目次
蓬田岳 よもぎだだけ 952.0m

阿武隈の端正な貴公子

ずっと行きたいと思っていて行こうと思えばいつでもたやすく行けそうなのになぜか行けていない山というのがいくつかあります。阿武隈の蓬田岳もそんな山のひとつでした。
あぶくま高原道路を走るたびにその端正な姿が目に入りいつも登高欲をそそられて気持ちは身近な山になっているのですがじつは登ったこともない縁遠い山だったというわけです。
梅雨に入って天気予報が全国的に不安定な中で阿武隈は比較的良さそうだというので出かけてきました。


            蓬田岳頂上

       道の駅ひらたから見上げる蓬田岳
【日程】 2018年6月9日
【山域】 阿武隈
【天候】 薄曇り

【アクセス】 東北道矢吹ICから阿武隈高原道路に入り平田ICから国道49号へ。(平田西ICと混同しがちなので要注意)
国道への出口交差点は左折。すぐに「道の駅ひらた」の前を通過しさらに1kmほどで「ジュピアランドひらた」の案内に従って左折。道なりに走るとそのまま駐車場へ導かれます。
【駐車地】

登山者用というわけではありませんが広い駐車場に優に100台は駐車できます。
芝桜開花シーズンだけは有料です
【コース】
駐車場 - 拝殿 - 尾根(下蓬田分岐) - 菅布禰神社
- 蓬田岳頂上 −岩場コース -糠塚登山口 - 送電線巡視路
- 駐車場

実行程約4時間 
一般向き
(送電線巡視路は思ったより消耗します。)

【メモ】
ジュピアランドひらた:
 
    ジュピアランドひらた(帰路の最後の送電鉄塔から)

「ジュピアランドひらた」は駐車したのと通過しただけなので結局何の施設なのかよくわからずじまいでしたが、野外炊事設備があり、遊歩道があり、案山子展示があり、大規模な芝桜花壇があり、大駐車場があり、の広大な施設です。(平田町のWebサイトではレジャー施設となっていますし、外部サイトでは森林公園となっているものもあります。)
芝桜の季節には素晴らしい景観になるということですが、花の季節が過ぎた今は登山者が数人支度をしているばかりで他には来訪者は見当たりません。朝だからかと思いましたが帰りにも閑散としていました。後知りですがあじさい園とかユリ園もあるそうです。開花時期に来て見ればまた違う印象を持つかもしれません。


    ブナの森には大岩が点在
登路:
ジュピアランドひらたの園内に入る車道の脇に登山口があります。駐車場に停めた場合、車道を少し戻ると登山道の案内標識があります。
登山道はよく踏まれていて歩きやすく危険な箇所はありません。かつての参拝道なので雑木の林の中に杉が並木のように植えられています。
登り始めてすぐに菅布禰神社(すがふねじんじゃ)遙拝殿があります。頂上にある菅布禰神社の拝殿のようです。本殿と拝殿が山上と麓に分かれていてこれなら参拝者は苦労して登らなくてもいいというわけです。
1時間弱の登りで尾根に登り着きます。峠をそのまま越えて下ると下蓬田登山口です。

    菅布禰神社
頂上へは右に折れて尾根を登ります。周囲はブナ林に変わり深い緑が心地よい尾根道になります。そのブナの林内には大きな岩がニョキニョキと点在して特異な景観を見せています。この巨岩がブナ林内に点在する景観は頂上を越えて下山路までも続いています。
さして急登もなくのんびりと登ること20分ほどで菅布禰神社です。ベンチがあり小広い神社前は休憩によい場所ですがあいにく展望は得られません。
少し尾根を進むとテレビ中継塔が現れその先が一等三角点
のある頂上ですので休憩はこちらがおすすめです。

頂上の展望大岩
 
蓬田岳頂上:
頂上には山名板と一等三角点があり大岩が良い展望地になっています。
昔は360°の大展望だったと聞きますが今は周囲の樹木が茂って東半分は見えなくなっています。
さらにこの日は薄曇りで展望も東北脊梁の山までは届かず、ちょっと残念でした。
頂上にはベンチもあり展望を楽しみながら休憩するには絶好の場所です。

楽しい下山路:

     モスラのしっぽ石

山頂で会った地元ハイカーが岩場コースを途中まで案内してくれるというのでお願いすることにしました。
下り始めてすぐ大岩が現れその上には2体の像が立っています。下から見て観音様の様にも見えますが、菅布禰神社の神域かも知れませんので実際のところ仏像か神像かよくはわかりません。どちらにせよ山頂一帯では最も大きな岩と思われます。ガイドブックにはモスラのしっぽ石と紹介されています。
大岩の基部を回り込むと岩場コースの分岐があり右に下ると岩場を通過します。岩場コースという割にはそれほどの難所でもなくなんなく通過できてちょっと拍子抜けです。ただ一ヶ所だけ岩の隙間の穴をくぐり抜けるルートがあってどうも腹が邪魔になって挟まってはみっともないと思って右に回り込んで回避しました。わずかな距離ですが岩を縫ったり飛び降りたりしながら急下降すると先ほど分かれた一般コースに合流します。
ここから先はミズナラの林の中のなだらかな道で、周囲は命溢れる森という印象でたくさんの幼樹が林床をびっしり覆っていました。
道が右に折れて尾根から離れるとほどなくして糠塚登山口に下り立ちます。一台だけ駐車していました。こちらから登るハイカーは少ないようです。


    登降を繰り返す送電線巡視路
送電線巡視路を戻る:
少しだけ林道を下ると右に山道が分岐します。樹林内をしばらく進むと送電線巡視路に出ます。あとは一本道をジュピアランドまで戻るだけと安易に考えていたらここで大きな誤算。地形図で見て一直線の道なので登降も同じように平坦かと勘違いしていました。山裾を平面図で一直線にたどるということは断面図では登ったり下ったりを繰り返すのだとちょっと考えればわかるはずなのに気付かずにバカでした。鉄塔があるのはルート上の高みの場所で送電線はその鉄塔間を谷を跨いで架けられているわけで、歩けば当然山襞ごとに登ったり下ったりになるわけです。それぞれはせいぜい高度差20mか30m程度ですが次から次なのでけっこう消耗します。
とはいえ、樹林内ではコアジサイやエゴ、鉄塔下の草原ではハナニガナやアヤメ、ニッコウキスゲなどの花が次々顔を出して楽しませてくれました。コアジサイは図鑑では分布は関東以西とされていますが実際はこのあたりがぎりぎり北限だそうです。ひょっとして最北の一輪だったかななどと想像して楽しい気分になりました。
最後の鉄塔からはスタート点のジュピアランドが一望できます。
帰りに「道の駅ひらた」から蓬田岳をカメラに収めてきましたがどうも撮影方向があまりよろしくないようであぶくま高原道路からみたような端正な姿にはほど遠いもっさりした姿になってしまいました。かといって高速道から撮るわけにも行かず、端正な貴公子の写真は当分お預けです。

蓬田岳の花(クリックで拡大)

 アヤメ

  コアジサイ

  ハナニガナ

  ニッコウキスゲ
【便利帳】 トイレ:道の駅ひらた、ジュピアランドひらた
コンビニ:平田IC〜ジュピアランドひらた間にはありません。インターから国道に出て逆に1.1km走るとコンビニがあります。また、道の駅ひらたでも飲料、多少の食品は買えます。
【寄り道】 道の駅ひらた
【収穫】 6片 10g
目次