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三境山 西尾根 さんきょうさん1088.0m

鹿と熊の足跡のみの野生の領域

残馬山に登った際に三境林道から見上げた尾根が気になりました。きれいな落葉樹林が続いていて、きっと新緑の季節に歩いたら素晴らしいだろうな。
いつかは歩いてみたいと思っていましたが、さっそく同行の仲間を得て意外に早く実現できました。
全山、思っていた通りの美しい落葉樹林帯でした。境界標識はあるものの最近人の入った形跡はまったくなくかつての道跡が所々うっすらと残っているばかりです。真新しい鹿や熊の足跡がたくさんついていました。もちろんマーカーなどいっさいなく、うん、うん、これが安蘇の山の良さだよとうれしい気分で歩くことができました。

(一般ハイキングコースではありません。)

関連ページ:
残馬山 http://www.kimurass.co.jp/zanmayama.htm
三境山・たぬき山 http://www.kimurass.co.jp/tanukiyama.htm
残馬山・三境山 http://www.kimurass.co.jp/zanmayamasankyousan.htm


         三境山頂上
             アカヤシオ(三境山頂上)
【日程】 2002年5月6日
【山域】 安蘇
【天候】 快晴
【地形図】  1/25000 沢入 

【アクセス】 国道122号から草木ダム上を渡り対岸で丁字路を左折、草木湖運動広場前から戻るように右折して三境林道へ。
【駐車地】
入山点を探して付近の路肩に。
【コース】
駐車地 - 入山点 - 取り付き尾根 - 稜線
- 三角形等高線ピーク - 平坦尾根 - 岩斜面
- 三境山登山道 - 三境山 - 下山分岐
- トンネル出口 - 駐車地

約5時間 ベテラン向き
【メモ】
取り付きの尾根を急登
入山点を探す:
もちろん参考になる情報は全くないのであらかじめ地形図をよく読んで、さらにGoogle Earthで尾根の様子を眺めてみました。
尾根を歩こうというのですから林道の横切る尾根突端から入ろうと考えましたが、Google Earthの画像では尾根突端からしばらくはどうやら植林地らしく、あまり面白くなさそうだと判断して少し林道を進んだ先の落葉樹林との林相界を入山点と決めました。
ところがその場所を特定するのがなかなか難しく、どこも林道法面に遮られたり急な沢だったりで取り付けそうなポイントがなかなか見つかりません。林道を行きつ戻りつしたあげくに登れそうな小さな涸れ沢から取り付くことにしました。
荒れた小沢から右手の小尾根に登ろうとしても急斜面で手がかりもないのでかなり上まで沢をたどることになり、やっと手がかりがありそうな斜面になったところでどうにか尾根に取り付くことができました。
しかし尾根に登り着いても急傾斜は変わらず、木の根や小枝を頼りに這い上がるしかありません。さらに直登困難な岩場が何度も現れて右に巻いたり左に巻いたりとほんとうに難儀な登りです。
でもあたりの景観は苦労に充分値する美しさで、下草の少ない落葉樹林は淡い緑に包まれていまが一番の季節です。
(今回の取り付き点は特に分かりやすい目安となる物もありませんが、カーブミラーと短いガードレールがある地点です。地形図を見る限りどこも急傾斜で、どこを取り付き点にしても大差はないのかなと思います。)

ミツバツツジ
主尾根に達すると今までの苦労がうそのよう:
赤松の大木が目立つようになると程なく主稜線に達します。登降も少なく藪もなく歩きやすい尾根で、これなら尾根突端から歩いた方が楽だったかも知れません。ただし、この尾根の様子がそのまま尾根突端まで続いていればの話ですが。
それに取り付き尾根での難儀も山の楽しさの一つではあります。
ルートは一本尾根ですから尾根を外さなければよいだけで特に迷うようなこともありません。少し気をつけなければならないとしたら地形図の等高線が逆三角形になっているピークで左に折れなければならない点とその先のピークで右に折れなければならない点くらいなものです。
樹間には右に残馬山、左にたぬき山(白浜山)を見ることができます。かつての道跡がうっすら残っているうえ、樹林は大きく育っているので藪もなく歩きやすい尾根です。尾根から落ち込む沢は芽吹いたばかりの緑に包まれて輝くばかりです。今が一番いい季節かも知れません。
鹿や熊の目新しい足跡がいくつもあって、この尾根が野生動物の天下だとわかります。
季節の動きが変調気味で、アカヤシオ、ミツバツツジ、ヤマツツジがともに開花していました。
誰にも知られずにこんな素晴らしい尾根があったなんて、ひょんなことから気付くことができたのはラッキーというほかありません。
三境山に登るのも難儀:
三境山直下平坦尾根

尾根歩きは快調で、考えていたよりも難なく三境山を見上げる様な近くまでたどり着くことができました。
いよいよ三境山への登りです。一旦大下りして登り返しますが、ここで少しだけ藪がうるさくなります。それもほんのわずかで、地形図通りの平坦尾根になります。平坦地ではどこを歩けばいいのか迷いますが、ここでは眼前に三境山が立ちはだかっていますからどこを歩いても迷うようなこともありません。
こんな地形の場所では多くは下草や藪が茂って落葉時期は荒れた雰囲気になるものですがここはさっぱりとした樹林の平地で、淡い緑を透かして光が満ちてまるで園地のようです。
予定ではここから三境山頂上へ強引に直登するつもりでしたが、地形図で見る通りの急傾斜で、おまけにずんぐりとした柱状の大岩がいくつも並んで立ちはだかっていてとても登れるものではありません。
地形図では草木の奥から沢筋を登りここの平坦地を通って三境山の南を巻き梅田側の石鴨へと通じている破線があります。もちろん現在では使われていません。当然道形も消えているのですが、わずかに痕跡を見つけることができました。
私たちもこれをたどって回り込むしかありません。もちろん今は歩く人などいませんが、鹿道がこの古道を使っていて(けっこう鹿は横着者で人間の造った道の跡を利用していることが多いようです。)道の消えた場所でも鹿の足跡をたどればまた古道をつなげることができます。
三境山直下大岩帯
ところがそれもほどなく大岩の折り重なる斜面で岩の中に消えてしまいます。ここからは大岩を縫って進み三境山南の尾根道まで回り込むしかありません。
岩質は滑りにくく靴底によく食いつくのですが、安定していない岩も多く気が抜けません。
大岩帯を抜けて尾根道に出れば山頂まではわずかです。
石祠と三角点といくつかの手製山名板があるだけの静かな山頂です。樹林に囲まれて展望はありませんが、落ち着いた雰囲気で休憩するにはよい場所です。
 

林道を戻る:
三境山から南に尾根道をたどり一つピークを越えた先の鞍部から右に下るとすぐに三境林道のトンネル出口に下り立ちます。この鞍部の下降分岐点にはマーカーがいくつも付けられていますので間違えることもなさそうです。この尾根をそのまま進むと残馬山へ達します。三境山山頂で会ったハイカーはそちらへも足を延ばしたようです。
林道周辺の新緑
後はひたすら駐車地に戻るのみですが、約1時間の舗装道歩きは足に堪えます。
とはいえ、つまらないばかりの林道歩きではありません。ツツジの花や新緑を眺めながら歩けばこの季節を充分堪能することができます。
林道沿いにはマムシグサ、ケマンソウ、キケマン、ヤマブキ、ネコノメソウなど春を彩る花々に会えました。


       林道脇のヤマツツジ、ミツバツツジ

       鋭鋒三境山(下山尾根から)
【収穫】
(^_^; 
11片 30g(下山尾根のみ)
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