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溝山湧水群 やみぞさん 1022.2m

雪を蹴って八溝山の湧水を巡る
車であっけなく頂上まで登れてしまう八溝山、歩くのは苦手という人たちにも素晴らしい展望を用意してくれています。福島、栃木、茨城3県にまたがっている独立峰ですからそれぞれの県の名だたる山々が一望です。また古くからの信仰を今に伝える神社や寺院も見所の一つです。
しかし、歩いてみれば車では味わえない魅力の数々、例えばイヌブナやブナの森、巨木の杉並木を連ねたかつての参道、水戸黄門様が名付けたとされる湧水群などを堪能することができます。広大な山と谷を擁するだけあっていろいろな楽しみ方で接することのできる山域です。

関連ページ八溝山(茗荷川) http://www.kimurass.co.jp/yamizomyouga.htm 


        八溝山山頂
         枝先の雪にさらに霧氷が付着して氷の花に
【日程】 2013年12月22日
【山域】 八溝山地
【天候】 快晴
【地形図】  1/25000八溝山
【アクセス】 どこからでも高速道から遠く、一般道をかなり走ることになります。
もっとも分かりやすいのは常磐道那珂ICからの経路です。那珂ICから国道118に出て(ICを出てすぐ広域農道でショートカットできます。)大子の先まで北上し、下野宮で大子那須線へ左折。蛇穴で林道八溝山線へ右折。目立つ看板があります。
東北道沿線からなら少し判りにくい経路になりますが矢板ICまたは西那須野ICから黒羽経由となります。東北道矢板ICから国道4号へ出て北進。箒川を渡ったらすぐに側道へ入って国道461へ。三原交差点で右折してバイパス代わりの元広域農道経由で再び国道461。黒羽で那珂橋西交差点右折。(国道461)
西那須野ICから国道400経由で三原交差点まで行くのも分かりやすいかもしれません。三原交差点からは同じ道です。
国道461須佐木で国道から分かれて大子方面へ。須賀川で左折して大子方面へ。大子に入って茶の里公園すぐ先を左折(県道159)、さらに県道28に合流して蛇穴へ。県道から分かれて林道八溝山線の舗装道を登ると旧参道登山口。
【駐車地】 旧参道駐車場に10台ほど。
【コース】
駐車場 - 八溝五水入口 -金性水 - 鉄水
- 龍毛水 - 舗装道 - 白毛水- 日輪寺分岐
- 銀性水 - 舗装道 - 八溝嶺神社
- 八溝山頂上 - 日輪寺分岐 - 日輪寺
- ワサビ田 - 駐車場

初心者向き(今回は雪道のため一般向き)
3時間
【メモ】
金性水
ぎりぎり参道駐車場まで:
県境峠越えも山に入ってからもまったく雪の心配もなかったのですが、自動車道で標高750mあたりまで登った地点から突然雪が現れました。いよいよ車もこのあたりが限度かなと思ったところでうまい具合に左手に旧参道駐車場が見えました。
目の前の山道は帰路にたどってくるコースで、今回登りに使う山道は少し舗装道を歩いた先です。
登山道はなだらかで、イヌブナ、ヤマザクラ、ツガ、シデなど樹種の豊富な樹林の中を進みます。
いきなりの雪道ですが急な箇所もなくまったく難儀はありません。途中1カ所だけ崩れた登山道がありますが迂回の道が作られています。(ここだけロープがありますが簡単に登れます。)
自動車道への分岐を見送るといよいよ湧水群、まずは金性水です。雪の時期ですから水量は多くはありませんが竹の樋から流れていましたのでカップで受けて飲んでみました。美味しいような気もしますが、雪解け水が直接流れ込んでいるのかもしれないと思うと微妙に舌の感覚も揺れます。(^_^;
旧参道の脇にはかなりの樹齢の杉が行儀よく植えられていてこれはきっと参道の杉並木と思われます。
高梨家屋敷跡の石碑の地点から八丁坂と名付けられたやや急な登りが始まると左手に鉄水、次に道からやや外れた先に龍毛水、舗装道に出たら左にたどると駐車場下に白毛水と続きます。
白毛水からまた登山道に戻り一頑張りで傾斜が緩むと右に日輪寺への道を分け、その先が最後の銀性水です。ここまでわずかな流れでもカップに受けて飲みながら登って来ましたが銀性水は雪に半ば埋もれて突き出した竹樋からはまったく水が出ていませんでした。残念ながら五水を片っ端から飲もうというもくろみは最後に潰えてしまいました。

     鉄水

      龍毛水

       白毛水

       雪に埋もれた銀性水

頂上直下の雪道
展望かなわぬ頂上:
雪の量が多くなり歩きにくいと感じ始めたところでまた自動車道に飛び出し右に鳥居を見るとそのすぐ上が八溝嶺神社です。山頂の神社とは思えないほど立派な社殿です。
左手がお城を模した展望台、裏手が一等三角点の山頂です。
快晴で空気も澄んでいるため富士山まで届く大展望を期待していたのですが、なんと展望台入り口には鍵がかかって登れません。ここまで来て展望台に入れないとは。
普段は、こんな醜悪な展望台なんか建てて、と文句を言ってるのに登れないとなるとそれはそれで残念な気持ちになるのはわがままもたいがいにしろと大子町の関係者に言われてしまいそうです。
しかたなしわずかに望める茨城の山を樹間越しに眺めましたが太平洋まで届く展望に残念な気持ちがさらにいや増しました。
八溝嶺神社

日輪寺:
日輪寺
雪の道を日輪寺分岐まで戻り分岐を左にとるとしばらくなだらかな下り道が続きます。
はじめはイヌブナとブナが優勢な樹林でしたが標高が下がるにつれてネジキやリョウブなど多彩な樹種の雑木林へと代わり低山の雰囲気も感じられます。
ダラダラと下ってから林道に下り立つともうそこは日輪寺の裏手で左に回り込むと境内に出ます。
山中にしては規模の大きな寺院です。戸締めとなっていて、どうやら冬期道が雪に覆われると無人になってしまうようです。
境内に東屋がありテーブルが備わっていますのでここで昼食としました。小雪も舞う空模様でしたが意外に陽差しが暖かくゆっくりコーヒーを淹れて休むにはもってこいの場所でした。こんなひとときは冬の低山の何よりの楽しみです。
境内から右手方向に進むと登山道が下って行きます。杉の巨木が行儀よく並んでいます。植えた時代にはこれほど巨木となるとは思っていなかったようで、それぞれが押し合いへし合いして並んでいます。
道はそのまま谷へ下り、ワサビ田のある谷から登り返すと駐車場のある車道に出ます。最後にブナの巨木が見送ってくれます。
結局一日他のハイカーとは会うこともなく静かな八溝山を楽しむことができました。雪道も足跡は二、三人分だけ、時にはまったく足形のない道もありまっさらな雪に足跡を着けて歩く感覚は格別でした。

     ブナの巨木
【寄り道】  雲巌寺:黒羽雲岩寺にある臨済宗の古刹。(地名は雲岩寺) 紅葉が美しいことでも知られています。


      雲巌寺山門
     雲巌寺仏殿
【便利帳】 トイレ:山頂直下駐車場、日輪寺
    登山口にはありません。

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