目次

  西別岳799.8m〜カムイヌプリ857m  

西別岳は圧倒されるような花の山でした カムイヌプリはリベンジならず、雲海から頭だけ出して見えるは斜里岳ばかり 
 

あこがれの西別岳。思い描いていた以上の、というより比較にならないくらいの花、花、花。北海道の低山の魅力にただただ圧倒されるばかりでした。
霧の中を登ってリスケ山の稜線に出るや一気に晴れ上がり、斜里岳が麗峰と呼ぶにふさわしい姿で眼前に姿を現しました。さらに標津岳、武佐岳、振り返れば阿寒の山々が雲海に浮かんで、なんとも劇的な出合いです。また手の届きそうな近さでカムイヌプリの荒々しい鋭鋒が摩周湖を従えるように突き上がって印象的でした。
あたりはまさに花園。とりわけエジツツジがあちこちに小群落を形作って咲き乱れ、その艶やかさと言ったら。キタヨツバシオガマ、チシマフウロ、アヤメ、ミヤマオダマキ、ハクサンチドリ、スズラン、チシマワレモコウといった花々が次から次、足もなかなかはかどりません。
当初の予定は西別岳までのつもりでしたが、前回叶わなかったカムイヌプリから摩周湖を見下ろすという宿題を片づけるにこれほどのチャンスはまたとありません。これはイッチョ頑張っちゃおうかな、と一気に西別岳からカムイヌプリまで駆け抜けました。まあ、結果は西別岳の下りですでに霧が稜線に上がってきて、カムイヌプリに着いたときには頂上だけが晴れ上がって抜けるような青空にもかかわらず周囲はなんにも見えないという、オレは何しに来たんだぇ状態。(^^; 帰途の足の重かったこと。
おまけに西別岳とカムイヌプリを結ぶなだらかな尾根は麓から見た印象とは大違いで、展望もなく大柄な蕗の繁った平坦な鞍部や草深い樹林などが続き今にも熊クンが挨拶に出てきそうな雰囲気です。一人歩き(とうとう西別岳に戻るまで誰にも会わず)にはちょっと楽しいコースとは言えません。ビクビク歩いていたので、エゾイタチに出会っただけでビックリ仰天。
とはいえ、念願の西別岳は最高のお膳立てをしてもらって、大満足の北海道の山旅でした。
また、帰りがてら、あわただしく寄った三友牧場。可愛いチーズ館が山旅の最後をさらに楽しいものにしてくれました。

(2005−7−9)
仲間といっしょに再訪です。今回は斜里岳が目当てでしたが、せっかくですから西別岳もということになって、中標津空港から直行で慌ただしく駆け登ってきました。あいにく厚い雲で、展望はまったくありませんでしたが、今年もたくさんの花が待っていてくれました。
なお、西別岳はストック禁止です。以前からストックによる植生の破壊が気になっていましたが、我が意を得たりの気持ちです。体に障害をお持ちの方はともかく、ラクチンだけのためにやたらストックで土壌をつつき壊すのはいかがなものでしょう。

関連ページ
カムイヌプリ

【日程】 2003年7月9日
2005年7月9日
【山域】 道東
【地図】 1/25000摩周湖南部
【アクセス】 北25号(弟子屈・荻野−虹別−養老牛)から西別岳登山口の案内に従って西別小屋まで。北25号からの分かれ道は3カ所ほどあるようですが、手作りの小さい案内ではなくしっかりしたでっかい案内がある地点がそれからの経路が判りやすいみたいです。西別林道にT字路でぶつかったら右折してほどなく。
【駐車地】 小屋前の広場に2,30台。
【コース】 西別小屋 - がまん坂−リスケ山 −西別岳−ヌーウシベツ岳−摩周展望台分岐−カムイヌプリ(往復)
実行程約5時間 健脚向き

  摩周湖からカムイヌプリ・遠く斜里岳を望む

   西別小屋

         リスケ山よりカムイヌプリと摩周湖


【メモ】 霧に積まれた根釧台地:
前夜は養老牛温泉に泊まり早朝に出発。前日の快晴から一転して広大な牧草地帯はすっかり霧に包まれていました。弟子屈方向に直線道路を走り、前日確認しておいた「西別岳登山口」の看板に従って右折。牧草地にはまだ人影もなく、エゾシカが群れ遊んでいました。あいつら、牧草食っちまってるのか。
樹林帯の中を走り抜け登山口に着くとそこには立派すぎる西別小屋がでんと建っています。3台ほどのクルマがあり、どうやら小屋泊まりの皆さんのようですが、まだ朝も早いので眠りの中のようです。
小屋前のベンチで朝食を摂り、登山者名簿に記入していよいよスタート。名簿を見ると日曜日などかなりの入山があるようです。
カラマツ林のなかの緩い登りもやがて笹のスロープとなると徐々に傾斜を強め、がまん坂の案内板あたりからは直線登りとなります。まだ元気な身体ですからなんと言うこともありませんが、電光を切ってくれると助かるのに、と恨めしくなるような急登です。周囲は笹原のなかにポツンポツンとダケカンバなどが立っている気持ちの良い景観ですが、相変わらず霧に包まれて展望は開けません。

第一お花畑、第二お花畑を通ってリスケ山:
リスケ山 
急登が終わり稜線らしくなると左手に第一お花畑、第二お花畑の標識。まだ花は少ないもののカラマツソウやチシマワレモコウがびっしり生えていますので花時季には一面白く被って豪華になるでしょう。チシマフウロ、アヤメがちょうど満開でした。ここで初めてエゾツツジにご対面。
リスケ山捲き道を分けるといきなり青空の中に放り出されるように霧が晴れました。その唐突さに一瞬戸惑うくらいでした。リスケ山に立つと、根釧台地は輝く雲海の下ですが、標津岳、武佐岳など標津の山々、斜里岳、阿寒の山々、どれも雲の中からすっくと乗り出して凛々しい姿です。そして間近にカムイヌプリが荒々しいとんがりを立ち上げてその向こうには碧く摩周湖も見えます。
足下には霧が流れて、ブロッケン現象で山頂に立つ自分の姿が光輪の中に。数キロ四方に自分だけだ、という思いも重なってなにやら日常とは異次元の精神状態に陥りそうな雰囲気。

花、花、花:
リスケ山捲き道からの西別岳とエゾツツジ
しばらく展望を楽しんでから西別岳へ。尾根通しの道は廃止になって、捲き道まで戻るようになっていました。
捲き道はお花畑。こんな低山でもオホーツク高気圧の影響で東風があたり根釧台地の霧を発生させる分水嶺ですから、景観はまさしく高山のそれと変わりありません。
西別岳との鞍部はごくらく平と呼んでいるようで、花好きには極楽気分です。
最初の出合いで大喜びしたエゾツツジも稜線ではいくらでも咲き乱れていて、ほかにもハクサンチドリ、キタヨツバシオガマ、ミヤマオダマキなどが目立ちます。
時間とともにだんだん雲が登ってきているようで、西別岳ではまた霧の中となってしまいました。
しかし、高度が上がれば雲の上だろうと、ちょっと頑張ってみる気になって、頂上の休憩もそこそこにカムイヌプリを目指し一気に駆け下りました。すぐとなりにエゾツツジ大群落のあるヌーウシベツ岳という初耳の小ピークがあります。そこからどんどん高度を落としてから、その後ずっと平坦な切り開きが続きます。裏摩周や虹別方面から見た印象とは違い、展望もなく草深い坦々とした道で、いきなりクマ公のご挨拶があっても不思議じゃない雰囲気です。一人歩きにはちょっと寂しすぎる感じです。(とうとうカムイヌプリ往復して西別岳を越えるまで誰にも会うことがありませんでした。)

リベンジならず、霧の摩周湖:
覚えのある展望台分岐(摩周湖展望台から来ると西別岳分岐となるわけですが)で右に折れて、火口壁をぐるりたどりました。分岐からは前回摩周湖から来た時と同じ道。最後の急登をこなすとカムイヌプリ。思っていたとおり頂上は、おお、ピーカンの空の下。ところが自分の場所はピーカンでも目の下は厚い霧の中ではないですか。斜里岳と阿寒だけが雲の中から姿を見せているのみ。なんて事だ、こんな快晴なのに。
また今回もカムイヌプリの頂上から摩周湖を見下ろすことは叶いませんでした。なるほど、霧の摩周湖、ね。前日には観光客に混じってクッキリとした摩周湖とカムイヌプリを背景に記念写真を撮ったのが嘘みたい。
帰路の足の重かったこと。でも帰りの飛行機の時刻もあることですし、嫌がる山靴を叱咤してまた来た道を駆け戻りました。
西別岳からの下りでやっと小屋泊まりのグループに会いました。そこから下山まで数人のハイカーに会ったのみ。こんな手軽で素晴らしい山なのにこの静けさ。改めて道東の低山に魅入られました。
また、標津山系の山裾のいたるところ深い樹林で、林道を走ると平坦な森林が続き、関東で育ったせいで森林は山、という観念をもっているためかとても新鮮でした。(あまり森が深くてちょっと恐いくらい。)
山中、山麓で間近に会った動物:キタキツネ、シマリス、エゾイタチ、エゾシカの群れ、ウソの群れ

(2005−7−9)
霧のダケカンバ幼樹林
駆け足で頂上往復:
エゾツツジ群落

登山口ですでに午後3時を回っていて、まあ、行けるところまで行って花が見られればいいかととりあえず出発しました。空はいつ降ってきてもおかしくないような曇天です。
ウグイス谷、がまん坂は笹の中の切り開きで電光を切ることもなく容赦ない一本調子の急登です。チシマフウロが目立ちます。
やや緩やかになるとダケカンバの見事な純林をくぐります。ここから第一お花畑、第二お花畑、リスケ山巻き道、第3お花畑、そしてごくらく平と高山植物帯が続き、花好きの我々には最高のお膳立てが整った道となります。とりわけリスケ山巻き道とごくらく平は平坦な尾根で花を楽しむにはうってつけ。ヨツバシオガマがたくさん咲いていますし、ミヤマオダマキやエゾスカシユリなど派手は花が目を引きますが、やはりここでの主役はエゾツツジです。かなりの規模の群落があちこちに現れて、派手な花を一面に咲かせています。派手な色合いと言っても決して下品な花ではなく、ぱっとあたりを明るくしてあまり好天ではない中でこっちまで気持ちが軽くなります。
また、野生のスズランが多く、園芸種のドイツスズランに慣れた目にはこぢんまりとかわいい印象に映ります。
頂上は霧の中で、証拠写真同然の頂上標識を写して早々と下山しました。さすがにウグイス谷あたりまで下山する頃には薄暗くなってきて熊さんでも挨拶に出ては来ないかとちょっぴり気味悪い気分でした。
【便利帳】 コンビニ:養老牛に何でも屋さんが一軒。これ以外には中標津か弟子屈まで行かないとないみたいです。
トイレ:小屋の前。
【寄り道】 一浴カラマツの湯 養老牛温泉の近く。大人気だそうで。
谷川の脇に自然湧出している無人の湯です。混浴、水着禁止です。
そしたら、ご婦人がいきなり下着のまま入ってきた、バ、バ、バカッ!

チーズ三友(みとも)牧場(中標津町俵橋 ご町内の町名と思ったら、東京近辺なら市が2つ3つ入っちゃうほどひたすら広くて途方にくれるんだ、これが。)
牧場製のチーズです。
名前もうろ覚え、もちろん場所もわからないまま、やみくもに牧場地帯を探して走ったもののこの広大さですからそうそう簡単には見つかりっこないわけで、諦めてUターンしようとしたら小さな看板に出会いました。なんたる偶然。
牧場内にかわいいチーズ館があり、ここで買えるようですが、あいにくお留守でした。
残念ながらチーズは買えませんでしたが、研修中の若者2人とちょっとお話しして帰ってきました。とても好青年でした。いつもながら北海道の魅力はお目当ての山もさることながら、「人」です。
(後日談)帰ってしばらくして、NHK−TVでこの三友牧場を放映したそうで、かみさんが偶然見ていて、あれ?あれれ?三友牧場じゃないのぉ!
TVの威力で、その後とんでもないことになってるんじゃないでしょうかね。チーズの生産量は手作りの範囲でしょうから。(^^;
西別岳花図鑑(クリックで拡大できます)

エゾツツジ

チシマフウロ

ミヤマオダマキ

エゾスカシユリ

エゾノミヤマクワガタ

イワブクロ

エゾノキリンソウ

クモマタンポポ

ミヤマウツボグサ

キタヨツバシオガマ

ハイオトギリソウ

アヤメ

トウゲブキ

マルバシモツケ

チシマアザミ