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鍋倉高原 なべくらこうげん

恐るべし信越豪雪帯

信越トレイルの東の起点・天水山〜三方岳を歩いて初冬のブナの森を楽しもうと出かけました。今回は石打ICから津南経由で松之山天水越へ入りそこから登山口を目指しました。ところが、天水越から高原状の丘陵地にさしかかったところで、前週の雪がいったん融けてそれがカチンカチンに凍結していて冬タイヤなど役にも立たず恐ろしい目に遭いました。登山口どころか麓の大厳寺高原までさえたどり着けませんでした。さすがに日本一の豪雪地帯です。
仕方なし津南まで戻ってからぐるり信濃川に沿って信州入りし、先日行ったばかりの鍋倉山に転進と相成りました。
ところがなんとこちらも峠越えの県道がまだ11月というのにすでに冬期の通行止めで、関東の住人には考えられないような状況に立ち往生。
このまま帰るのも悔しいので地元の方にこの辺でブナの森はとお聞きして言われるままに鍋倉高原に回ってみました。
適当に標高の高い方向へ走って行ったら高原野菜畑の上部から一筋の登山道が稜線目指していましたのでとにかく登ってみることにしました。
はじめこそ数cmほどの雪を踏んで藪がちの道をたどる程度だったのが、登るほどに徐々に雪が深くなって最後は膝まで没するほどの積雪に悪戦苦闘、ついに息切れして敗退してしまいました。でも、まっさらな雪面に足跡をつける気分はなかなか楽しく、また野ウサギ、カモシカ、熊などの足跡がたくさんあってほとんど手つかずのブナの森を満喫しました。
それにしても11月でこの積雪、恐るべし信越豪雪帯です。


      雪に包まれたブナの森で悪戦苦闘
         高原野菜農場から鍋倉山、斑尾山
【日程】 2011年11月27日
【山域】 信越
【天候】 晴後薄曇り
【地図】 1/25000野沢温泉、柳島

【アクセス】 戸狩温泉から、あるいは国道117野沢温泉入り口付近で千曲川を渡って、関田峠道の麓の温井へ。温井で右折、なべくら高原森の家へ。(ところどころに案内版あり。)
そのまま森の家を過ぎて牧峠分岐まで。
【駐車地】 路肩に駐車
【コース】
牧峠分岐 - 野菜畑 - ブナ林 - 平坦地
(往復)

全行程 2時間 新雪数cm〜50cm
【メモ】
意外な近さに苗場山
 
道路の凍結で行けるところまで:
温井からなべくら高原森の家までは気分のよい高原を走ります。あたりは高原野菜農場で最後のキャベツ収穫をしているところでした。
看板に従って高原道路を左折すると程なく森の家、さらに森の家を過ぎて牧峠への道を上がっていきます。
徐々に雪が多くなり凍結が見られたところで駐車しました。ちょうど分岐になっていて左に進めば牧峠、右は高原野菜畑の中へ続きます。
ここまで登ると畑は一面の雪で、取り残しの野菜を食べに出てくるのかたくさんの野生動物の足跡がありました。
振り返ると苗場山がいつもとは逆の姿でどーんと聳えています。野沢温泉のスキー場や木島平、さらに鍋倉山や斑尾山なども近くに見えなかなかの展望です。
道は畑の端を半周してから山道に変わります。入山点に見慣れた信越トレイルの標識がありますがなんの表記もありません。とりあえずどこに登りつくのかはわからないままこのコースを登ることにしました。

若木の多いブナの森
 
雪と格闘しながらブナの森へ:
全く人の入った形跡はなく新雪に足跡を付けながら気分は上々です。
ユキツバキの多い緩斜面を進むと小沢を2度ほど渡り、徐々に傾斜が強くなるとあたりはブナの森になりました。
若木が多いなかにところどころに大木も見られます。しかし、鍋倉山周辺のような巨木と呼べるほどのものはなく、たぶんこの一帯は一度伐採されたことがある二次林ではないかと思われます。
ブナが優勢ながらブナの純林ではなく雑木林のような雰囲気があります。それに林床はチマキザサに覆われて鍋倉山周辺のようなすっきりした森ではありません。それだけに多種の樹種が繁茂して森全体に勢いが感じられます。
傾斜とともに積雪も多くなり凍った表面を(体重の重い私だけが)踏み抜いてズボッと腿まで埋まる雪に悪戦苦闘となりました。
なかなか現在位置がつかめずルートも所々判然としないのですがなんとか稜線まで行って信越トレイルをわずかでも辿りたいものだと頑張りましたがさらに雪が深くなり、平坦地に出て地形図の位置と一致したところでひとまずここまでとしました。
ガンガン突き進む仲間に後れをとりながら慣れない雪に苦労しましたが誰にも会わない白い世界に大満足でした。
雪の中で淹れたコーヒーのおいしいこと。
下山は一気に:
下山は登りに付けたトレースをそのまま一気に駆け下りました。
畑に戻り、そこからはのんびり風景を楽しみながら車まで戻りました。
帰りには森の家に寄っててコーヒーと特製のケーキで冷えたからだを暖めてゆっくりしてきました。
森の家は信越トレイルクラブの拠点で地図など販売しています。冬にはスノーシューのワンダリングなど企画しているようです。
帰ってから調べたところ、今回辿ったルートはかつての宇津ノ俣峠へ登る道で、現在ではあまり歩かれてはいないようです。途中藪に覆われている箇所もあって夏道としてもルート判断が難しいのではないでしょうか。標識になんの表記もなかったのも納得できます。
          

       倒木に苔 

       鍋倉山
【便利帳】 トイレ:森の家