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角田山(481.7m)五ヶ峠〜灯台コース 雪割草に逢いに

いつかはとあこがれていた雪割草(ミスミソウ)に逢ってきました。

日本海からいきなり立ち上がる角田山はその気象が大きく影響しているのでしょう、全山、花、花、花。とりわけいたる所ピンクを敷きつめたようなカタクリは圧巻で、一週間前に私の地元で小さな群落に大騒ぎしていたのがバカらしく思えるほどです。
そしてお目当てはキクザキイチリンソウと恋いこがれていたミスミソウ。共に色変わりの花にも逢えて興奮の山道でした。
さらに最後はうっすらと霞む佐渡を遠景に、角田崎灯台を目指して海に落ちこむかと思えるほどの岩稜を一気に下る豪快な道となって終わります。なんと愉快爽快な山でしょう。
また、たくさんの地元のハイカーがおらが山と思ってこよなく愛している様子がなんとも好ましく、我々が遠くからやってきたことを話すととても自慢げで嬉しそうでした。これだけ愛されている山も珍しいでしょう。また、自慢に思って当然の魅力にあふれた山でした。

関連ページ
角田山バリエーション http://www.kimurass.co.jp/kakudavari.htm

樋曽山       http://www.kimurass.co.jp/hisoyama2.html

樋曽山写真    http://www.kimurass.co.jp/hisoyama.htm

角田山小浜コース http://www.kimurass.co.jp/kakudakohama.htm

角田山桜尾根   http://www.kimurass.co.jp/kakudasakura.htm

【日程】 2001年4月14日
【山域】 越後
【天候】 晴れのち薄曇り
【地図】 1/25000角田山
【アクセス】 巻潟東ICから国道460。
じょんのび館手前で右に入って旧道の山道に。五ヶ峠までは狭いヘアピン。
【駐車地】 五ヶ峠に20台程度 角田浜には海水浴用の大駐車場
【コース】 五ヶ峠−三望平−角田山−向陽台(観音堂) −角田山−三望平−角田岬
登り2.5時間 下り2.5時間 山中6時間
(まじめに歩けば全行程3時間くらいらしいです) 

     


   登山道は角田崎灯台まで続く

【メモ】 アプローチ:
とにかく、遠い。日帰りで行く山じゃないですね。(^^;
関越道を一旦下りて越後湯沢駅で仲間と合流し、さらに関越道、北陸道と走って巻潟東でやっと高速道から開放され、国道460に入りました。この国道が路地裏みたいな狭い道でどこをどう走っているのか分からないまま角田山と弥彦山の繋がる最低鞍部が目指す五ヶ峠に違いないと適当に山間に入っていくと、あたりの雰囲気から浮いたじょんのび館という温泉施設に行き当たりました。ちなみにじょんのびとはのんびりと言った感じの言葉だそうです。
ここから旧道の山道に分かれてしばし走ると五ヶ峠。駐車場は地元ナンバーでぎっしりでしたが遠来の客のためにとっておいたかのように1台だけスペースがありました。

五ヶ峠(ごかとうげ)コースは平坦なラクチンコース:
峠脇はニリンソウ群落となっていて白い花が咲き始めていました。
登り始めるといきなりカタクリ群落。花期は既に過ぎていましたが、それでも充分楽しめます。イカリソウもあちこちに見られ、また関東では見慣れぬスミレもたくさん咲いていました。
やがて左手に思わぬ近さで海が見下ろせる様になります。相変わらずカタクリの花は続きますが、見上げればタムシバの花もちょうど開花したばかりで純白の花びらを開いていました。
尾根が右に大きくコースを変えるとキクザキイチリンソウがいよいよ姿を見せました。あるわ、あるわ、カタクリと隣り合って紫と白の競演でした。さらに目を凝らして歩くと数は少ないながら青の花びらの個体もいくつか見かけられました。

大にぎわいの角田山頂:
灯台コースを合わせるとほどなく三望平の気持ちいい芝の広場。ショウジョウバカマも見られるようになりました。そこから一旦カタクリの道を下って登り返せば山頂です。長者原山の別名の通り広々した平頂でざっと3〜400人はいるでしょうか、てんでに輪を作ってお昼のお弁当をひろげていました。まるで園地のピクニックの感があります。
にぎわう頂上は敬遠してそのまま稲島(とうじま)方面へ少し下ると住宅団地みたいな名前の向陽台、ここは大きな観音堂のある展望地で越後平野と越後の山々が一望できます。あいにく春霞でうっすら守門岳が見えるだけでしたが、それにしてもなんと大きな越後平野の眺め。

花に埋もれた灯台コース:
三望平まで戻って昼食にしてから、いよいよ核心の灯台コースの下山にかかりました。
とにかく一面のカタクリには驚かされます。ほとんど途切れることがないと言っていいくらいです。他にもショウジョウバカマ、キクザキイチリンソウ、ヒトリシズカ、イチリンソウ、イカリソウと春の花のオンパレード。
ただひとつ、お目当てのミスミソウだけは顔を見せてはくれません。行き交うハイカーに聞いてみると桜尾根コースならたくさんあるのに、とか、先々週ならすごかったのにとか悲しい気持ちにさせる話ばかりです。こりゃ来年また来るしかないかとあきらめかけた頃、純白のあこがれの花びらが大木の根本に群れ咲いているではありませんか。一株で10輪ほどもあります。そっと近づいてカメラに納めてから辺りを見回すとあそこにもここにも。それも個体毎に微妙に色や姿を変化させて競っています。株の勢いといい花弁の清らかさといい、山草愛好者に捕らわれた植木鉢のミスミソウとは別の種かと思えるほど輝いて見えます。花色も純白から淡いピンク、紫、ブルーと様々でまた花弁も丸っこいのやらすっと細く延びたのやら千差万別、なんとも不思議な植物です。
ちなみにいわゆるユキワリソウと呼ばれているものにミスミソウ、スハマソウ、オオミスミソウがありますが我々には中間種が多くて区別付きにくいですね。おまけにユキワリソウというのは本来サクラソウの一種でまったく別物ということでいっそうなんだか訳が分からなくなっています。

ハイライトの灯台下り:
花に包まれたままいつしか目の真下ほどの角度に海が見下ろせるようになると最後の岩稜下りとなりました。目指すは角田崎灯台。白い波が岩礁に砕けています。目を上げるとうっすらと佐渡が横たわっていました。なんと豪快な景観でしょう。
花は相変わらず続き、さらにツバキの鮮やかな花も加わりおまけに海岸性のハマダイコンの薄紫の群れまで楽しめました。芽吹き寸前の元気なカシワの木も印象的でした。
最後の高みを登り返して一気に下ると灯台。階段を下りて角田浜に降り立ち波に手を触れて海抜0mの感触を確かめました。

ちょっと作戦が必要でした:
初めてで不案内なため帰途がちょっと困ったことになりました。
アテにしていた登山口循環のバスが右回りだったので西の五ヶ峠に駐車して北の灯台口に下山した我々には最も効率の悪い位置になってしまいました。
やむなくタクシーで戻りましたが、次回はちょっとコース取りを考えておく必要がありそうです。


山で出会った多くのハイカー、下山口でお世話になった人たち、みんな越後の人は親切で楽しい山旅がさらに嬉しいものになりました。来年もまた角田山で花に囲まれて歩くだろうなと思いながら越後をあとにしました。

角田山花図鑑 
(クリックで拡大)

 ミスミソウ
  白花

ミスミソウ
  桃色花

ミスミソウ
  青色花

ミスミソウ
  細花弁


キクザキイチリンソウ
 青色花

キクザキイチリンソウ
 薄青色花

キクザキイチリンソウ
 白花

  イチリンソウ
 


  エチゴキジムシロ

ヒトリシズカ

 ヒメニラ

ショウジョウバカマ



ハマダイコン

ユキツバキ

 イカリソウ

エンレイソウ