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西金砂山 にしかなさやま 412m

西金砂神社が鎮座する中世の歴史を刻む山

生瀬富士から始まって袋田の滝、男体山、奥久慈岩稜、明山を経て延々と続く久慈川左岸の長大な断崖列は西金砂山をもってほぼ終わります。
低山ながら豪快な断崖をまとったこれらの山々は岩を縫って登ったり崖の縁をたどったりと山遊びという言い方がぴったりの山域です。
西金砂神社、金砂城址など信仰や歴史に思いを巡らしながら西金砂山をのんびり歩いてきました。


            西金砂神社拝殿

       西金砂神社本殿
【日程】 2018年3月24日
【山域】 奥久慈
【天候】

【アクセス】 登山口まではちょっと複雑です。
那珂ICから国道118号(大子・袋田の滝方面)へ。大宮市街を抜け山方宿の先でトンネルが見えたらそこの信号を右折して岩井橋を渡り県道29号へ。トンネルの上には「そば道場」の大きな看板があります。
県道を5kmほど走ったら西金砂神社の案内に従って左折。その先は林道西金砂線となってほぼ道なりに走ります。要所に案内があります。山間部は対向車が来たら結構難儀しそうな狭い道です。
【駐車地】

西金砂神社前に駐車場。10台以上。
【コース】
駐車場 - 西金砂神社拝殿
- 西金砂神社本殿(西金砂山)
- 諸沢口鳥居(諸沢口分岐) − 三角点
- 安龍の滝 - 天下野口鳥居 − 駐車場

実行程約2.5時間 一般向き


【メモ】
ほぼ車で登ってしまう:
神社前のサワラ巨木

狭い林道西金砂線を対向車が来ないことを願いながら登ると途中に鳥居が現れます。これが一の鳥居です。右手に上がった所に駐車場があり隅にきれいなトイレがあるのでまだ出発点にも着いていないのにここで小休止。
鳥居の先ではさらに道は狭くなりカーブも傾斜もきつくなりますがやがてなだらかになったと思うと突然あたりが開けて西金砂神社前に着きます。広い駐車場がありますがまだ時刻も早いせいか車は私たちの1台のみです。畑の向こうに社務所も見えますがひっそりとしています。大きな鳥居があってその脇にサワラとイチョウの巨木が天を突いています。
反対側の駐車場の上に広場があります。ここがに金砂城址だそうです。ただの平地で空堀とか郭の跡などの山城の遺構も見当たらず説明板がなければそれとはわかりませんが、それもそのはずで普通見る城跡とは時代が違うようです。源頼朝の金砂攻めやら南北朝時代の戦などの舞台だったようで、戦国の時代よりひとつふたつ時代が遡るわけです。

急な石段を登って本殿へ
断崖上の西金砂神社:
断崖上の西金砂神社:
鳥居をくぐって急な石段を登ると西金砂神社拝殿があります。こんな山上とは思えない立派な造りの神社です。806年創建と言いますからなんと1200年以上の歴史を誇るというわけです。806年といえば桓武天皇が亡くなった年、つまり平安時代当初から続いているわけですからなるほど風格もあろうはずです。
まずは山行の安全をお願いしてから出発です。こら、オレのお賽銭で横から拝むなよ。(^_^;
廻り縁の下に狛犬の様な彫り物がお行儀よく並んでいる姿がかわいいくて荘厳な神社にあってほほえましい一角です。
拝殿左手からさらに木の根が露出した坂道を登って最後に急な石段を登ると頂上です。周回岸の上に西金砂神社本殿が建っています。
よくぞこんな険しい岩山の上に。車道もなかった時代に麓から危険な岩壁を縫って登り着いた時にどんなにか荘厳な気持ちになったでしょう。
ところが社殿の周囲を囲う手すりにはユーモラスな猿の木彫が手すりを支えるような格好でいくつもはめ込まれていて荘厳な山上の社殿であってもなんだか遊び心満載です。
左手は数十メートルの断崖で柵がなければ怖くて縁に立てないかもしれません。西に大きく展望が得られます。眼下にいかにも奥久慈らしい景観が展開しています。険しい断崖とのどかな丘陵とが混在した不思議な地形のなかに箱庭のような集落が点在しています。遠景には雨巻山や筑波山群、中景には栃木茨城県境の山々が連なっています。いつもいつも茨城の山に登ると栃木県東部から茨城県北部にわたって続く準平原のような広がりを眺めることができますが何とも心和む景観です。
本殿の裏手に展望テラスがあり、さらに広大な展望が得られます。
本殿の裏から東側に回り込むと小さな神社がいくつかありその先にまた展望テラスが建てられています。ところがこちらは周囲の樹木が茂って展望はほぼ遮られてしまってちょっと残念です。

     猿が「よっ」(^_^;

    本殿から栃木県境方面の山々

神社の先でやっと山らしく:
北の方向に階段が下っていきます。下りきったところにまた鳥居が建っていてこれは諸沢方面からの参拝道の鳥居です。山麓のあちこちから参道が集まっていることだけを見てもこの地方での金砂神社への信仰の篤さがうかがえます。
鳥居の地点で諸沢参拝道から離れて尾根通しに道が上がっていますのでこちらに道をとると今までの神域らしい道からやっと山道らしくなりしばらく尾根道をたどると三角点峰(410.2m)に登り着きます。
本殿のある西金砂山からここまでずっと左手が断崖で所々樹林が切れると圧倒的な高度感で奥久慈の景観を見下ろしてきました。さすがに危険を避けるために道はやや尾根から右に少しだけ離れたルートにつけられていますから気分的には怖さはありませんが実はほんの数メートル左は数十メートルもの断崖が切れ落ちているわけです。
三角点峰は北側半分は樹林に遮られていますが南側半分は少しだけ木々があっても結構展望が開けていて休憩にちょうどよいポイントです。ここで昼食にしました。

     ヤブツバキ

      優しい逆川源流部(滝上)

安龍ヶ滝周回:
安龍ヶ滝

三角点峰からさらに尾根伝いに踏み跡が続いてて、地形図を見るとずっと断崖と並行していてはたしてどこまでその尾根道が続いているのか興味はわきますが私たちは安龍ヶ滝を目指してここから一気に沢筋まで下降開始です。
急な下りですがあたりはヤブツバキ、カシ、サワラなどの常緑樹やシデ、コナラなどの落葉樹がとりどり混交している樹林で、とりわけちょうど開花時期のヤブツバキが豊かな自然に文字通り花を添えています。
やがて沢音が聞こえると逆川に降り立ちます。ここがちょうど安龍ヶ滝の真上になります。対岸の階段道から回り込むと安龍ヶ滝の下に出られます。水量はそれほどありませんが落差もそこそこあるので雨後なら豪快かもしれません。
徒渉点まで戻り沢伝いに遡ります。ナメの優しい流れが続きのんびり気分で沢沿いをしばらくたどるとやがて道は沢から離れて左手に少し登り広い道に出ます。天下野(けがの)からの参道のようです。鳥居が見えたら自動車道に飛び出し右にたどると西金砂神社に戻ります。
駐車場には私たちの車だけがぽつんとあるのみでした。
【便利帳】 トイレ:一の鳥居駐車場
【収穫】(^_^; 6片 20g
【寄り道】  日立お魚センター:日立港にある道の駅
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