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名草花崗岩帯 なぐさかこうがんたい 520m

名草巨石群から続く花崗岩帯を巡る
前週、名草巨石群付近を歩いてみましたが、その写真を整理しているうちに少しずつ遠い子供の頃のことを思い出してきました。たしか巨石群の奥から登り返して一帯の最高峰らしき峰に登ったことがあるはず。灌木だったか草原だったか、とても眺めがよかった記憶もあります。そしてそんな山奥で石を切り出しているカーンカーンという澄んだ音が聞こえていたはず。
今から思うとそんな山奥の標高の高い山からどうやって切り出した石を運び出したものか大いに疑問ですからそれは他所での記憶と混濁しているのかもしれません。どうも記憶はあやふやです。
そんな懐かしい記憶をたどって歩くのもまた楽しいものです。藪を覚悟で前週に引き続いて名草を歩いてきました。

一般ハイキングコースではありません。

関連ページ 名草巨石群 http://www.kimurass.co.jp/nagusafujisaka.htm


        あちこちに花崗岩露岩(520m峰付近)
         巨石上に鎮座する名草弁天(厳島神社))
【日程】 2013年12月8日
【山域】 安蘇
【天候】 快晴
【地形図】  1/25000番場 足利北部
【アクセス】 北関東道足利ICで料金所を通過したらすぐに左側へ。(国道へは出ない)
一般道へ突き当たったら左折すると500mほどで信号があるので右折。(県道208)
道なりに6〜7km進み勘定谷戸の先で巨石群の看板に従って右折。
【駐車地】 巨石群入口に駐車場。十数台。
【コース】
駐車地 - 林道分岐(手前の登山道は回避)
- 峠 - 520m峰(最高峰) - 石切場跡
- カヤト - 499m峰 - 林道
- 巨石群(石割楓) - 巨石群(名草弁天)
- 駐車地

物好き向き 2.5時間
【メモ】
520m峰先のコナラ林
ヒノキ植林地をひたすら登る:
名草弁天入口の前に駐車して舗装道を登り行道山を示す標識をやりすごしてその先の林道へ入ります。標識が示す登山道はかつてぬかるみ防止のために敷いたらしい畳の残骸が汚くて気分を害されますので避けました。いまさらそれらを回収するのもたいへんでしょうからハイカーの方が避けるしかありません。
林道が終わると丸太階段になります。しばらく階段の急登を我慢するとベンチのある鞍部に登り着きます。登山道は尾根上を左に折れて行道山を目指して続きますが、今日登るのは逆の方向に向かうヒノキ植林地の中のうっすらと残る作業路の痕跡です。道跡は消えたり現れたりし、さらに獣道が共用したりしていて見失いがちですが道を失ってもひたすら上を目指せば迷うこともありません。
ヒノキの幹に赤いビニルテープも付けられています。太い幹にしっかり巻かれているテープは登山者のためか山仕事のためかは判りませんが、この先の尾根道には登山者のためと思われる古いテープもありますのでかつてはこの尾根を歩いた人もいることは確かです。なんと酔狂なことで。
傾斜が緩み植林地から解放されると明るい落葉樹の尾根となり、その尾根の先が最高点です。地形図では520mほどです。かつて子供の頃に登った高みはたぶんこの峰なのでしょうが記憶とはすでに違っていて樹林のために広闊な眺めは得られません。
一応尾根道はうっすら続いています。藪も薄く、厚く積もった落ち葉を蹴散らしながら快適な尾根歩きができます。
尾根のそこここに露岩が頭を出しています。巨石群と同じ岩質の花崗岩です。

       雑木林の中に巨大な花崗岩

       尾根を塞ぐ大岩

採石時のくさびの跡が残る花崗岩
花崗岩群:
現れる花崗岩はだんだん巨大になり、500m平坦尾根あたりでついに採石場跡を見つけました。下側から土を取り除いて大岩をまるごと露わにしようとしたことが見てとれます。そして傍らにはくさびを打った跡が残る岩もありました。なぜくさびを打って途中のまま採取しなかったのかは判りません。岩の目の見誤りに途中で気付いたりしたのでしょうか。たしかに割ったものの岩の目を見誤ったために途中から変に割れてしまったらしい岩も見られます。
それにしてもこんな尾根筋で採石してそれをどう運び出したのでしょうか。
もう遠い昔になってしまいましたが、私の記憶の片隅に残っていた風景や営みは確かに存在していたことがわかって少し感傷に浸りました。
この先平坦尾根がしばらく続きますが歩いた範囲で尾根筋ばかりではなくこの大きな山体の全体に花崗岩の大石が散在しています。

気持ちのよいカヤト
見た目では明るく広々としたカヤト:
平坦尾根の中間ほどのあたりから広大なカヤトが広がっています。ずっと樹林の中を歩いてきた目にその広さは気持ちのよい景色に映ります。
樹林帯からカヤトに移る付近では素晴らしい展望が得られます。眼前の赤雪山、仙人ヶ岳、深高山などが意外な近さです。残念ながらそれらが邪魔となって日光や赤城などは見えませんが遠く荒船山や群馬南縁の山々がシルエットとなって眺められます。
ここで前方に林道のガードレールが見えますのでこの先のよい目標となります。いくらの距離もありません。
ところがもう先はすぐと思っていたカヤトの尾根ですが、背を没するようなとんでもない密生でまるきり藪こぎとなってしまいました。さらにそのうち笹も加勢してくる始末でたまらず右の植林帯に逃げ込みました。こちらはこちらで急傾斜なので難儀は同じようなもので、結局またカヤトを突破することにして強引に突き進むことしばし、やっと作業道の跡に降り立つことができました。
なお途中の499m標高点峰には半ば朽ちてはいますが山名板(無名峰らしくただ「499P」と書かれてあります。)がありました。古くはここを歩いた人もいたようです。
作業道はすぐに名草−松田を結ぶ峠道に出て、その舗装道を右にとりさらに分岐で巨石群への道を下りました。(分岐を直進すると巨石群へ、左に戻るように下ると長い林道を経て巨石群入口駐車場へ。)
このあたりは10年ほど前までは前方が広く見通せて気持ちのよい場所で、山歩きはしなくても車でこのあたりまで出かけてくる人たちもいたのですが、現在は樹林が育ってしまって展望は得られません。

巨石群:
石割楓
舗装道をぐんぐん下って舗装道が切れるとすぐ先に巨石群があります。
大石の折り重なった上にちょこんと石祠が乗っています。この石は御船石と呼ばれているようです。
さらに10mほど下方には石割楓があります。花崗岩の隙間に根を張ったカエデがあります。
下方にある名草弁天の巨石群から歩いてもわずかなのですが訪れる人は少ないようです。
ここから歩道を数分下ると名草弁天(厳島神社)です。
大石の上に厳島神社の社殿が建っています。
石段を下ると胎内くぐりと弁慶手割石、小さな弁天様の石像があります。ふくよかで妙に色っぽい弁天様です。
あとはそのまま駐車場まで舗装道をぶらぶら戻るだけです。


       弁天様

      仙人ヶ岳を望む(カヤトから
【便利帳】 トイレ:駐車場、名草弁天下、石割楓の先 
    駐車場トイレは水洗ですからこちらで済ませておくとこをおすすめ。巨石群にあるトイレはあまりきれいとは言えません。

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