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尺丈山 しゃくじょうさん 511.5m

栃木・茨城の山々を一望

2012-2-12
どこから出かけるにしても高速道路から離れているのでアプローチがたいへんでなかなか登る機会のなかった尺丈山、常陸の山を立て続けに登った勢いで思い切って行ってきました。
登山口まで時間がかかった割には登りは30分そこそこ。(^_^; おまけに頂上に登り着いたら車道が登ってきていてあららららって感じでした。
車道が登って来ていると言うことは、当然、山頂部はすっかり整備されていて、休憩舎とか展望デッキとか遊歩道とか、ほとんど公園です。
でも、がっかりかというとそんなことはなくて、地元(旧美和村)で大切に整備しているのだなぁという印象でした。かつて大規模な山火事で一帯の森林が消失してそのあとを整備・植樹しているのだそうです。地元小中学生が百樹の森づくりとして多種の樹種を植えています。
そしてこの山の魅力はなんと言ってもその眺望です。なだらかな準平原と言っていいような常陸の山々と八溝の山々がぐるり展望できます。
山歩きらしい山歩きはできませんがアプローチの山村風景と相まって優しい気分になれた山でした。

2013-1-20
雪の尺丈山を歩いてきました。無垢な雪面に足跡を付ける贅沢。(雪の尺丈山はこちら)

2017-12-24
休憩舎でガラス越しの陽を浴びながらのんびり過ごそうと出掛けましたがあいにく曇り空でした。(のんびり尺丈山はこちら)


      山頂広場
         山頂より男体山、右奥に堅破山
【日程】 2012年2月12日
2013年1月20日(雪の尺丈山はこちら)
2017年12月24日(のんびり尺丈山はこちら)
【山域】 栃木茨城県境
【天候】 快晴
【地図】 1/25000常陸大沢

【アクセス】 常磐道那珂ICから国道118号、常陸大宮市東富で左折して国道293号へ。花立トンネル先で国道が左折する交差点を右折して常陸太田烏山線へ。
北関東道上三川ICから烏山経由で常陸太田烏山線を通って常陸大宮市(旧美和村)鷲子で国道293号へ右折。こちらからなら上記交差点は直進。
高部で尺丈山の案内に従って左折、さらに諏訪前で左折、仲河戸でこれも案内に従って右折。人家が尽きると右手に登山口の大きな看板。
【駐車地】
登山口手前に駐車可能。数台。
【コース】
登山口 - 尾根 - 百寿の森植樹地
- 駐車広場 - 休憩舎 - 頂上草地
- 尺丈山駒形神社 - 駐車広場 - 林道
- 林道大那地方面分岐 - 尺丈山湧水
- 登山口

全行程 2時間 初心者向き
【メモ】
陽だまりの登山道(5合目)
 
(2012−2−12)
あっという間に頂上:

山村風景が好ましい仲河戸(なかごうど)を過ぎて人家が尽きると大きな看板でそれとすぐにわかる登山口があります。駐車地の先で仲河戸川を渡ると山畑の脇の登りになり、まもなく杉の植林地になりしばらくは見通しのないなだらかな山道をたどります。植林地なのでこれといって見るべきものもありませんが、一箇所下草に茶が生育している場所があります。かつて山畑で茶を栽培していた場所から半自生になったのではないかと推察しました。
左側が落葉樹林になると道は何度か折れて尾根に登り着きます。尾根は右側が落葉樹、左側がヒノキ林でしばらくは日だまりの気分のよい道が続きます。このあたりがこの山で唯一山歩きらしい気分になれる道です。やがて左に折れて尾根からはずれるとすぐに芝草の道となり一帯にはよく整備された植樹地が広がっています。
平成13年と16年に大規模火災があってこのあたりの山林はすっかり消失したとのことで、なるほどここに登り着くまでに黒こげの枯れ木が幾つも横たわっていました。おそらく山林火災の時の残骸です。
そのためこの山林の再生を目指して「百樹の森づくり」として地元の小中学生が多くの樹種を植樹しているそうです。いまは材木生産のためにヒノキなどの植林はせず山を豊かな森にするのが世の流れになってきているのかもしれません。(道の脇に梅とか柿まで植樹されていたのはちょっと笑ってしまいました。ま、どうせ自然林ではないのだから何を植えてもいいか。(^_^;)

休憩舎
山頂からは素晴らしい眺望:
反対側から登ってくる車道の終点の広い駐車場をかすめ右に折れて階段を登るときれいに管理された休憩舎があり、そこから大きな眺望が得られます。舎内にはテーブルと椅子があり、外は冷たい季節風が吹いているのにガラス越しに冬の陽光をいっぱいに浴びて、休んでいると暖かく眠くなってしまいそうです。
休憩舎のすぐ先が頂上部の一端で、ここから三角点のある最高点まで百mほどもある細長い平坦尾根となっています。所々に丸太のベンチを配した草地でまばらに桜や赤松などの大木があって園地のような雰囲気です。でも整備されてはいるものの控えめな手の入れ方なので雰囲気をぶちこわしている風には見えず、むしろ地元の山を大切に整備しているように感じました。
眺望はすばらしいの一語です。
西に日光、高原山、那須などの名だたる山々が白く輝いて見えます。しかしあいにくの季節風のため雪雲に遮られてかろうじて見え隠れしている程度でした。そのかわり雪雲のかからないその南の足尾や安蘇山塊はくっきり見通せました。つまりここからは栃木県全体を眺めることができるというわけです。
南には関東平野、南東に太平洋、東には高鈴山など日立周辺の山や男体山など奥久慈の山、北東に里美牧場周辺のなだらかな高原状の山地、北に八溝山とぐるり大展望です。
とりわけここからの眺めで魅力的なのは日立周辺から八溝山に至る山群で、もうどれがなにやら判らないなだらかな準平原の様な地形が続いています。実際行ってみると谷もあり山もあって高原ではない普通の山地なのですが抜きんでて高い山がなくどれも同じような標高なのでそう見えるのでしょうか。この優しくもあり凡庸でもある常陸の山の特徴こそが魅力でありまたあまり登山者を惹きつけない理由かも知れません。
この頂上は鋭いピークではありませんから頂上に立って360°眺められるわけではありません。自分が移動しながらあちこち展望を楽しむことになります。西に向けて展望デッキがありますが特にデッキからが特別な景観ということではありません。どこから眺めてもそれぞれすばらしい景観です。
眺めを楽しみながら草地の頂上部をたどると最高点に尺丈山神社があります。裏手に回り込むと神社に隠れるように三角点があり、その脇に社殿より前から在ったと思われるような石塔があってそちらには「尺丈山駒形神社」と彫られています。駒形神社が元々の名前なのでしょうか。
 
     八溝山、高笹山
 
       日立の山々

植林地の中の林道を下山:
神社の周囲は杉木立で展望がありません。山頂からの展望もこの方向のみ杉木立が邪魔してしまいます。
神社からは直接駐車地へ下りることができます。駐車地はかなりの広さで、駐車場というより植樹のイベントなどで利用するための広場なのでしょうか。よく内容を読んではきませんでしたが、ベビー用品の会社がバックアップしてピジョン美和の森の植樹イベントがあったようです。赤ちゃんが生まれると記念の植樹をしたらしいです。
この広場にはトイレや植樹用の休憩舎がありますが休憩舎はそのイベント用のためようです。
トイレは建物はきれいですが冬なので掃除などはしていないらしくかなり汚れていました。たぶんシーズンになると管理が入ってきれいで快適なトイレになるのではないでしょうか。
下山は周回コースにするために林道を歩いてみました。ところどころ雪に覆われているもののよく整備された道で山頂へ向かう数台の乗用車やバイクに会いました。
林道は途中見るものもなくただテクテクと下山するのみです。
左手に堰堤が見えれば登山口はすぐそこです。登山口手前左手に小屋がけの尺丈山湧水がありますが冬の渇水期のためか涸れていました。
尺丈山湧水

(2013−1−20)
真っさらな雪を蹴って:
 
1週間ほど前に関東に降雪がありました。雪を蹴って低山逍遙と洒落込みました。
1週間経ったというのに誰も歩いていないようで無垢の雪面に足跡を付けてきました。いろいろな野生動物の足跡が交錯してこんな低山なのに自然豊かなことを実感しました。

     山頂広場

   尺丈神社 神社裏に三角点
この日も大展望でした。日光、高原山、那須、八溝山、男体山、高鈴山、吾国山、筑波山など360度の眺望はこんな低山とは思えない広闊さです。
大子航空無線標識所を発見。飛行機に乗って北へ向かうときこのあたりを通ります。見下ろすような低い山にあったのが意外でした。
また里美牧場の風力発電風車もくっきり見ることができました。

    大子航空無線標識所

     美里牧場風車群
ガラス越しの陽を浴びて
休憩は山頂の休憩舎で。ガラス窓から射し込むあったか冬陽を浴びながらゆっくり昼食としました。折からの強風でくっきりと見える栃木・茨城県境の山々や日光連山など素晴らしい眺望をガラス越しに眺めながら味わうコーヒーのおいしさ。外の風などまったく感じません。
ボランティアの方々がきれいに管理なさっているようでじつに気持ちのよい休憩舎です。(休憩舎内は火気厳禁です。保温ポットをお忘れなく。)
(2017−12−24)
道祖神
 

道祖神:
頂上の休憩舎でガラス越しの陽を浴びながらのんびり過ごそうと出掛けましたがあいにく曇り空でした。展望も近景に限られて筑波も日光もシルエットだけ。
とはいえ、清潔な休憩舎は風もしっかり遮られてお弁当をいただきながらのんびり過ごすことができました。
登山口の道祖神は双体道祖神のような人の姿を想像していたのでこれまで登山口にあったのに気付きませんでした。なんと道標かと思っていた石碑に道祖神と彫られていました。「左おふなち 右とちはら」の字だけしか気付かなかったためてっきり道標とばかり思っていました。文字だけの道祖神だったというわけです。
この「おふなちは」は那珂川町大那地で林道をこのまま登り途中尺丈山頂上への道を分け直進すると山向こうです。「とちはら」は大子町栃原で尺丈山の向こう側ですがこの道標が指し示すのは昔の山越えの道のようです。尺丈山頂上が馬場だったといわれていますので馬も通れる道だったのかも知れません。現在は今しがた通った高部からの道をそのまま走ってタバッコ峠を越える自動車道が通じています。
【便利帳】 トイレ:山頂下林道終点、道の駅みわ
コンビニ:鷲子交差点近くにコンビニ 道の駅みわでも買い物が出来ます
【寄り道1】 三浦杉 小野田にある吉田八幡神社に杉の巨木
【寄り道2】 龍門の滝 烏山にある優美な滝に寄り道
【収穫】(^_^; 8片 30g

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