目次
大小山(313.8m)市界尾根 

関東平野と安蘇山塊を一望 日光・足尾連山、遠く富士山、大山まで遠望


安蘇山塊の南端に小さいながら急峻なピークを目立たせている大小山。山頂直下の岩壁に「大」「小」の2文字が掲げられて誰が見てもそれとわかります。大天狗、小天狗を意味するそうです。
関東平野の端っこですからその展望は言うまでもありません。
通常コースではファミリー向きの軽い半日ハイキングですが、ちょっと趣向を変えて市界尾根をたどってみました。
(一般ハイキングコースではありません。)

関連ページ
大小山阿夫利神社コース http://www.kimurass.co.jp/daishou.htm
大小山大沼田より周回 http://www.kimurass.co.jp/daishouonta.htm
大小山百観音より http://www.kimurass.co.jp/daishoukannon.htm
大小山滝コース http://www.kimurass.co.jp/daishoutaki.htm
大坊山・大小山縦走 http://www.kimurass.co.jp/daiboudaishou.htm
大小山赤見コース http://www.kimurass.co.jp/daishouakami.htm
大小山北面直登 http://www.kimurass.co.jp/daishoukita.htm
大小山駒場から北面 http://www.kimurass.co.jp/daishoukomaba.htm
【日程】 2002年1月4日
【山域】 安蘇
【天候】 1/4快晴
【地図】 1/25000佐野、田沼
【アクセス】 国道50号あるいは293号から地形図を見ながら市界尾根の突端を目指すことになります。
大小山そのものは50号から「大小」の文字ですぐわかります。
取り付き点は山の麓をぐるっと右(東)に回り込むかっこうになります。通称富田富士という端正な里山がありますがそれをさらに回り込み、百観音を過ぎ、一旦出流川(いずるがわ)に突き当たります。この地点が市界と間違いやすいですが、さらにその先の出流川が山裾をかすめている地点が足利−佐野市界取り付きです。
【駐車地】 市界尾根なら誰も通らない山裾ですから路肩に。
【コース】 取り付き支尾根−富田富士からの尾根道−赤見コース分岐−妙義コース分岐岩場−大小山−見晴台往復
−越床峠−取り付き点 (実行程3時間程度)

     


   楽しい岩尾根

【メモ】 ちょっとひねくれたコースを:
冬場の大小山は近年なかなか人気コースのようで、日曜日に近くを通るとたくさんのハイカーの姿を目にします。
たぶん、ガイドブックをなぞって歩いたら静かな山歩きなどできようもないだろうと、ちょっとひねくれたコースを設定してみました。大小山はちょうど足利と佐野の市界となっていますのでいっそ忠実にこの境界をたどってみようというコースです。
佐野市赤見町市ノ沢と足利市稲岡町西根を分ける支尾根から取り付きました。昔からこのあたりは山蔭で人家もなく人もあまり通らない場所で、案の定、支尾根全体が藪に覆われてかすかな踏み跡の痕跡があるのみでした。
ほとんど廃棄された里山ですから、松枯れにやられたアカマツ混じりの雑木からヒサカキ、シラカシ、ヤツデ、アオキ、ヒイラギなどの常緑樹に遷移する経過を見ることができます。このような林相はこのあたりの里山どこでも見られる光景です。
藪漕ぎ30分、うんざりする頃に富田富士から登ってきた尾根道に出ました。

尾根に出ると快適な道:
アズマザサが繁茂しアカマツが立ち枯れてあまりきれいな雑木林ではありませんが、山道そのものは歩きやすく快適です。
まず右から赤見方面より登ってくる道を合わせ、やがて大岩の断崖に出くわし、左に捲いて登り返すとここからは岩尾根となります。この山塊特有のチャートの堅い岩と背丈の低い赤松の気持ちよい配置に気分も軽くなります。この地点で阿夫利神社からの道を合わせます。
ここで先ほどの藪漕ぎの途中でカメラをなくしたことに気付き、とって返して1時間のロス。

混雑の頂上からは360度大展望:
袈裟丸・皇海・庚申山・熊鷹・安蘇山塊

頂上が近づくと何人ものハイカーとすれ違い、頂上からはたくさんの声がして、なるほど人気コースだと納得しました。それもそのはず、目の前にはどでーんと関東平野が広がっています。その向こう、秩父山塊を越えてその先に富士山が真っ白に輝いています。あいにくあまりの好天にうっすら靄がかかって東京のビル群や八ヶ岳方面の展望はありませんでしたが、それでも西から北方向へぐるりと、荒船山、真っ白な浅間山、鼻曲山、浅間隠、榛名山、草津方面、たぶんその白さからして白砂山あたり、赤城山、袈裟丸山、皇海山、庚申山、ちょこっと白根山、男体山、女峰山、ちょっぴり高原山という豪華な大展望です。振り返れば筑波山も望めます。また近景には安蘇の山々が手に取るようです。安蘇山塊の関東平野から日光足尾連山に向けて幾重にも重なって徐々に標高を上げていく姿がよくわかります。
この標高でこの展望とはちょっと贅沢すぎる気がします。

この山のシンボル・大小の字:
大小山で「大小」の字を見ないわけにはいきません。南に岩尾根を急降下して登り返すと天狗岩の頭、さらに一気に下って鉄の段々を下りると東屋があり頭の上に、わっ、でっかい2文字。昔、子供の頃には木製の文字でした。いつしか朽ちてなくなってしまったのを数年前に金属製に形を変えて再登場したというわけです。いやぁ、でかい。
写真に収めて、また頂上に登り返し展望を再度楽しみながらお昼にしました。

越床峠へ むしろこっちが楽しい道かも:
頂上から北西にはっきりした尾根道が下っています。越床峠を経て大坊山まで続いている道です。大坊山から往復する元気なハイカーも多く、かなり良く踏まれた道です。
尾根は岩がちでアカマツや雑木が美しく、ちょっと楽しいコースです。多少は松枯れにやられているのもありますがこういう岩尾根ではアカマツもけっこう元気に枝を広げています。やはり人の手を加えなくなった里山が腐植質の土壌になっていくと退場するべき植物のようです。

寂しい越床峠:

やがて左右から峠越えの道が交叉する越床峠。南へは大沼田、北へは旧国道越床峠を経て赤見へと下って行けます。
私は車の回収があるので右に旧国道へと下りました。旧国道は車止めが設置されたため通る人もなくなかば落ち葉に埋もれていました。
ここから約1時間、地獄の舗装道歩きが待っていました。
途中の自然湧水・厳島泉は一休みに格好の場所です。
【寄り道】 山塊の東端、西根には百観音があります。
下山地にほど近い出流原には出流原弁天、出流原湧水池などがあります。立ち寄るのもいいかもしれません。