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   袈裟丸山バラ沢峠尾根

バラ沢峠から賽の河原へとひたすら登るツツジの尾根
弓の手コースの途中から右頭上を見上げるとアカヤシオのピンクに彩られた2つのピークを望むことができます。なんという密度のアカヤシオ。これは行かずばなるまい。
このピークは地形図を見るとバラ沢峠から突き上げる尾根が高度を上げながら登りきったピークで、前々から入山点をチェックしていたのですが、やはりバラ沢峠から登るのがお作法というものです。この尾根にもかつては道があったようで、1/25000地形図には尾根通しに破線がきっちり描かれています。また、岡田敏夫氏著「足尾山塊の山」には賽の河原からバラ沢峠を経て神戸山へ縦走した紀行があり、さして苦労なさった様子もなく、明瞭な踏み跡があるとの記述もあります。とはいえ昭和61年の記録ですので今もそのままということは考えられません。藪山をたどる覚悟をしてバラ沢峠に車を停めました。
バラ沢峠から尾根に取り付くとかつての作業道が廃道となっていて現れたり消えたりしながらどうにか続いています。今は鹿が道の維持をしてくれているようで、道跡には鹿の足跡がたくさんついています。何度も鹿が前方を横切って行きました。行程の前半はミツバツツジとシロヤシオがちょうど満開でさながら花の海に沈んだよう。たった一人の山行がなんとももったいない気がしました。後半はシロヤシオはまだ蕾、ミツバツツジも半ば蕾で少し寂しくなりましたが、代わりに芝草の尾根や笹尾根となって魅力的な景観でした。
登り着いたなだらかな頂上部はアカヤシオ純林で、なるほどこれが下から見上げたピンクの山肌かと納得しました。ほとんどの花が終わっていましたが、これが満開の様はいかばかりかと、残念でなりません。おそらく袈裟丸山群のなかでここほどの群落はないと思われます。また花の当たり年にこの山頂で夢見心地になってみたいものです。
この尾根は伐採地を別にすれば現在はまったく野生の領域です。案内板、山名板、目印テープなど一切ありません。ぜひともこの類の独りよがりな痕跡物を残さないようお願いしたいものです。

(一般ハイキングコースではありません。)

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二子山

【日程】 2005年5月22日
【山域】 足尾
【天候】 晴れ
【地図】 1/25000袈裟丸山
【アクセス】 群馬側から国道122号足尾方向に草木ダムの先、沢入で寝釈迦の案内に従って左折。途中塔ノ沢コース分岐を見送り、鉄塔のあるバラ沢峠が入山点。
【駐車地】 峠に2,3台。鉄塔前の柵のある広場が開放されていれば10台ほど停められますが、少人数で出かけて野生とふれあって欲しいコースです。
【コース】 バラ沢峠 - 伐採地 − 南のピーク − 北のピーク − ツツジ平下 − 賽の河原 − 笹斜面 − 折場口
− バラ沢峠
実行程約4.5時間 ベテラン向き


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 1.シロヤシオ 2.トウゴクミツバツツジ
 3.岩尾根  4.芝草の尾根
 5.岩のピーク   6.笹尾根 

【メモ】 バラ沢峠の入山点:
バラ沢沿いの車道を上ってきて送電鉄塔のある峠がバラ沢峠です。峠の先で林道から尾根に向かって鹿の通り道が登っていますのでここを入山点としました。
尾根通しにかすかな踏み跡もありますが、左にしっかりした山腹道の跡があったのでこれに従いました。やがてその道形も消え、結局尾根に戻り、そこからは消えがちな道形と鹿道をつないで登ることになります。下草はほとんど気にならず、時折現れる露岩を越えたりつつじの写真を撮ったりとけっこう楽しい道で、未知のコースを歩く緊張感はあまりありません。シロヤシオとトウゴクミツバツツジが満開で尾根全体が明るい雰囲気です。それにしても今年の花つきのすごさ。例年シロヤシオは若葉に負けてあまりぱっとしませんが、今年は全体が真っ白に見えます。ましてや派手な花色のミツバツツジは山全体が紫になったかの印象さえします。そのくらいこの尾根のミツバツツジの数は多いのです。
やがて右隣の1252m点峰を後方下に見るようになると徐々にコメツガも目立つようになり山深い雰囲気も出てきます。林床は芝草が覆いとても幻想的で、周囲は6,7分咲きのミツバツツジの群落、コースの中でももっとも好ましい雰囲気となっています。

呆然、丸裸の斜面:
すっかり丸裸
1252m点峰からの尾根を併せるとすぐに右からもう一つの尾根が上がってきます。どちらかというとそっちが主尾根で尾根にひょっこり顔を出すという感じになります。
ここで呆然。バラ沢峠からずっと手つかずの自然の中を歩いてきたのですが、尾根の反対側はすっかり丸坊主となっていました。アカヤシオの残骸が累々と折り重なっています。林業や治山のことは素人でよくはわかりませんが、一帯は急峻な疎林ですから用材を切り出したとも思えず、たぶん百年の計として植林をするのかもしれません。しかし、ここまですっかり丸坊主ではすでにさらさらと小さな崩壊が始まっています。もし、袈裟丸南面一帯の笹の大斜面の成因がこういうことなら、風に吹かれて気持ちいいなんて言ってる私はかなりオメデタイことになります。どうか笹原になる前に木々が育ってほしいものです。
裸の斜面を見ながら登るのはわずかで、すぐにまた疎林の中の急登となり南のピークに達します。

展望とアカヤシオの笹の頂上:
前袈裟、後袈裟、中袈裟、奥袈裟が一望
この頂上はアカヤシオの灌木に囲まれ、背丈の低いミヤコザサに覆われています。西の向かいの尾根(1549m峰から南西に落ちる尾根)は豪快に岩峰を連ねてこのあたりでは特異な景観です。岩にアカヤシオが取り付いて、満開の時期に眺めたらさぞや美しいことでしょう。
なだらかな頂上にしては展望もそこそこ良くて、とくに安蘇山塊が一望です。
ほぼ平坦な鞍部の先で一登りすると待望の1549m峰、なだらかな一帯は笹に覆われ、西側斜面はアカヤシオが密生して、このあたりが弓の手から見上げた一面ピンクの山肌にあたることがわかります。ここからの展望も意外に広く、袈裟丸山群の全容が一望できます。
一息入れて、さて、下山はどうしようか。ここはツツジ平先の大岩から見上げる位置に当たるので、地形図から読み取れるように東の急斜面にさえ入り込まなければどこをどう進んでもとりあえずは登山道に出られそうです。ツツジ平東の落葉松林もはっきり見えますのでもう安心。とはいえ、これまでとうって変わっていきなり笹が深くなり踏み跡もすっかり消えてしまいました。突然山深くなった感じで鹿が何頭も目の前を横切っていくのが見えました。
笹をかき分けながらだらだらと緩斜面を適当に下って行くとひょっこり大岩の基部に出ました。この大岩は最近展望岩として知られてきたようですが、ここから見上げるアカヤシオ群落がたった今歩いてきた1549m峰というわけです。岩上から放り投げたゴミが散らばっていました。この、バカ者!
ここからはっきりした踏跡を左にわずかでベンチのある草地に飛び出しました。ツツジ平から階段で下った地点に当たります。
ツツジ平の展望台まで行って最後に連山の展望を楽しみましたが、ツツジ平のミツバツツジはまだ蕾も堅く満開には10日ほどは必要なようでした。あとは笹の斜面の西に回って(尾根北のシロヤシオの偵察でしたが、もちろんまだまだ開花には日を要するようです。)笹原を突っ切り弓の手コースから折場口に下り、車道歩き30分のアルバイトで駐車地のバラ沢峠に戻りました。
展望台でお会いした皆さんがクルマで追い越す際に便乗をお誘いいただいたのですが、すぐそこに駐車していますので、と辞退したところ、これが遠い、遠い、乗せていただくのだったと後悔しきり。(^_^; とはいえ、頭上のミツバツツジ、シロヤシオ、ヤマツツジなどを見上げながら歩く林道もまた楽しいものでした。ここを歩くとこの林道が袈裟丸山の端っこではなくまさしく山中深く刻まれていることが判ります。田沢奥山から延びる村界尾根やバラ沢峠から続く神戸山など袈裟丸山群は延々と南にも尾根を張り出して、本当に根張りの大きい壮大な山群であることが実感できます。
【便利帳】 トイレ:折場口
【収穫】(^_^; 27片 260g 全て下山時のものです。