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高山 たかやま 1667.5m

近くのにぎわいポイントをよそに静かな日光を楽しむ

中禅寺湖北岸にあまり目立たないながらちょっとした高みがあって静かな日光を楽しむことができます。山名は高山ですが奥日光の登山対象としてはもっとも標高の低い山です。
9月の日光は夏の花はとっくに終わり紅葉にはまだ早いという寂しい季節となってしまいますが、それでも森の緑は旺盛ですしわずかながら秋の花にも出会えます。天候不順のこの夏の残り滓みたいな雨が前日限りで終わったようなので足慣らしをかねて一巡りしてきました。

関連ページ:高山から中禅寺湖へ

     高山頂上       小滝をいくつも重ねて流れる湯川
【日程】 2014年9月15日
【山域】 奥日光
【天候】 曇り
【地図】 1/25000男体山、中禅寺湖

【アクセス】 東北道から日光宇都宮道路で清滝ICへ。そのまま国道120号でいろは坂、中宮祠を経由して赤沼。
【駐車地】 赤沼駐車場。数十台。
満車になることも多いので早めに。
【コース】
赤沼 - 石楠花橋 - 竜頭の滝上 - 登山口
- 高山 - 無名峠(熊窪分岐) - 幕張峠
- 小田代歩道 - 赤沼

行程 4時間(休憩含む)
【メモ】
にぎわう湯川自然研究路から:
竜頭の滝上部

ハイシーズンはすぐに満車になってしまう赤沼の駐車場ですが端境の季節のせいかまだ余裕がありました。それでも戦場ヶ原を楽しむための中心地ですから軽装の観光客がここからぞろぞろとスタートしていきます。ほとんどは湯川を遡る自然研究路を歩くようで赤沼分岐でそちらのコースを見送るとすっかり静かな歩道となります。
しばらく湯川に沿って平坦な道を進みますが所々で小滝を重ねて豪快に流れる様は戦場ヶ原の縁を流れているゆったりした湯川とはかなり雰囲気が違います。
石楠花橋でバス専用道路に出ます。そのまま道路を横断してさらに湯川沿いをたどり再び観光客の声が聞こえると竜頭の滝上に出ます。竜頭の橋を渡って右に舗装道が登っていきますがここが高山への分岐となっています。
竜頭の橋から見下ろす竜頭の滝は下から見上げる姿とは違ってナメ滝ですが大きく幅を広げてやっぱり壮観です。
竜頭の橋を渡ると右に舗装道が登っていきますがここが高山への分岐となっています。わずかに舗装道を登るとカーブ地点に登山口があります。
樹林の中を登って頂上へ:
樹間から中禅寺湖を見下ろす

高山は全山深い樹林に包まれています。そのため登路途中でも頂上でも展望はほとんど得られず時々樹間に戦場ヶ原や男体山、中禅寺湖などが覗ける程度です。
最初は山裾を回り込むように登山道が刻まれていますが登りにかかるとすぐに電光を切っての急登になります。
高山自体がミニ山脈のような地形なので竜頭の橋あたりから見上げた稜線は山脈の東の端でしかありません。ですから稜線に登り詰めてもそこからだらだらと尾根をたどらなければならず頂上まではかなりの距離があります。とはいえ退屈な尾根歩きではありません。さっぱりときれいな林床の樹林が続き思わず深呼吸したくなるような稜線です。
最後に少し急登をこなし、石楠花が目立つようになると待望の頂上です。小広い平地の真ん中に三角点と大きな山名板があります。いくつかのグループがそこここにお弁当を広げていました。

下山路:
私たちもゆっくり昼食をとってから下山にかかりました。
最初から急な下りになり時々鎖も現れますが、特に危険と言うほどではありません。
この下山路の途中はほぼ純林と言っていいほどの見事なシロヤシオの群落があり花期には清楚な純白に包まれます。
傾斜が緩むと無名峠(熊窪分岐)に下り立ちます。静かな好ましい雰囲気の峠です。
左に下ると中禅寺湖畔の熊窪に下りることができます。そこから千手が浜までは湖畔をたどりそれほどの距離ではありませんのでそちらのコースをとってバスで戻るハイカーが多いようです。
右に下ると小田代ヶ原、戦場ヶ原方面です。
峠付近はゴマナが満開でした。この季節、高山全体、林床がゴマナの花で埋め尽くされる感がします。地味な花ですがこれほどたくさん咲くと見事なものです。この先の下山点の笹の林床との比較でわかることですが、どうやら鹿が笹を食べて笹の密度が薄くなるとゴマナがはびこるようです。鹿は笹は食べてもゴマナは食べないようです。

     無名峠(熊窪分岐)

      峠付近ゴマナ群落
フェンスの効果(右のフェンス内は笹が繁茂)
下山した先に鹿除けのフェンスが張ってありそのフェンスを境にして笹の茂り具合が顕著に異なっていてフェンス内には笹が茂りゴマナはほぼ皆無(あっても群落にはならず単独でぽつんと生育してる程度)です。
人工的に鹿を防御したことで今度は笹が茂りすぎて植生に影響しているわけで、いったいどの程度が本来の自然の状態なのかは判断が難しいようです。当然そのことは研究者はわかっているわけで、このフェンスも調査が終わった時点で撤去する予定だということです。
私たちは自然のままとか簡単に言ってしまいますが、じつに微妙なバランスがかろうじて保たれている不安定な状態が自然ということでしょうか。


ゴマナの林床 ミズナラの森 カツラの大木が1本
下山地:
峠からは少し下っただけですぐに平坦地になります。ミズナラの大木が林立してここが日光かと思うくらい静かで山深い森です。ミズナラがほとんどのその中に見事なカツラの木がありました。
さらに平坦地を進むとシラカバ林になります。最近は広い荒れ地というものが少なくなって荒れ地の象徴のようなシラカバ林を見ることが減りましたがこの一帯は豪雨があると土砂が流れる地形らしくかなりの規模で白樺が広がっています。
シラカバ林にシダの林床

小田代歩道を戻る:
小田代歩道展望台から戦場ヶ原と太郎山

道はまっすぐに平坦地を進み突然バス専用道に飛び出します。左に折れてわずかで幕張峠。切り通しになっていますが峠の感じはありません。
幕張峠の少し先から小田代歩道が分岐しています。小田代ヶ原の端っこがちょっとだけ眺められますがすぐにミズナラと笹の中を坦々と進む道となります。
途中展望台を示す案内板があります。左30mほど先にベンチがあり戦場ヶ原の一角を眺められるようになっています。その先には堂々と太郎山が聳えていました。
あとはただただミズナラの中を赤沼まで戻るだけ。
さすがに自然研究路が近づくと賑やかな声が聞こえてきました。湯川沿いに出てからは観光客の列に混じって赤沼の駐車場まで戻りました。
駐車場からは頭上にのしかかるような男体山が印象的でした。
【収穫】(^_^; 41片90g
【トイレ】  赤沼 

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