目次
番外 室生寺 むろうじ455m

山深い室生の里の古刹

室生寺に行って来ました。
山じゃないでしょ、お寺でしょ。山です。登る、登る、ほぼ山歩き。

奈良にハマったのはここ1,2年のことですが、室生寺はずっと昔から行きたい行きたい、いつかシャクナゲの咲く季節に行ってみたいものだと思い続けていました。あいにくシャクナゲの蕾の堅い真冬になってしまいましたが。

室生寺が女人高野と呼ばれる由縁は女人禁制の高野山に対して女性の入山を受け入れていたからですが、全体の印象もとても女性的です。威圧するようなおおきな堂もなくこぢんまりとしています。
本来性別のないはずの仏様ですが十一面観音様などはふくよかで女性そのものです。五重塔もホントに小さくて周囲の杉木立に比べても杉の巨木さが際立つほどです。


      表門
        金堂
【日程】 2016年2月4日
【山域】 奈良
【天候】

【アクセス】 近鉄大阪線室生口大野駅からバス。
バスは運行本数が少ないので注意。往きに1時間待ち、帰りに1時間半待ちというドジなことになりました。
【コース】
室生寺バス停 - 仁王門 - 鎧坂
- 金堂 - 五重塔 - 暖地性シダ群落
- 奥の院御影堂(往復) - 龍穴神社往復

全行程 3時間
【メモ】
弥勒磨崖仏
たどり着くのに一苦労:
とにかく遠いです。大阪上本町から近鉄奈良線で室生口大野駅へ。室生口大野駅がもうかなりの山の中です。でも大阪から乗り換えなしの近鉄の急行が停車するのは助かります。降りたのは地元の住人らしき女性と私だけでした。
そこから今度は室生寺までバスに乗りますが、1時間に1本です。お昼時はそれも間引いているようでほぼ2時間間隔となります。
駅前にタクシーが客待ちしていたので聞いたらあいにく予約客待ちでしばらくは代わりのタクシーもないようでした。ひたすらバスを待つしかありません。
バスは狭い駅前の道路を抜けて山間を室生川沿いを走ります。
すぐに大野寺前を通りますがその対岸の断崖に磨崖仏を見ることができます。


五重塔
あこがれの室生寺:
バス停から室生寺の入口となる太鼓橋まではわずかです。橋の向かいには大きく「女人高野室生寺」と彫り込んだ石柱と表門があります。この表門は通らずに右に折れて仁王門をくぐると鎧坂を見上げ、いよいよここから室生寺の核心です。ずっとあこがれていた室生寺ですからちょっとドキドキ。
石段の両脇にはシャクナゲが植えられていて開花期の美しさはいかほどでしょう。

石段を登ると左に弥勒堂、正面に金堂が建っています。弥勒堂には重文の弥勒菩薩様(立像)、国宝の釈迦如来様(坐像)がおわします。金堂には国宝・釈迦如来立像(薬師如来立像 一体どっちなんだ。)はじめ文殊様、地蔵様、薬師様などオンパレード状態ですが、なかでどうしても会いたかったのは十一面観音菩薩立像と十二神将立像です。
十一面観音菩薩様はふくよかなお顔立ちが女性的でまさに女人高野室生寺の象徴です。
十二神将立像はさまざまな身振りをしていてとても愉快です。そのなかで未神(珊底羅大将)にどうしても会いたかったのですが残念なことに奈良国立博物館に展示中とのことでした。あののんきそうなおっさん顔、見たかったのに。

金堂から一段上がって本堂、さらに一段上がって五重塔です。このあたりはシャクナゲだらけで、やはり花の季節にもう一度来なければいけません。
五重塔は室生寺を代表する建造物です。意外に小さいのですがそれが室生寺らしくもあるわけです。境内全体偉容を誇るような堂や塔はなく全てが精緻でこぢんまりとしていて急峻な山腹の小さな平地を探して建っているという風情です。

奥の院への道
奥の院まで石段を登る:
五重塔から奥の院までは石段を延々と登らなければなりません。しかし苔むす杉の巨木や暖地性シダの群落(天然記念物)を見たり石段脇のいくつかの石仏に手を合わせたりしながら登れば急な石段も山慣れた足には苦にはなりません。
一方、杖なしには歩行も困難と見えるお年寄りも登っていました。標高差100mもの長い石段を一体どうやってと思いましたが、それぞれの石仏に一心に手を合わせながらただひたすらゆっくりゆっくり上っていました。長く急な石段も信心の力で登れるということでしょうか。不信心者の私はただ感心するばかりです。
途中の暖地性シダの群落は説明板によればイヨクジャク、イワヤシダ、オオバハチジョウなどからなりこれらの北限分布地だそうです。いくつかの種類が混在していることはわかりましたがシダには詳しくないのでどれがどれやらわかりません。
奥の院: 
頭上に常灯堂の懸造の柱を見て最後の急な石段を登ると奥の院です。
左手に常灯堂、その先に御影堂、そして境内最高点であろう七重石塔があります。常灯堂はぐるっと裏へ回り込むと展望が開けて室生の里を見下ろせます。
御影堂は奥の院の中核なのでしょうが扉が閉められていて無知な私にはじつはなんなのかさえわかりませんでした。御影堂の左手に小高い岩塔がありその頂点に七重石塔が置かれています。登山ならひょひょいと頂点に登るのですが聖なる禁足地ですのでそれはできません。景色が良さそうなのでハイカーとしては残念ですがそもそもなんでも高いところに登りたがる方がちょっとおかしいのかも。(^_^;

     七重石塔

    暖地性シダ群落

龍穴神社

龍穴神社:
室生川の上流に龍の棲むという龍穴があります。室生寺を含めこの一帯の信仰の起源に関係あると聞きます。
室生寺から室生川沿いに県道を歩くと室生トンネルからの道に出てさらにわずか歩くと左手に龍穴神社があります。立派な神社ですが人気もなく静かでした。
龍穴はこの龍穴神社の裏手の谷奥にあると言うことですがどうやら県道をさらに歩いて左手の林道をたどった先らしく、少し歩いてみたものの帰りのバスに間に合わないと判断して引き返しました。