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突哨山  とっしょうざん 239m

あこがれの突哨山。エゾエンゴサクとカタクリの競演を見てみたい。
前年も出かけたのですが、なんてこった、あろうことかヒグマ出没により入山禁止の憂き目に。
んなくらいのことではめげませんって! 今年は山仲間を引きずり込んで再挑戦です。
これ以上はないというような好天に恵まれ岳望と花の散策でシアワセの北海道にひたってきました。エゾエンゴサク、カタクリに加えてフクジュソウ、エゾイチゲなどのスプリング・エフェメラルと呼ばれる花々が一斉に咲き競う様は北国ならではの景観です。

関連ページ
旭川花巡り http://www.kimurass.co.jp/asahikawaflower.html

      エゾエンゴサク     カタクリ
【日程】 2019年4月21日、22日
【山域】 旭川郊外
【天候】 快晴

【アクセス】 浦臼神社:

道央道奈井江砂川ICからを国道12号に出て戻るように南進、奈井江駅先で右折して石狩川を渡ります。国道274号に出たら右折、鶴沼公園前で左折して狭い路を上がると浦臼神社裏の駐車場。国道沿いの道の駅つるぬまに駐車して歩いて登るのもいいかもしれません。

男山、突哨山:
旭川より国道40号で名寄方面へ。比布トンネル手前で右折すれば男山自然公園、左折すれば突哨山です。(【コース】概念図参照)
【駐車地】

   突哨山駐車場 奥の丘陵が突哨山

浦臼神社、男山、突哨山ともに大きな駐車場があります。
それでも満開時期は満車になるそうですから朝は早めに行動開始。
【コース】
男山:
駐車場遊歩道入口 - 東ルート - 西ルート - 駐車場
全実行程 1時間(のんびり歩き)

突哨山:
突哨山口駐車場 - 突哨山口 - 谷渡り分岐 - 木もれび分岐
- 南折り返し - 稜線分岐 - 谷渡りルート - 谷渡り分岐 - 突哨山口
全実行程 1.5時間(のんびり歩き)
【メモ】
浦臼神社:
浦臼神社

最近全国紙にエゾエンゴサクの中のエゾリスの写真が掲載されてから広く知られるようになった浦臼神社。
高速道を走ってくると石狩川の東にある奈井江砂川ICで出ることになります。浦臼神社のある鶴沼(浦臼町)はICの西方向にありますが行くには石狩川を渡らなければなりません。しかし、日本有数の大河、そうたくさん橋があるわけはありません。国道を函館本線奈井江駅まで戻るように南下してから奈井江大橋を渡ってまた戻るように札沼線(学園都市線)鶴沼駅近くまで大回りさせられます。鶴沼公園の向かい側の丘の上に目指す浦臼神社はあります。狭い道路を上がっていくと牧草地の広がる一角に駐車場があり周囲は公園化されています。
雪解けしたばかりの境内にあるわあるわ、たくさんのエゾエンゴサク、あたりをエメラルド色に染めています。
他にカタクリ、フクジュソウなども花開いています。エゾリスとのツーショットを狙っているのかカメラを構えたアマチュアカメラマンが何人かじっと待っています。最初に撮影した人はグッジョブですがそれが新聞に載っちゃった時点でもういきなり陳腐な構図なんですけどね。(^_^;
ところでこの浦臼神社の最寄り駅は札沼線鶴沼駅ですから公共交通機関で訪れることができるはずです。時刻表を見ると朝6:58に札幌を出て9:11鶴沼駅着、10:17鶴沼駅発上りに乗れば可能です。ところが札沼線鶴沼駅は1日に上り下り各1本(ええぇーっ!)しかないようです。約1時間、急ぎ足で写真数枚撮って帰るのがせいぜいでしょうか。その1本を逃すと函館本線奈井江駅まで8.2kmを歩くしかありません。実際JRを使って来たと覚しき青年を見かけましたが、その青年、石狩川を渡って奈井江駅方向へ歩いて行きました。がんばれーっ。(^_^)

   境内に咲くエゾエンゴサクとカタクリ 

    エゾエンゴサク

大雪山大展望:
車で走っていて周囲を眺めると遠くの山がくっきり見えるのでこれならば大雪山もその輝く姿が見えるに違いない。そう思って予定にはなかった美瑛の丘へ回り道。絶景が待っていました。
真っ白です。大雪山の愛別岳、北鎮岳から始まって主なピークだけでも大雪主峰旭岳、忠別岳、化雲岳、トムラウシ山、 オプタテシケ山、美瑛富士、美瑛岳、十勝岳などがずらっと勢揃い。もうここには10回近く来ているのですがこんな全山そろい踏みを目の当たりにするのは初めての経験です。美瑛の丘もまだ観光客もいない寂しい風景で、北海道に来た感がひしひし。
花も見たし、大雪山も見たし、満足満足。今回の目的は果たしたから帰ろうか。そうはいかない、まだ明日の突哨山が。(^_^;

       大雪山(愛別岳、北鎮岳、旭岳)

    小化雲岳、トムラウシ山

    オプタテシケ山、美瑛富士、十勝岳
ついでに寄り道:

     青い池

せっかく出かけてきた北海道、ついでに寄り道してみました。
まずはネットのおかげでアジア中に知れ渡ってしまった青い池へ。なるほど中国からの旅行者と覚しき若者で賑わっていました。しかし、せっかく遠路はるばる来ていただいている大切なお客様なのに青い池はサイテーの姿を晒していました。以前白樺の平地林だった場所に広い駐車場ができて、歩道工事やレストハウス工事の只中で工事現場を歩かされました。あまつさえやっつけ仕事の仮工事で取り付けたライトアップの照明灯がなんともがさつで、あたりを台無しの景観にしていました。
そもそもこの青い池にライトアップがふさわしいものなのか。だれも異を唱えなかったんでしょうか。
工事中なので仕方ないとはいえ、ちょっと憮然とした気分で一日の行動はおしまい。
夜は旭川で明日お世話になるはずの男山自然公園の所有者男山酒造の清酒「男山」で一杯。(^_^)
翌朝、カタクリは陽を受けて間もないのでまだ開いていないかもしれないと思い塩狩峠に足をのばしました。
三浦綾子記念館や塩狩駅ではまだ周囲は雪に包まれていました。それでも小さな流れの中に早くもエゾノリュウキンカが金の花びらを開いていました。あと半月もすれば周囲は花の園になるはずです。

     塩狩峠 塩狩駅
 
      北へ帰る準備の白鳥の群れ

男山自然公園:
さ、いよいよ今回の目的の男山と突哨山へ。
男山も突哨山もしごくわかりやすい場所にあります。国道40号の比布トンネルの西側が入り口です。男山へは取り付け道路へ進入して少し登ると駐車場がありその一角が遊歩道入り口です。入場料も駐車料もタダで、管理にどれだけ人手や費用が掛かっているかと思い、一同、「男山酒造様々、太っ腹!」
いきなりカタクリとエゾエンゴサクがお出迎えです。そこから延々と群落が続きます。早咲きエリアと遅咲きエリアが示されているので時期によって歩く範囲を決めると良いかもしれません。早咲きエリアはカタクリが満開一歩手前、エゾエンゴサクが満開といったところ。遅咲きエリアではカタクリは芽を出したばかりですが、開花一番手のフクジュソウが満開ですし、谷沿いでは水芭蕉の花を見ることもできます。
笹の刈り込みなど最小限の手入れはしているらしくすっきりした林床は春の花の楽園です。(当の花たちにとっても見る私たちにとっても。)

   カタクリとエゾエンゴサク どこもだいたいは混生しています 

    こちらはフクジュソウとエゾエンゴサク

カタクリとエゾエンゴサクにエゾイチゲも参戦
突哨山:
男山自然公園と突哨山は国道を隔ててあちらとこちらという位置関係です。突哨山全体を分けて、南部分が男山酒造所有地、東部分が比布町有地、西部分が旭川市有地となっています。かつて一帯にゴルフ場計画が持ち上がったとき比布町と旭川市が自然環境保持のため買い上げたとのことです。男山酒造所有地については経緯はわかりませんが、全山一体でカタクリなどの大群落保護地を形成しています。
この国道脇に駐車場があり数十台は駐車可能です。ここから突哨山全体を見渡すことができます。ほんの小さな丘陵でこんなところが日本有数のスプリング・エフェメラルの群生地とは驚きです。
駐車場から舗装道路を300mほど歩くと突哨山の入り口です。この入り口は突哨山口と呼ばれているようです。
他に中央部からのカタクリ広場口、北側からの村上公園口などがあります。それぞれの入り口に近いエリアによって開花時期が異なるため情報をチェックして入り口を選べば効率よく満開の花々を探勝できます。満開ばかりが魅力じゃないよという向きには雪解け直後の咲き始めを狙ったりしても楽しいはずです。
雪解けを追うようにフクジュソウ
突哨山口からは笹の繁茂した落葉樹林の中を登りますが適度に手入れした男山自然公園と違ってカタクリやエゾエンゴサクは笹とのせめぎ合いでいっぱいいっぱいな感じで地を覆い尽くすような群落は少ないようです。自然のままにそれなりに咲いている風情がまた頼もしくか弱そうな春の花もけっこうしぶといなぁという印象です。
木もれび分岐から平坦な道となってのんびり歩けます。このあたりは南斜面なので雪解けも早いらしくカタクリ、エゾエンゴサクが満開です。
やや登って南折り返しから稜線上の平坦路に変わります。雪解けも遅くたくさんのカタクリが芽を出したばかりです。なかにはせっかちなカタクリが雪を押しのけて芽を出しています。こんな場所ではスプリング・エフェメラルで先陣を切るフクジュソウが元気に咲きそろって見事な群落となっています。だんだん雪が多くなったと思った頃に谷渡りルートの分岐に出ます。ここから谷渡りルートで下山にかかります。このあたりから笹が多くなりさすがにしぶといといえどもカタクリもエゾエンゴサクも劣勢をかこって数も少なくなってしまいます。男山と違って自然のままの姿はこうなのだと思うしかありません。
途中スキーリフトの痕跡を2基ほど見かけました。かつてここが小規模なスキー場だったことがわかります。今でこそ自然保全地域として守られていますがかつてはスキー場以外にも放牧地、畑作地などの利用が進んでいたようです。
谷渡りルートから最初のコースに戻りあとはのんびり駐車場まで。充実した2日間を思い返しながら北海道の花旅を終えました。

男山、突哨山の花図鑑(クリックで拡大)

  エゾエンゴサク

  エゾイチゲ

  フキノトウ

  フクジュソウ

  カタクリ

   キバナノアマナ

  ナニワズ

  エゾノリュウキンカ
【便利帳】 コンビニ:永山周辺
トイレ:浦臼神社、男山、突哨山それぞれの駐車場

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