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   斜里岳1547m

眺めてよし 登ってよし 花よし滝よし残雪よし 雲よし霧よし展望よし 道東の雄峰は言うことなしの楽しい山でした
道東のどこからでも眺められる端正な姿の斜里岳。道東の山としては羅臼岳と並んで全国的にポピュラーで、登った経験のあるハイカーも多く、そのどなたもいい山だったとおっしゃいます。これはいつまでとっておくわけにはいかない。
本州では梅雨の真っ盛りで、雨の中を歩くことを厭うと、もう北海道に行くしかあるまい、と仲間を騙して西別岳とセットで念願を叶えることができました。好天の予報がすっかりはずれ曇天の登頂となりはしましたが、山中で雨に降られることもなくまずまずの展望も楽しめました。そして、なにより花の種類の多さ、これには大満足でした。登りにとった沢沿いの旧道コースは滝と雪渓を連ねて文字通りの山遊びを満喫できました。また、降りにとった展望尾根の新道コースは周回コースの全貌を一望し、またオホーツクや屈斜路湖方面の良い展望台でもあります。どちらも花、花、花。一面覆い尽くすような群落こそありませんが、森林の花、雪渓周辺の湿性高山植物、さらに尾根に出ると乾性高山植物が次々と現れて足が進みません。ガイドブックなどを参考にせいぜい5,6時間と踏んでいたのが、結局9時間半もかかってしまいました。5割方多く楽しめたということでしょうか。(^_^;
そして、いつもながら北海道のどの山でも楽しい思い出として残るのは地元ハイカーとの触れ合いです。抜きつ抜かれつ(結局追いつけずに抜かれたままですが(^_^; )しながら、いろいろ地元の山の話をお聞きして、今回も楽しい北の山となりました。

斜里岳標高について
地形図では1547mと1544.8mの2つの標高が記されています。(古い(建設省国土地理院時代)の山岳標高一覧では1545m)
調べてみると1547mは標高点データとなっています。とすると1544.8mは三角点の標高でしょうか。うっかり三角点を確認しなかったなぁ。
ちなみに、斜里岳は道東で一番目立つ雄峰ですが、一等三角点ではありません。たまたま位置がはずれてしまったんでしょうね。
【日程】 2005年7月10日
【山域】 道東
【天候】 曇り
【地図】 1/25000斜里岳
【アクセス】 斜里方面からですと清里中心地で斜め右に中標津方面への道を見送り直進します。これが文字通りの直進道路で丘陵地をひたすらまっすぐ走ります。斜里岳登山口の標識で左折すればあとは道なりに清岳荘まで。
清岳荘は新装なって、旧清岳荘よりだいぶ手前に移ったようです。かつての林道は通行止めになっています。
【駐車地】 清岳荘前に数十台。駐車場での車中泊は有料です。トイレは清岳荘にあり有料(カンパ)です。
【コース】 清岳荘 - 一ノ沢 −下二股 − 旧道・滝連続(飛び石で右に左に徒渉をくりかえし) − 上二股 − 胸突き八丁
− 馬の背 − 祠のコブ − 斜里岳 − 上二股 −新道 − 竜神ノ池 − 熊見峠 − 下二股 − 清岳荘

実行程約9時間(通常6時間ほどのようです) 

一般向きですが、雪解けの季節は水量が多く、バランス苦手の方は徒渉に難儀しそうです。多少余裕を見た方がいいようです。ボチャンとやったときのため替え靴下は必携です。

   ジャガイモ畑の広がる清里より斜里岳を望む(夕景)

  エゾカンゾウの咲く山頂直下の稜線(あまな氏撮影)

     海別岳遠望(あまな氏撮影)


【メモ】 坦々とスタートしたものの沢に降りるといきなり滝の連続:
羽衣の滝  流れの脇を登ります
清岳荘は新築で快適そうでした。トイレが使えますが協力金のカンパが必要です。
清岳荘の右裏手から新しい切り開きをたどるとすぐに旧林道に降り、旧清岳荘跡までこれを歩くことになります。エゾノレイジンソウやクルマユリが目立ちます。
林道が終わると沢沿いの歩道となり、やがて沢を飛び石で右に左に渡るようになります。じゃぶじゃぶやることはありませんし、防水処理さえしてあれば布靴でも充分です。さいわいここの岩は滑りにくく、また水質のせいか藻類が生育して岩に付着していることもありません。
新道を右に分ける分岐が下二股(帰路ここに降ります)、ここからいよいよ滝の連続となります。それぞれ名がつけられているものもあり、気づいたもので白糸の滝、水廉ノ滝、羽衣の滝、万丈の滝、七重の滝、見晴らしの滝、竜神の滝がありました。この時期、雪渓の下になっている標識もありそうです。巻いてやり過ごせるものもありますが、しぶきを浴びながら登らなければならないのもあり、また滝の途中を横断しなければならないものもあります。じつに楽しい登路で疲れる暇もありませんが、多くの一般ハイカーが登るコースにしてはちょっと危ないなぁという印象を持ちました。ガイドブックに、鎖が張られ面白味に欠けるくらいだとの記述がありましたが、それを思い出して、面白くなくっていいよぉ、とつぶやいてしまいました。(^_^;
もっとも、この時期、雪解けで水量が多い季節ではあります。
遠く濤沸湖を背に一ノ沢上部の登り(あまな氏撮影)

沢筋はエンレイソウ、オオバナノエンレイソウ、サンカヨウ、コミヤマカタバミなど森の花がにぎやかです。ウコンウツギとオガラバナがちょうど花盛りでした。チシマクロクモソウやギョウジャニンニク、バイケイソウなどは花時季にはわずかに早すぎたようです。

胸突き八丁の急登:
上二股で沢はほとんどチョロチョロになりますが、今度は急登が待っています。最初のダケカンバ帯ではわずかに黄色を帯びて開花するばかりのチシマノキンバイソウがたくさんみられます。花時季はどれほどきれいでしょう。ダケカンバ灌木帯を抜けると急峻な雪渓のジグザグ登りで頭上の馬の背を目指して喘ぐことになります。胸突き八丁と名付けられているようですが、なるほど大汗をかかせられます。
稜線に飛び出すと馬の背で、小広い裸地となっています。振り返ると清里の畑作地帯が一望です。しかし強風の通り道になっていてとても長くはいられません。

斜里岳山頂:
尾根を超える羽衣の雲・山頂より南斜里岳方向の展望

稜線を左にとって一気に高度を上げると、岩礫の急な尾根ですから足下には乾性の高山植物がたくさん咲いています。エゾツガザクラ、ミヤマオダマキ、ミヤマアズマギク、ハクサンチドリなどが目立ちます。ミヤマアズマギクとハクサンチドリの白花にも会えました。
一旦エゾゼンテイカの群落のある祠のコブで一息ついて、さらに急登わずかで待望の斜里岳頂上。思わず快哉の声をあげる大展望です。左手にオホーツクの海岸線と濤沸湖、斜里郡の広がりのさらに左には屈斜路湖、その先に阿寒の山々、また右に目をやれば海別岳、知床の山々。なんと贅沢な眺めでしょうか。残念ながら標津側は雲の中ですが、わずかに武佐岳らしいピークだけがちょこんと頭を雲から出していました。標津側はいつもながらなかなか雲がとれません。しかし、最も迫力あるのは自分のいる斜里の山群です。三井コースと呼ばれる急峻で鋭い尾根は足下から一気に北に向け駆け下っています。振り返る南への尾根はいくつものピークを連ねその先に南斜里の鋭峰を見ます。独立峰斜里岳というよりは斜里山群と呼ぶのがふさわしい景観です。
風が強く、たまらず一段下がったオホーツクの海岸線を見晴らせる灌木の陰で昼食としました。やはり関東に住む者には、オホーツクの、それも斜里岳の山頂からの眺めは、はるばる来たなぁと思わせるに充分すぎます。

新道コースもまた楽しい尾根道:
竜神ノ池
団体が登ってきたのを潮時にして山頂を後にしました。馬の背、上二股と往路をたどり、上二股から左に登り返して新道コースに入ります。
すぐに右に竜神ノ池の分岐道を見たのでそちらをとりましたが、池を見下ろすところで道は雪田に隠されます。かなり急な傾斜でそのまま下降するのを嫌って雪田と灌木との境を下りました。
竜神の池は湧水で形成された小さな池で、こんこんと澄んだ水が湧き出ています。その不思議な景観は神秘的です。どういう現象なのか水中に畦のような仕切りが形成されて3つほどに分割されています。湧水で透明なのですが、含有成分のせいでしょうか、なにか凝集したようなものが水底や周囲に付着してあまりきれいとはいえません。地元ハイカーにお聞きした話では、ここの水は飲料には適さないということでした。池のすぐ先に小さな湧き水があり、こちらは濾過されたままの水で飲用に適していることで知られているそうです。じつにおいしい水でした。北海道ではエキノコックスのおそれがあるため沢水は飲まないようにしなければなりませんが、湧き水を湧き口で汲めばまず大丈夫らしいですね。
ここから流れた沢は登路で見た竜神の滝となるそうです。
道はそのまま進むと雪田を登り返して新道コースに再び合流します。斜里岳への登路に比べれば緩やかですが、だらだらと登りは続きます。道脇にはウコンウツギやチシマヒョウタンボクが咲いてけっこうにぎやかです。
ダケカンバ・ミヤマハンノキ帯をくぐり抜けるとハイマツが現れ一気に展望も広がります。振り返って見上げれば斜里岳が大きく、また南の方向には摩周湖の縁も認められます。道の両脇はイソツツジがびっしりと咲いて、この尾根もやはり花の尾根でした。
大きな高みが熊見峠。峠とはいっても実際はなだらかなピークで、ここが最後の展望地です。
熊見峠から下二股までは、ひたすら降るのみ。粘土質の急坂で滑りやすいですが、ぐんぐん高度を下げてあっという間に沢に降り立ちます。あとは朝たどった道を清岳荘まで戻るだけ。
熊見峠より薄霧の斜里連山核心(あまな氏撮影)


斜里岳花図鑑(クリックで拡大)

エゾノレイジンソウ

シロバナハクサンチドリ

シロバナミヤマアズマギク

チシマヒョウタンボク

オクエゾサイシン

ウコンウツギ
【便利帳】 トイレ:清岳荘、旧清岳荘跡
コンビニ:斜里からの途中に2店