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山王山(大山祇神社尾根) さんのうやま 370m

足利インターから山王山まで里山縦走

最近では山王山は寺久保山〜大小山縦走の途中にちょっと足を延ばして付け足しのように登られているようですが、じつは標高からいうとこの山域の最高峰で、端正な山の姿から言ってもこのあたりの盟主に相応しい貫禄を備えています。しかし残念なことに頂上部までヒノキの植林地で展望がなく登山対象としてあまり広くは認知されていません。
かつて(50年ほど前)は南に好展望が得られ広大な関東平野が一望だったのですが樹林の生長では致し方ありません。
こんなひっそりと存在する山王山ですが、さらに忘れ去られたような山がその隣に存在します。山王山と大網林道を隔てた南西隣の高み、大山祇神社です。かつては隆盛を誇ったことを偲ばせる社殿が残っていますがもはや崩壊を待つのみというありさまです。
寒波の襲った真冬の一日、足利インター付近から入山し名草、樺崎(塩坂)を分ける尾根を縦走して山王山まで歩いて来ました。大山祇神社ははたして今も存在しているでしょうか。

一般ハイキングコースではありません。

関連ページ
山王山 http://www.kimurass.co.jp/sannouyama.htm


      山王山頂上
          落ち葉の尾根道
【日程】 2017年1月15日
【山域】 安蘇
【天候】 快晴/雪  強風

【アクセス】 足利インター料金所先を左分岐。一般道路に突き当たったら左折。次の信号を右折してインターパーク工場団地へ。
【駐車地】 工場団地の東端に駐車場があります。数十台。
登山者用の駐車場ではありませんが休日は空いていますので失敬して適当に駐車。
【コース】
インターパーク駐車場 - 稜線 - 203m峰
- 228.9m三角点峰 - 大山祇神社峰 - 山王山
- 大山祇神社 - 大坂 - インターパーク駐車場

ベテラン向き 4.5時間(一部藪)
【メモ】
往く手の尾根と山王山
入山点:
縦走しようとする尾根の末端でもありますし神域からスタートというのもいいかと思って樺崎八幡神社からの入山を考えたのですが、いかんせんすぐに北関東道に遮られてしまうので最初の八幡山はパスして少しだけ先からの入山としました。まず樺崎側から探ったところ山際に人家が続いていて入山点がはっきりしません。では、と反対の名草側のインターパーク工業団地あたりに回ってみました。ここなら駐車の心配もなくまた人家を通ることもなしに入山できそうです。
工業団地の端の駐車場脇からうまい具合に舗装道が登って行きます。たどってみると墓地があり、このあたりから藪を突いて尾根に這い上がることにしました。
まったく手の入っていない荒れ放題の里山でネザサとヒサカキの繁茂する斜面をひたすら登って最初の高み(203m)の手前で尾根に登り着きました。
203m峰はふたコブになっていて先のコブからは山王山とこれからたどる尾根が見通せます。山王山まではかなりの歩程がありそうです。

足利方面の展望
長い縦走尾根:
ここから先は小さな登降を繰り返しますが全体なだらかな歩きやすい尾根で道形はほぼ消滅しているものの藪というほどではなく難儀することもありません。たまに展望地もありますが折からの季節風に乗って小雪がちらつくような空模様で遠望はあまりききませんでした。それでも足利の街を足元にしてその先には関東平野の広がりが一望です。
途中尾根をはずしやすいと思われるのは203m峰のふたコブの先の高みから左に下降する地点くらいです。道はないものの進路ははっきりしています。
228.9m三角点峰、264m峰と次々に小さな登降を繰り返して最後に大登りで310m峰に達するとこの尾根の縦走は終わりです。この310m峰は尾根状の頂稜の途中に突き上げるような地形で逆にたどるとわかりにくいかも知れません。その頂稜尾根を左にとると大山祇神社ですがまずは山王山へ。

山王山:
山頂から足利両崖山、太田金山、秩父

310m峰で右(東)に折れて一旦下ると大網林道に下り立ちます。舗装道は一部がうっすら雪に覆われていましたがたぶん朝方に降った雪のようです。
すぐ先の左手に山王山登山口がありここから頂上を目指します。道は電光を切っていますので息が上がるような登りではありませんが100mほどを一気に登ります。南斜面はほぼヒノキ植林地で登路から展望はありません。
登り着いた頂上部はヒノキに囲まれた平坦な地形で、樹林の中にぽっかりと空いたようなカヤトの中にぽつんと石祠があるだけのさびしい頂上です。
かつては矮性の笹と芝草に覆われた頂上で南に大きく展望が得られたのですが、今はヒノキに遮られてその面影はありません。
また、その昔(たぶん山王山の山名から類推して)日枝神社の社殿があったのですがそれを知る人も少なくなりました。(下山時に古い瓦を見つけました。たぶん日枝神社社殿の瓦だろうと思われます。)
石祠の後側に踏み跡があり左方向へ少したどると最高点に通じています。この最高点付近から多少展望が得られます。樹間に関東平野の眺めが広がっています。
北側にテープマークがあり踏み跡が下っています。この踏み跡をたどると須花トンネルまで市界尾根を縦走することができます。下降点は判りにくいですが少し下ると明瞭な尾根となりますので迷うことはないはずです。今回は目的が大山祇神社ですのでこちらはパス。

なんとか崩壊寸前で耐えている大山祇神社
大山祇神社:
往路を310m峰まで戻りそのまま尾根を進むと前方にいかにも神域らしいスギヒノキの大木が現れ、その先が大岩の重なった独特の景観になっています。大山祇神社はその大岩の中段に半ば崩れた姿で持ちこたえていました。屋根の一部は崩れ落ち瓦が散乱しています。
寄進者の名前が掲げられていますがもう文字もかすれて判読できません。前回に来たときにはどうにか判読可能で確か高額な寄進をした信者の中に東京の住所が示されている方もいました。その頃の隆盛が偲ばれます。
社殿の裏には石祠がありこちらには新しい幣が掛かっていました。位置関係を見ると石祠が本殿、崩れかかった社殿が拝殿でしょうか。おそらく新年に新しい注連縄にしたのでしょう。今も細々ながら信仰が続いているのはうれしい限りです。
石祠には「願主大坂谷」と記されています。また「下村五谷戸講中」の文字も認められます。下村は今の名草下町で五谷戸はその下村に属している5つの集落と考えられます。この地方では今も**谷戸と呼ばれる地名がいくつか残っています。関東南部にも谷戸の地名があり、そちらは「やと」と読んでいるようですが、一方こちらは「がいと」、実際はちょっと訛って「げーと」と読んで、実際に名草の主谷から分かれる支谷の入口に杓子谷戸、平田谷戸、勘定谷戸などの地名が点々と残っています。「下村五谷戸講中」とは大坂が願主となり下村一帯の人たちの講があったのでしょうか。建立年代などは判読できませんでした。
大山祇神社からはうるさいくらいたくさんのテープマークが大坂方向へと続いています。登山者のためではなくおそらく大山祇神社と集落を結ぶマークらしく、今や地元の住人さえすんなりとは登り着けないような状況のようです。このテープマークに従って急な踏跡を下って名草ホタルの里の駐車場へ降り立ちました。


   ヤブツバキ
【便利帳】 コンビニ:足利インター〜インターパークにはありません。インターから国道293に出て足利方面に800mほど。
トイレ:インターパーク南端の公園。
【収穫】(^_^;  9片 40g 
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