目次
残馬山 ざんまやま(さん)1107.45m

三境林道から縦走

残馬山は桐生川の支流・忍山川の源流にある三角点峰です。全山樹林に包まれた地味な山でこれといって目立った魅力はあまり見いだせませんがそれだけに静けさを好む向きにはしみじみと歩ける山です。安蘇山塊も山によっては近年ハイカーが増えてけっこう賑やかになりましたが、昔の安蘇山塊を思い起こさせてくれる数少ない山かも知れません。
かつて忍山川を詰めて登り、岳山を経由して周回したことがありましたが、そのときは下山路が見つからずままよと藪覚悟で下った岳山の南の1003m峰の斜面で藪に掴まってひどい目に遭いました。それに懲りて今回は道の確かな三境林道からの往復で歩いてみました。

関連ページ
三境山・たぬき山 http://www.kimurass.co.jp/tanukiyama.htm
三境山西尾根 http://www.kimurass.co.jp/sankyounishione.htm
残馬山・三境山 http://www.kimurass.co.jp/zanmayamasankyousan.htm


         残馬山山頂
           足尾の山々(袈裟丸山、皇海山)
【日程】 2013年4月13日
【山域】 安蘇(桐生川流域)
【天候】 快晴

【アクセス】 桐生最奥の石鴨の先で三境林道へ左折。トンネル先に駐車地。
あるいは草木ダムから三境林道を登ってトンネル手前へ。
桐生側からですと石鴨先で道幅が極端に狭くなり、災害復旧工事中(2013年現在)でもありますのでむしろ草木ダム側からの入山がおすすめです。
【駐車地】
トンネルの草木ダム側出口付近に2台ほど駐車可。駐車地が登山口です。
【コース】
トンネル西駐車地 - 稜線 - 残馬山(往復)

全行程 2.5時間 一般向き
【メモ】
登山口付近のキブシ
三境林道入口は根本山登山駐車地:
桐生川沿いの道をたどって石鴨を過ぎると道幅も狭まり車のすれ違いもしにくくなります。最後に車止めのバーで進入禁止になりますが、その手前が10台ほどの駐車地となっていて根本山方面へのスタート点になります。
車道はそこから左に分岐して三境林道となって稜線目指して登っていきます。
林道は走りやすい舗装道ですがたくさんの落石が路面に転がっていて油断なりません。
林道はぐんぐん高度を上げてトンネルで稜線を越えます。
トンネルの先右側に駐車地がありここが登山口となります。
先客の車が1台駐車してありました。
付近はゴミの投棄が多くあまり気分のよい場所ではありませんが、早春の使者とも言うべきキブシが咲き、足下にはネコノメソウが開花し始めていました。

振り返ると三境山の鋭鋒
稜線にはかつての峠越えの名残の石祠:
登山道は沢筋をたどります。ガレた歩きにくい道ですがすぐにスギやヒノキの植林地となりあっという間に稜線に出ます。
かつての峠道で傍らに崩れた石祠が半ば埋もれています。
数十年前に三境山に登った折、下山にここからの峠道を使った記憶がありますがそのときはしっかりした道でした。途中集落跡(上藤生)などもあり、その昔はかなり歩かれていたものと思われます。しかし、今はその道もすでに消えて道跡さえ認められません。
この石祠は下山時によい目安となります。(もっともマーカーが賑やかなほど付けられていますので石祠をアテにせずともわかります。)

縦走尾根:
ここから尾根道を南にたどります。左(桐生側)はヒノキ植林地、右(草木ダム側)は気持ちのよい雑木林です。山頂までずっとこの色分けが続き、左側に展望はほとんど得られません。対して右側は木の間越しにはなりますが袈裟丸山、皇海山など足尾の山々を右正面に見て、やや後方に日光白根山、男体山、やや南寄りに赤城山などが見えます。遠く白砂山など上越国境尾根や浅間山なども視野のうちです。ただ、葉の落ちた季節のみの展望で緑が濃くなればこの展望も頂上先の展望地まで待たねばなりません。
日溜まりの落葉樹林
途中で先客のハイカーに出会いました。こんな静寂峰で人に会うのは妙にうれしいものでしばらく会話を交わしました。
尾根はいくつか小さな登降を繰り返しますが特に急な登りもなく比較的楽ちんな道です。途中3カ所ほど稜線の大岩に出くわしますが1番目と3番目は右に巻き道がついています。2番目の岩はそのまま直登して越えますが特に危険なことはありません。ちょっとしたやせ尾根もあるにはありますが樹木が生えているため高度感も感じられず難なく通過できます。
途中から先日の雪が残って思わぬ雪道歩きになりました。足早にやってきた春もここへきて少し速度が鈍ったようです。アカヤシオもまだまだつぼみは堅いままです。
なお、この残馬山北斜面は三境山から眺めるとアカヤシオの群落帯で花期には美しく染まります。

皇海山と庚申山
寂しい頂上:
最後の登りで残馬山頂上。三角点といくつかの山名板があるだけの寂しい頂上です。小広い山頂部は雪に覆われていました。南からと北西から道が上がってきています。南からは忍山川奥からの道、北西からは岳山、座間峠方面からの道です。
頂上は樹林に囲まれて展望はありませんがミズナラの大木がいくつかありそれなりに好ましい風情です。
右に折れて岳山方向にわずかに下ると切り開きがあり大展望地になっています。
目の前に足尾の山がどっかと横たわって贅沢な景観が広がっています。袈裟丸山の南面、東面の幾筋もの尾根が手によるように見えます。
ゆっくり展望を楽しんでから去りがたい頂上を後に往路をそのまま戻りました。
駐車地に戻ると先刻のハイカーはまだ下山していませんでしたのできっと三境山やたぬき山方面へ足を延ばしたのかも知れません。確かにこのコースで残馬山だけというのは少々物足りないので、岳山あたりまで足を延ばすか、あるいは山頂からとって返して三境山、たぬき山まで頑張ってみると充実の山行になるはずです。

日光白根山
 

山名について:
三境林道から残馬山方面  どれがどれやら(^_^;
 

最近では一部(と言うよりネット上のブログなどでは多くが)残間山と表記しているケースが見られます。これは日本語入力変換で真っ先に「残間」と変換されたことによるものでしょうか。残馬山が昔からの表記です。
当然ですが、三省堂日本山名辞典でも「残馬山」としてあります。
なお、日本山名辞典ではざんまさん、ざんまやまと2通りの読みを載せています。私は昔、三境山で会った山仕事の方たちが「ざんまやま」と言っていた記憶をもとに「ざんまやま」としました。