おまけにいまだに八反張りコル通過禁止の立て札がそのまま。
頂上北側、わずかに奥袈裟方面に分け入るとそこにもアズマシャクナゲ群落があります。先ほどの群落より数日花期が早い印象です。さらに群落の先へ進むと中袈裟、奥袈裟の展望が得られる地点がありますので、ここまでは行ってみたいものです。
小休止していよいよ八反張りコルへの急下降。登り返しが思いやられる急峻さです。
やがて八反張りコルが足の下に見えると右に断崖が現れます。眼を凝らすとピンクの花びらが風に揺れています。コル手前でその群落脇に出ますので間近にカメラに収めることができます。
ユキワリソウ群落
(拡大)
それにしてもなんて可憐な花。このか弱そうな姿でよくぞこんな厳しい環境で生き抜いているものです。
(一般にオオミスミソウを雪割草と呼んでいますが、本来和名のユキワリソウは本種です。またオオミスミソウと区別するためユキワリコザクラと呼び分けている向きもありますがこれは北海道、東北に固有の別種です。
なお、八反張りコルにわずかに混生している白花種をシロバナユキワリソウというそうです。いずれも日本固有種だそうで、分布はかなり限定的で飛び離れて点在しているらしいです。
私事ですが、何も予備知識なしにここの群落に最初に出会ったときの驚きといったら。)

下山もまた楽し:
八反張りコルから見下ろす郡界尾根は長大で八重樺原がずっと遠くに見えます。あそこまで帰るのかと思うとうんざり。
前袈裟、賽の河原を経て弓の手折場口まで縦走する仲間と別れて、私だけはクルマの回収に往路を戻りました。
同じ道と言っても登りと降りでは景色もまた違います。のんびりと八重樺原まで花や緑を楽しみながら高原散歩。

袈裟丸山花暦:
なお、縦走した仲間の話では前袈裟北のシャクナゲ群落はすでに満開を過ぎでややくたびれ気味だったとか。
全体的に開花の時期を大まかに並べてみると
アカヤシオ
4月末、5月初め 弓の手登山口周辺
5月上中旬 ツツジ平、賽の河原、郡界尾根
5月中下旬 ロボット雨量計、小丸山
ミツバツツジ
5月中旬 弓の手登山口周辺
5月下旬 ツツジ平、郡界尾根
シロヤシオ
5月中下旬 弓の手上部、八重樺原先、塔ノ沢避難小屋〜賽の河原
5月下旬 郡界尾根
アズマシャクナゲ
5月下旬 八重樺原先、小丸山先
6月始め 前袈裟、後袈裟北
6月初旬 郡界後袈裟直下

【収穫】(^^; 800g 186片 うち、タバコ吸い殻18片
他にPPテープ22本をはずしました。