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  のこぎり山  のこぎりやま 626m

飛駒の里を守るかのように聳える端正なのこぎり山は実際に登ってみると小さな岩峰の連なる愉快な尾根でした

飛駒の古刹永台寺の北に端正な姿の山が鋭く聳えていますが、ガイドブックなどにも紹介されていることもなく、どんな山なのかと前々から気になっていました。
サイトを巡ってみると「のこぎり山」ということだけは判りましたがガイドというほどのものは見あたりません。
先日、飛駒の要谷山に登ったときにもその姿にほれぼれして、正月の穏やかな一日、藪を覚悟で出かけてみました。

取 り付きでこそ道のない斜面を闇雲に登ったものの最初のピークから先には消え消えながら尾根道の痕跡もあってコンパスと地形図と勘(^_^;をたよりに北へ 走る尾根をどうにかたどれます。(飛駒から見ると独立峰に見えますが実際はのこぎり山の名が示すようにこれは北へ続く尾根の第1峰です。)
岩をよじ登ったり藪を突いたりルートを定めたり、それは楽しい一日でした。
尾根が右に左にと折れ曲がっているのでピークでどっちに下ろうかと悩んでしまうことが何度かありましたが、どうにか送電線まで北上して巡視路を下山してきました。


(一般ハイキングコースではありません。)
【日程】 2009年1月3日
【山域】 安蘇
【天候】 快晴
【アクセス】 田沼(佐野市)からなら田沼桐生線、足利からなら須花トンネル経由で飛駒へ入り、番場で梅田(桐生)への道を左に分け直進すると右に根古屋森林公園、左に永台寺へと分かれるY字路があり、そこを永台寺方向へ。
眼前にのこぎり山を見上げる様になると左手に永台寺。
【駐車地】
永台寺入口前に旧道の跡があり1,2台駐車可。
すぐ前には市天然記念物のみごとな黒松。

【コース】 永台寺 − 墓地 − 植林地 − 石祠 − 頂上(山神宮) − のこぎり尾根 − 主峰 − 送電鉄塔 − 巡視路
− 林道 − 寺沢 − 駐車地
約3.5時間 経験者向き
            永台寺 仁王門

        最初の登路から見下ろす飛駒の里

             飛駒から見上げる端正なのこぎり山

【メモ】 取り付きでうろうろ:
雑木と赤松の岩尾根を登る
飛駒を北へ走ると眼前に端正な鋭鋒を見上げるようになります。のこぎり山です。端正な円錐形に見えるのに何故にのこぎり山なのかと思いますが、その理由は登ってみればわかります。
ほとんど予備知識のないまま永台寺前の旧道跡に車を停めて入山点を探りました。それらしいのは永台寺とその先の神社あたりですが、とりあえず永台寺へ行ってみました。
駐車地の前には市天然記念物の黒松があり、説明板によれば樹齢400年とのことです。
石段を登り仁王門をくぐるときれいに整った境内で、正面に本堂、左手に墓地があります。コウヤマキの大木が目をひきます。先ほどの黒松と同様樹齢400年だそうです。
境内を散歩している方に入山点をお聞きしたところわからないというので仕方なしに適当に墓地の裏手に回ってみました。山裾の墓地では墓地内の道がそのまま山道となる
ことも多いのでもしかしたらと思ったのですが、どうやら寺の裏手に回り込んでいるようでした。さらに分岐する道を選んでみたところ伐採の作業道となり頂上方向へは繋がっていませんでした。
こうなったら闇雲に上を目指すしかなく、なるべく歩きやすい植林地内を直登してとりあえず尾根筋に出ようと登っているうちに山道の痕跡に出くわしました。そのままたどると尾根に飛び出し、そこには石祠と石灯籠がありました。

明るい尾根は赤松の倒木だらけ:
落葉樹に囲まれた明るい尾根道
ここからは北へ登る尾根上の道跡をたどりますが、露岩、赤松、雑木の明るい尾根で一気に高度を上げることができます。振り返ると飛駒の里が一望です。また要谷山、多高山が左右に控えて飛駒の里を守っているかのようです。
道跡は消えたり現れたり程度ですが明るい尾根で快適に登れます。しかし、かつては赤松の緑に被われていたであろうこの尾根も今はそれらが枯れて無惨に折り重なった姿を見せています。どれも乗り越えるのに苦労するほどの大木です。残った赤松の大木も行く末が案じられますがなかにはすでに茶色に変色した葉の赤松もあってまだまだ松枯れの猛威が終わったわけではないようです。
尾根筋は徐々に露岩が多くなりまた落葉樹が優勢になりながらさらに高度を上げていきます。

薄い藪と消え消えの道が続く楽しい尾根:
登り切った尾根上にまた石祠が現れました。山神宮と彫られています。石祠の台座には麓の3箇所の字名、寺沢、黒沢、鳥谷戸と彫られています。つまり飛駒北半の集落の共通の山神様のようです。
木の間越しに周囲の山や黒沢の集落などを眺めることができます。一本調子の登りはここまででこの先は登り基調とはいえ尾根の縦走となります。
のこぎり山第1の頂上の山神宮
一応この石祠のあるところをのこぎり山とするのが妥当かなと思います。が、しかし顕著なピークではなく尾根の末端という感じで、ここからちょっと平坦な痩せ尾根をたどってから登ったり下ったりその名が示すようにのこぎり尾根となります。(下山後、麓で地元の方にお聞きしたところ特にどのピークをのこぎり山と特定しているというよりはあのギザギザの山とおっしゃっていたのでのこぎり山の呼称は一帯のアップダウンの続く尾根全体を指しているようです。)
地形図でも小さな鋭いピークが2つ認められますが実際は地形図に表現できないような小さな岩のピークが次々と現れ、その都度直登しようか巻こうかと迷うことになります。おまけに尾根は北上したかと思うとピークで西に折れ、また北に折れ、という具合に頻繁に方向を変えますので油断がなりません。しかしこの小さな岩峰の連続する尾根こそこの山の魅力で、岩角や木の根頼りに登降する箇所もあって多少山慣れたハイカーには楽しい尾根かもしれません。
地形図上の2つの鋭いピークのうち最初(南東)のピークは多少展望もあり、先ほどの山神宮の頂上と並んで第2の頂上という感じです。(主峰がいくつもあるのは言葉の意味にそぐわないものの、のこぎり山の名からもそんな感じです。)
このあたりどのピークからも木の間越しに丸岩岳から奈良部山へかけての稜線が間近に見えます。
はじめは適当なところから引き返すつもりでいましたが、ここまで登った感じでは下降は少々危険が伴いそうです。地形図を見るとこの先に送電線が表記されているのでいっそそこまで行けば巡視路があるはずだと思いそのまま送電線を目指しました。
第2の山頂からのルート取りは少々迷いました。小さいながら鋭く突き上げているピークなので尾根がどちらに走っているのか判断できません。オマケに藪に被われて見通しがきかず道形も消えています。ウロウロしたあげくやや西に方向を変えて急斜面を下りました。木の根、岩角が頼りの急下降です。
一旦緩やかな植林地を経て再度落葉樹の尾根を進むと第3の頂上ともいうべき鋭峰に登り着きます。行く手に送電線が見えます。しかしここからのルートも少々迷いやすくここでもやや西に方向を変えます。

送電線巡視路:
送電鉄塔
最後の鋭峰から鞍部に下るとすっかり植林地となり楽しい尾根歩きもここまでです。
作業道をたどると左から巡視路が登ってきてわずかな登りですぐに送電鉄塔の広場に飛び出します。新栃木線の巨大な鉄塔です。
送電鉄塔からはよく整備された巡視路をたどれば迷うこともなく快調に下山できます。中腹のもう一つの鉄塔を経て林道に飛び出し、あとは寺沢までのんびり歩くだけです。

山名について:
たぶん鋸山なのでしょう。しかしガイドブックなどにものこぎり山に触れたものは見あたらず、ましてや文献というものも目にしたこともないので正確なところはわかりません。
一方、山行後に気付いたのですがWeb上にある記述ではひらがなで「のこぎり山」としてありますのでここでは先人に従いました。
このWebサイトは地元の
飛駒の自然を守る会 http://wiki.livedoor.jp/hikomahurusatokai/(連絡先がわかりませんので掲載許可をいただいていませんが見ていただきたいサイトですので敢えて記述しました。関係の方の連絡をお願いします。)
によるものですからこの記述に従うのが良いかと思いました。。
またこれも下山後に見つけたのですが同じルートを登りさらに長駆けして多高山まで周回した記録がありました。
あにねこ登山日誌 http://anineco.sakura.ne.jp/index.html (http://anineco.sakura.ne.jp/080130.html)

登路から見る多高山

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