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鶏足山 けいそくさん 430.5m

低山と思えぬ素晴らしい展望

栃木・茨城県境はなだらかな里山がうねうねと続きどれがどの山かなかなか見分けがつきません。
鶏足山もそんな山の典型で、あちこちの山で山座同定を楽しむときにのその姿を見た記憶はついぞありません。
しかし登ってみると筑波山周辺の山々、日光や足尾の山々、高原山、那須の山々、さらには台地状の日立の山々、あるいは太平洋までとどく雄大な展望を得ることができます。
落葉樹林も好ましく冬の穏やかな一日、日だまり山行にはうってつけです。

関連ページ
焼森山・鶏足山周回 http://www.kimurass.co.jp/keisokushukai.htm
鶏足山 富士ヶ平山 http://www.kimurass.co.jp/keisokuakazawa.htm


           二等三角点のある南峰

          落葉樹林のなだらかな主稜線

          展望の広がる北峰
【日程】 2010年1月24日
【山域】 栃木茨城県境山塊
【天候】 快晴
【地図】 1/25000中飯

【アクセス】 北関東道笠間西ICから国道50号東行き、笠間市石井交差点を左折して益子・宇都宮方向へ。
県境(仏の山峠)を越え小貫の彫刻の森美術館の看板を見たらほどなく舗装林道右折。焼森の里の入り口が入山点。
【駐車地】
入山点は杭で閉鎖されているものの一応林道入口なので先まで進んで路肩に駐車。
【コース】 林道入口 − 県境尾根 - 主稜線 - 焼森山 - 展望岩(こだま岩) - (戻る)−鶏足山南峰−北峰−鶏石−(戻る)
−南峰−赤沢分岐−林道−上赤沢(県道)−木ノ根沢林道−駐車地
実行程約3.5時間 初心者向き
【メモ】
気分の良い落葉樹林の登路
 
さえない入山点から落葉樹林へ:
入山点は営業しているのかしていないのかわからない焼森の里の入口脇でゴミなどが散らかってちょっとスタートからパッとしない雰囲気です。
しかし、しばらく杉植林地の中をたどるとツツジの多い落葉樹に変わり、折からの柔らかな日差しもあって気分の良い道となりました。つつじの開花期にはさぞや艶やかな尾根となることでしょう。
なだらかな登りの山道はよく踏まれて歩きやすく、先もそれほど険しくないようなのですっかりのんびり気分。
さして息も上がらないうちにやがて支尾根(県境尾根)に登り着きそのままだらだらと高度を上げていくとひょっこり主稜線に飛び出します。

さらに歩きやすい尾根道をたどって焼森山へ:
尾根は広く刈り払われて桜の木が植えられています。花の時期はさらに楽しい道になるはずです。
まずは左へコースをとって焼森山へ。
わずか進むと北斜面が伐採跡となり一気に展望が広がります。さらに岩がちの尾根を一登りで焼森山頂上、素晴らしい展望です。
常陸の山々、八溝山、那須、高原山、日光連山など一望です。近くには茂木あたりの那珂川流域の里山が広がっています。
頂上からさらに尾根伝いに進むと展望岩があります。「こだま岩」と書かれた案内板が掲げてありました。
ここからは南西側の展望が素晴らしく、焼森山の展望に加え足尾の山や栃木の平野部、あるいは近景となる雨巻山、仏頂山、難台山、加波山、筑波山なども視野に飛び込んできました。また眼下の小貫の里山風景も心和みます。

那珂川沿いの丘陵の先に八溝山
 
鶏足山へ:
鶏足山を目指して尾根を戻ると主稜線は広く刈り払われていてとても歩きやすく日差しを浴びてまさに日だまり山行。ただ、イノシシが地面を掘り返した跡がたくさんあってちょっと気にかかります。
途中、芳賀富士を示す小さな案内板に気付きました。なるほどかわいい芳賀富士を見おろすことができます。
鶏足山頂上は二等三角点とベンチがあり、案内標識や山名標識など賑やかに乱立しています。展望はそれほどでもありませんが、先行の中学生の話では朝にはここから富士山も遠望できたと言うことです。
このまま直進すると茨城県側の赤沢に下山できると言うことですが、私たちは左の双耳峰のもう一方の北峰を目指しました。
北峰まではほんのわずかで、ここからも焼森山におとらず素晴らしい展望が待っていました。なんといっても太平洋が印象的です。水戸の県庁ビル、東海村の原子力施設などもよく見えます。ここが茨城県の西の境ですから県の端から端まで見通せるというわけです。目を左に転じていくとまず日立の高鈴山、電波中継塔もはっきり見て取れます。さらに竪破山、土岳、三鈷室山などが判別できますが、あとはもうなだらかな高原状で特徴ある頂は見当たらないまま八溝山の高みへと連なっています。それにしてもなんという大展望でしょう。なかなか常陸の山を一望するということはありませんのでここは得難い展望台ということができます。

鶏石
 
鶏石:
北峰からさらに2つほど小ピークを越えると鶏足山の山名の由来となった鶏石があります。
なんということもない岩で、そう見ようとすれば鶏冠に見えなくもないかなと言う程度のものです。
あるガイドブックに何をどう見たのか山頂に鶏の足跡に見える岩があるなどと記述があるためか、その記事を引き写して、だから鶏足山、という話に短絡している記事があちこちの個人サイトに散見されますが、しかし、これは見ればわかる通り間違いです。
実際は山頂にあるのではなく、それに鶏の足跡でもありません。ひいき目に見てどうにか鶏冠に見えなくもないと言う程度で、現地の説明板によればそれが弘法大師伝説と結びついているようです。
なぜ鶏石が鶏足になったのかは説明が書かれてはありませんが、発音の転化かインドや中国にある仏教の聖地鶏足山との関連からなのか、興味深いですがどうもよくわかりません。
この鶏石、裏側に回り込むとオーバーハングしてなかなかの迫力です。
ここからの眺めも爽快で、北へ続く赤松の尾根が魅力的です。
北側の並柳から入山して焼森山に登り、鶏足山からこの鶏石の尾根を縦走して下山する周回コースを一巡りできるらしく、実際そのコースを歩くグループに会いました。

茶畑・赤沢の農家
 
赤沢へ下山:
南峰まで戻ってゆっくり昼食にしました。
下山に往路を戻るのも味気ないので赤沢に降りることにしました。山頂から東に尾根をたどってから下る道もあるそうですが私たちは来た道を西に戻ってから鞍部の分岐を南に下山しました。
杉の植林地の中の作業道をジグザグに下るとすぐに林道に降りたちました。そのまま林道を下ると茶畑に出て、すぐ先で県道に出ました。県道をしばらく南進してから右に別れる舗装道が木の根沢林道、入山点に通じています。(上赤沢からは2,3箇所右に別れる道がありますがどの道も木の根沢林道につながります。)
かなりの遠回りとなりましたが、上赤沢の山里風景もなかなか得難い景色で無駄な回り道と言うわけではありません。
【便利帳】 コンビニ:笠間の石井交差点から2km弱
トイレ:山中にはありません。片庭のコンビニでお借りするか仏の山峠先の公衆トイレを利用することになります。
【収穫】(^_^; 61片 50g
他の山に比べてたばこの吸い殻がとっても多いのは普段山歩きをしない近くの皆さんが多く登るせいでしょうか。