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袈裟丸山郡界尾根コース             
八重樺原から遙かな山頂を望むと袈裟丸山の大きさを実感
八重樺原から振り返る袈裟丸山群
後袈裟 八反張りコル 前袈裟
後袈裟丸山への最短コースです。八重樺原から望む袈裟丸山の大きさには圧倒されます。
私事ですが山歩きを始めて間もない30年ほど前、ある書物で八重樺原を知り、そのあまりの遠さに遙かな山という印象が強烈に刻み込まれて、林道のできた今もここに来る度に足尾の奥深さに感動してしまいます。今は林道を走って手軽に訪れることができるんですけどね。
八重樺原以外には変化に乏しいきらいはありますが、花の時期には標高を上げるにつれてミツバツツジ、シロヤシオ、アカヤシオのツツジ類やアズマシャクナゲの満開を一度に見ることが出来ます。
後袈裟丸山から奥袈裟丸山へと北にたどる尾根は人の姿のない野生の領域です。餅ヶ瀬川源流域の樹林帯を見下ろし笹をかき分けてルートを探しながら登る稜線はこの山域を歩く者にとって珠玉のルートとなるはずです。コルになった古い火口壁を探すとユキワリソウがひっそり花開いています。

1997−5−18
折場口までの長い道のり。アカヤシオの真っ盛りでした。シャクナゲは最初の樹林帯で満開でした。
1999−5−16
雨上がり、偵察のつもりが後袈裟頂上まで。時期的にはぴったりでしたがそもそも花の少ない年でした。
2000−6−4
シャクナゲの大当たり年。郡界尾根頂上直下はさながら花の競演でした。


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前袈裟丸山東南尾根周回
袈裟丸山小中川本流左岸尾根
袈裟丸山下の滝沢左岸尾根
袈裟丸山オオノ沢左岸岩稜
袈裟丸山バラ沢峠尾根
二子山
【日程】 2000年6月4日 (八反張りコルまで)
1999年5月16日(後袈裟まで)
1997年5月18日(折場口まで)
1995年5月28日
【山域】 足尾
【地図】 1/25000袈裟丸山
【アクセス】 国道122号を小中で左折。小中大滝の分岐を左に。旧ヘリポートを経て登山口。
【駐車地】 登山口に駐車広場
【コース】 登山口 - 八重樺原 - 石神様 - 後袈裟丸山 - 中袈裟丸山 - 奥袈裟丸山
実行程約7時間 熟達向き

  静寂の後袈裟山頂

アズマシャクナゲ・郡界尾根(拡大)

【メモ】 アプローチがたいへん:
林道はかなり荒れていました。乗用車で入りましたが出来れば4駆が無難です。林道沿いの新緑の林や渓流はなかなか好ましい景観です。

八重樺原ミズナラ新緑
八重樺原はほんとうによいところです:
シロヤシオ(拡大)
登山口からはいきなり急登を強いられますが、ミツバツツジの花がなぐさめてくれました。またこの斜面はコシアブラが多く帰りに数芽おみやげにしました。約30分弱で待望の八重樺原、小笹とダケカンバとミズナラが絶妙な景観を作っています。ズミも目立ちますので6月には白い花を咲かせるはずです。緩い登りで標高点付近まで達すると右側が小笹の原になって袈裟丸山が大きく前方に現れました。前袈裟の南西斜面はアカヤシオに染まっていました。道はやや下りとなって小笹の中を緩やかに続いています。下りにかかりはじめたあたりの左斜面にはシロヤシオ群落があります。


  ミツバツツジ(拡大)
花の尾根:

アズマシャクナゲ群生(拡大)

さて郡界尾根の登りにかかると次々に花のお出迎えとなりました。最初はミツバツツジのトンネル。アカヤシオもありますが、今はミツバツツジが満開になっている時季ですからすで花も落ちていました。
やがて薄くらい樹林帯に入るとアズマシャクナゲの艶やかな花群が次々と現れます。明るい灌木帯のツツジも艶やかですが暗い樹林にあってこの艶やかさはより印象に残ります。そのうちやや明るい灌木帯になりましたがそこはアカヤシオとシャクナゲの競演、尾根直下のシラビソ樹林帯まで続いていました。

後袈裟から奥袈裟までは深山の雰囲気、これが袈裟丸です:
西に派生する尾根に出ると北側に上州武尊や至仏方面が樹林越しに望めました。程なく後袈裟丸山頂上。周囲を樹林に囲まれて寂しい山頂です。

方向を北にとって藪のかぶる道に入り込むと、そこは深山の雰囲気が濃い野生の尾根となりました。いくつか瘤を越えていきますが、鞍部は一様に八反張りと同じ雰囲気で古い火山質の岩が壁となって東に餅ヶ瀬川源流へと切れ落ちています。
ときたまルートをはずしながらも尾根を忠実にたどって中袈裟を経て奥袈裟まで達したときには充実感いっぱいでした。中袈裟も奥袈裟も樹林の中で展望もなく静寂だけがうれしい頂上でした。ペースを上げすぎたせいで足がつったのでマッサージしながら30分ほど休憩にしましたが、ここの静寂は別格でした。静けさがよそとは違います。周辺何キロかに私1人だけという思いが幸せな気分にさせてくれます。
しばし静寂を楽しんだあとには、奥深い山であるということの証明みたいなうんざりする下山が待っていました。

2000−6−4
八反張りコルのユキワリソウ:
ユキワリソウ(拡大)

後袈裟と前袈裟との間には八反張りと呼ばれるコルが落ち込んでいます。古い袈裟丸火山の爆裂火口壁の一角で、急峻な上に崩れやすい岩質なので登山道からはずれるとかなり危険です。
その急な壁にへばりつくように桜草の一種・ユキワリソウが群生しています。小振りのニホンサクラソウといえばいいでしょうか、小さなピンクの花が魅力です。
登山道脇にあるだけに心ない人に荒らされないかという心配はありますが、ここまで苦労して登ってきた人にはぜひとも見ていただきたいと思います。
【便利帳】 コンビニ:122号東村
トイレ  :なし。大滝で済ましておくことをおすすめ
【寄り道】 道の駅が122号東村にあります。