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虫倉山 むしくらやま 1378.1m

眼前にどーんと白く輝く後立山

虫倉山は長野市旧中条村の背後に衝立のようにそびえています。そのため南麓の御山里(みやまさ)あたりは南向き斜面の日だまりとなってのどかな山村風景を見せていました。
山頂からは遮るものなしのぐるり大展望。なんと言っても後立山連峰は目と鼻の先で、どーんと真っ白な峰々を大迫力で見せてくれます。

   虫倉山頂上       麓の御山里太田から見上げる虫倉山
【日程】 2012年11月25日
【山域】 信州
【天候】 快晴

【アクセス】
長野ICを出たら右折し県道35号へ。下氷鉋(しもひがの)で国道19号長野南バイパスへ左折、犀川沿いを走ってから白馬長野道路(オリンピック道路)へ。
道の駅中条の先で左折してループ様にオリンピック道路をくぐって旧道へ出たら右折してさらに左折して狭い山道を登ります。
栃倉の棚田を左に見て水車小屋前で県道に突き当たったら左折、虫倉山道しるべ前を右折(案内標識有り)、道なりに登れば不動滝前の駐車地。
【駐車地】
数台駐車可。
【コース】
駐車地 - 不動滝 - 堰堤 - 金倉坂
- 高福寺分岐 - 日本記分岐 - 東屋
- 虫倉山(往復)

全行程 2.5時間
【メモ】
電光を切った登山道:
不動滝
 

駐車地のすぐ先に不動滝があります。水量はさほどありませんが岩場をさらさらと流れ落ちて優しい姿を見せています。
滝の先が登山口です。
最初こそ植林地の中を登りますがすぐに雑木林となります。沢すじにはシモバシラがたくさん見られます。毛細管現象で維管束を伝ってきた水分が凍結してきれいな氷の造形を見せる不思議な植物です。

シモバシラ(クリックで拡大
沢から離れるあたりからは大木の多い美しい落葉樹帯になります。急斜面ですが登山道が電光を切ってあるためさほどつらい登りではありません。
電光の登山道の途中に金倉坂という標識があります。
やがて稜線が間近になると高福寺分岐と表示された案内板が建てられています。尾根道をたどって山麓の高福寺に通じる道だそうです。
尾根に出てしばらく登ると日本記分岐があります。直進する道は小川村日本記へ通じているというのですが、日本記はかなり遠方でその上地形図で見ても登山道が複雑で果たしてほんとうに歩かれているのか疑問に思えます。実際、道は踏み跡程度に見えました。
目指す虫倉山へは尾根上を右に折れます。
すぐに休憩用の東屋があり、このあたりから樹幹に後立山が覗けます。真っ白に輝いて頂上からの眺めをいやが上にも期待させてくれます。

     登路の落葉樹林

      熊の爪痕(熊だながあったミズナラの幹

頂上から箱庭のような御山里、小川の先に北アルプスを見る

大展望の頂上:
東屋からは緩い登降の尾根をたどりひょっこり頂上に登り着きます。
思わず歓声をあげる大展望です。
なんと言っても後立山、とりわけ鹿島槍と五龍岳が間近に圧倒的な大きさで迫っています。真っ白な尾根はさらに北(右)に唐松岳、白馬三山、小蓮華岳、乗鞍岳へと続きます。
一方、左には爺が岳、針木岳などを経て槍ヶ岳、穂高連峰、常念岳、蝶が岳など馴染みの山々が一望です。
さらに遠く中央アルプスまで届く大展望です。
北に目を転じると高妻山、戸隠山、妙高山などが間近に並んでいます。西岳の激しい稜線も目と鼻の先です。
さらにぐるり見渡せば草津の山々から四阿山、浅間山など上信の山、さらに奥秩父、八ヶ岳も一望です。
山岳展望とはまたちょっと違った足下の山村の眺めもこの山の魅力のひとつです。すぐ目の下の旧中条村御山里がまるで箱庭のよう。
里山や棚田に包まれるように民家が点在して心和む風景です。そんな集落が小川村や旧美麻村へ続きその先にはずらっと北アルプスの名峰の数々が並んでいます。なんという豪華な景色でしょう。いつまでも山岳同定して見飽きることのない虫倉山山頂です。
頂上の一角には望遠鏡が設置されていてこの大展望をさらに楽しくさせてくれます。どなたかが槍ヶ岳の穂先にピントを合わせてくれたので岩肌一つ一つまで思い出させてくれました。この虫倉山の方向がちょうど良い具合なので穂先の右に小槍がツンと立ち上がっているのもはっきり見えます。
ゆっくり昼食をとって、さてどのコースで下山しようか。居合わせた地元のベテランに伺ったところ選択肢の中で南に下るさるすべりコースは急峻なうえに私たちの入山点の不動滝まで戻るのに難があるとのことでした。他のコースはもとより周回が無理で、結局元来た道を戻ることにしました。

心和む御山里のたたずまい:
栃倉の棚田
 

下山後、麓の山里の何カ所かでカメラを取り出しました。
枝もたわわな柿の木を前景にのどかな家々を配してその頭上に岩の断崖を巡らした虫倉山が屏風のように聳えています。
県道に出たところに虫倉山道しるべという小舎があります。このあたりからの景色は山を見上げても里を見下ろしても絶景です。この小舎の前に虫倉山の山姥の説明板があります。
少し県道を走って右に折れて下りますがその交差点付近には水車小屋があります。見学も可能なようです。
さらにそのすぐ下には栃倉の棚田があります。向かいの集落と相まって一幅の絵のような景色を見せています。この棚田はどうやら農業機械を利用するためかきっちり整備されているので他所のような昔ながらの風情の棚田とはやや趣が異なります。保存のためだけに維持している棚田が多い中、山村の水田維持のひとつの方法でしょうか。
改めて、虫倉山の展望はどうだ!:
虫倉山の展望です。なんと言っても後立山の迫力!
白馬の谷(姫川流域)を隔てて後立山まで、ここより高い山はなく遮るものなしの大展望です。唯一残念だったのは山頂の一部の木が大きくなってしまっていて白馬岳から乗鞍岳まで少し枝が邪魔をしていることです。とはいえ一目で全山が見えないだけでちょっと自分が移動すれば展望に差し支えるほどではありません。
(写真12枚)

     木曽駒ヶ岳 鉢盛山

     大滝山 蝶ヶ岳 常念岳

     穂高連峰 槍ヶ岳

     野口五郎岳 水晶岳

     蓮華岳 針木岳 スバリ岳

     爺ヶ岳 ちょっとだけ立山

     鹿島槍ヶ岳

     五龍岳 遠見尾根

     唐松岳 不帰嶮 八方尾根

     天狗尾根 白馬鑓ヶ岳 杓子岳

     白馬岳 小蓮華岳 乗鞍岳

     西岳(三峰 二峰 一峰 本院岳) 高妻山
【便利帳】  トイレ:道の駅中条 虫倉山道しるべ 
【収穫】(^_^; 3片 10g  たぶん落ち葉の下になって見えなかったのかと
【寄り道】  千見(せんみ)おやきセンター
帰るには逆方向になりますが、オリンピック道路を白馬方向に走って小川村から大町市旧美麻村に入ってほどなく(白馬方向なら左側)です。これまでオリンピック道路沿いのいくつかのおやきの店で買いましたが、最近はここに決めています。具がたっぷりの蒸し系おやきです。すぐに食べても美味しいし、自分で追い焼きして焦げ目を付けて食べてもおいしいです。

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