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  勝雲山 1322.1m

横根高原の変転を見続けた山
横根高原を粕尾峠から横根牧場に向かう自動車道路があります。そのすぐ脇に勝雲山はあります。
とても登山の対象となるような山ではないのですが、個人的な思い入れから、秋の暖かい日差しの午後、地蔵岳と併せて出掛けてみました。
感傷山旅です。
話は40年も遡りますが、山歩きを始めてすぐ、友人と二人、足尾から都沢右岸尾根(都沢湿原参照)、古峰ヶ原、三枚石、方塞山、さらに勝雲山、粕尾峠と巡ったことがあります。高度成長の兆しが見え始めた頃でしょうが、しかし山に入れば戦後の乱伐の名残で山々はのっぺらぼうの笹原でした。山としては半ば死んでいたということに無頓着な高校生には広闊な笹原を好き勝手に歩けるのは楽しい限りでしたが。
当時、その都沢沿いにも、また横根高原にも開拓農家が入って辺りは一面高原の畑作が行われていました。勝雲山はその畑地の真ん中にちょこんと頭を上げていました。頂上まで耕されていたのか、あるいはそこだけかろうじて山らしく樹木があったのか、まったく記憶はありませんが、登ったことだけは覚えています。
高度成長の時代を経て開拓地の農業も立ち行かなくなった例が多く、ここ横根高原でも全ての開拓農家が離村したようです。数年前都沢沿いを歩いた折りには最後まで一軒の農家が営農していましたが、今は無人の廃屋となりました。そして農家の苦闘の痕を包んで高原はすっかり樹林となりました。
で、その感傷山旅はどうだったかというと、勝雲山には通信アンテナがそびえ立ち、すぐ脇の自動車道はバイクの爆音が響いて、こりゃ全然感傷どころじゃありませんでした。(^_^;
【日程】 2005年11月27日
【山域】 前日光
【天候】 快晴
【地図】 1/25000足尾
【アクセス】 粕尾峠から前日光ハイランド方向に。高原の中を走ると左手に大きな駐車場があります。
【駐車地】 30台ほど。東屋などもありピクニックのグループが楽しんでいました。
あまり歩けないお年寄りにも高原の気分を満喫できるエリアかもしれません。
【コース】 駐車場 - 階段 −勝雲山 − 展望地(往復)
実行程約30分

   勝雲山頂上

【メモ】 電線に沿って頂上まで:
ありゃりゃ、こんなのできてた
駐車場から自動車道を少し戻ると右(北)に都沢方向に向かう山道があります。良く踏まれた道ですが、なんの利用のためかよくわかりません。これをやり過ごすと右に階段が登っていきます。この階段を電線に沿って数分登るとアンテナの建家があります。その裏手が最高点ですが、樹木に勝雲山を示す小さな山名板があるものの、いくら探しても三角点がありません。電柱やらアンテナ建家やら工事の痕跡やらで山登りとは無縁の雰囲気です。
諦めてさらに先に進むと、おっとっと、今度はとんでもない規模のアンテナに出くわしました。国土交通省の治水のためのアンテナのようです。デカイ。
反対方向から車道が上がってきていて、年配の二人組が草原で弁当を拡げていました。
なんとここに三角点が。測量の航空標識板がうち捨てられていたために気づきました。こちらにも山名板があります。先ほどの最高点にあったのより大きめで、数も二枚。山名板の勢いと多数決でこっちが頂上なんでしょうか。(^_^;
まあ、最高点と三角点とが異なる例は多いので、ここもどっちが頂上でもいいようなものですが、やはり先ほどの最高点が頂上というのが自然なようです。「三角点は頂上に設置すると決まったものではない」(^_^)

足尾大展望:
皇海山、松木沢
来るだけムダ、みたいな勝雲山でしたが、アンテナからわずかに南に下った所から防火帯らしき伐採がされていました。ここから足尾の山が一望。なんと、最後にうれしいご褒美でした。袈裟丸山群から庚申山、皇海山、松木沢など足尾の核心部が一望です。この方向からの展望は足尾全山が目の前に広がり、素晴らしいの一言です。方角から言って足尾山塊の展望はこの辺りからが最高なのですが、横根高原付近には顕著な高みも少なく、またその数少ない高みも樹林に遮られてしまうのでここからの展望は貴重です。
感傷山旅はズタズタでしたが、この展望で穴埋めできました。