目次

  地蔵岳 じぞうだけ 1274.3m

粕尾峠の南に鋭く頭をもたげる双耳峰

2005-11-27
粟野と足尾を結ぶ鹿沼足尾線(粕足道路)の峠越えが粕尾峠で、その峠付近から南に鋭い双耳峰が目立ちます。地蔵岳です。
峠を境にして北はゆったりとした横根山に連なる高原ですが、南は安蘇山塊に続く長大な尾根の始点となっています。その長大な尾根の最初の高みがこの地蔵岳で、安蘇山塊から見るとまさに山塊の最奥に位置することになります。
今でこそ横根牧場を訪れる車や足尾と粟野を行き交う車でけっこう交通量の多い道路ですが、かつてはこの峠越えは難儀でした。そのため地蔵岳は粕尾峠からわずかな距離であってもそう簡単に登れる山ではなく、行きそびれたまま忘れ物のような山になっていました。
晩秋ののどかな日差しに誘われて、その忘れ物を拾うような気分で歩いてきました。

2009-10-17
紅葉を期待して再訪しました。ちょっと時季が早かったようですが、静かな山を堪能できました。
2005年には展望地もあったのですがわずか4年で木々が伸長してしまってあまり眺めは良くありませんでした。どこの低山も同じような状況です。
【日程】 2005年11月27日
2009年10月17日
【山域】 前日光もしくは安蘇山塊
【天候】 快晴
【地図】 足尾
【アクセス】 栃木ICからなら出口交差点を左折して栃木粕尾線を尻内、星野経由で永野へ。大越路トンネルで粕尾側に抜け鹿沼足尾線を峠まで。
登山口は峠の先、足尾側です。
【駐車地】 粕尾峠に3台。
足尾側入山点には駐車地はなく、路肩空き地はカーブ地点なので駐車すると交通の邪魔になります。
【コース】 粕尾峠 − 旧登山道 − 地蔵平 − 展望岩 − 地蔵岳 − 前地蔵 − 思川源流(往復)− 新登山道 − 粕尾峠
実行程約2時間
          静かな山頂

展望岩より勝雲山

 思川源流

【メモ】  駐車場から入山して失敗:
地蔵平
駐車場から地蔵岳がすっくとそびえているのを見上げることができます。
駐車場脇から踏み跡がありますので、足尾側の入山点まで歩くのも面倒と思い、この踏み跡のルートをとりました。マーカーのテープもありよく踏まれているので大丈夫だろうと思ったのが失敗で、やがて踏み跡も薄くなりついには藪の中で見失ってしまいました。仕方なく稜線に出ると、しっかりした踏み跡があって、結局尾根の登降を繰り返す羽目になりました。
どうやら峠からの道は旧登山道のようです。最初の尾根の登降を嫌って足尾側の入山点が使われるようです。

地蔵平:
2つ高みを越すと眼の下に平坦地が現れます。緩やかなこの鞍部を地蔵平と呼ぶようです。
夏は湿地となるという話ですが、今はすっかり乾燥しています。中央に枯れた草むらがあり花柄をたくさん付けていました。草姿はハンゴンソウのようですがここまで枯れてしまうとはっきりは判断できません。
右手一段高い場所に首缺け地蔵があります。「缺」の字は初めて見ましたが、「欠」と同義のようです。しかし、初めから首が欠けていたわけではないでしょうから別の呼び方があったのでしょう。

展望岩からの眺め:
地蔵平から急登となります。ときどき大岩が現れますが、この岩質は横根山一帯の三枚石や象の鼻と似ています。地学関係の文献を読むと古峰ヶ原、横根山は花崗岩類、地蔵岳は流紋岩類となっていますが、成分は似ているそうで親戚みたいなもんなんでしょうか。ここ地蔵岳の岩体は桐生川右岸の三境山と併せて地蔵岳三境山岩体といわれるそうで、また渡良瀬川を挟んだ向こうの備前楯山も似た岩質ということです。飛び飛びに親戚筋があって興味深いです。
ちょっと傾斜がゆるんだ地点で展望岩という案内板を見るとその左が岩棚となっていて勝雲山、方塞山、横根山が眼前に広がっています。山域全体がゆったりとした高原で、かつては開拓農地でしたが今は全て離農してしまいました。
禅頂行者道の夕日岳と地蔵岳も見えます。とはいえ、展望岩と呼ぶほどの大展望というわけではなく視界はこれだけに限られます。むしろこの反対側の大岩から見る足尾の展望の方が優れているかもしれません。

静かな地蔵岳頂上:
最後は山姿そのものの見ての通りの急登で、短時間ながら大汗をかかせられます。ひょいと跳び出した頂上は石祠があるだけで雑木に囲まれていました。展望確保のためか東側が伐採されていて、先ほどの展望岩と同じ景観が得られます。
静かな山頂ですが、山名板だけは賑やかで、中には樹木に釘を打ちつけたものや鉄線をがっしり締め付けて幹に食い込んだものなどちょっとお行儀の悪いのもあり、あまり気分良くはありません。
しかし、なかで、ここまでいくつか目に触れた「TS」(「ST」というのもあり、どっちなん?)氏の架けた山名板はセンスも抜群で、控えめに「yymmddST]以外の記入がなく、また何より括り付け方も樹木の生長を見越してゆったり結んであるのが好感持てました。木製ですからたぶん数年で山の状況の変化に合わせて朽ちてなくなるでしょう。山名板を掲げるならこのくらい細やかな心遣いのものを作っていただきたいもので、自己顕示丸出しにご自分の名前を記入したのなど落書きも同然で願い下げです。

前地蔵岳:
前方に双耳峰の片割れが(ちょっとこちらより低いものの)気になります。双耳峰の片方だけ登ったのでは片手落ちですから、当然そちらにも。その片割れは前地蔵岳と呼ぶようです。この本峰と前峰の関係は標高の理由もあるかも知れませんが、むしろこの山が安蘇山塊から延々尾根をたどって最後に辿り着くべき安蘇山塊最奥の山であることを示唆しています。
前地蔵からは大萱山方面への尾根が樹間に眺められます。遠く氷室山、熊鷹山、根本山などの安蘇核心もやはり樹間に望むことができます。しかし枝に遮られて全体を展望することはできません。いつも見るのとは逆に奥から眺められる位置にあるのに残念です。

思川源流:
足尾側入山点 こちらから入るべきでした(^_^;
帰路は往路を戻ることになります。
地蔵平に「思川源流」を指し示す案内板があったので寄り道しました。ほんの数分です。大岩がゴロゴロ重なった沢で、最初の一条の水流が岩の隙間からチョロチョロ垂れていました。
あたりはなかなかいい雰囲気です。
地蔵平に戻ると草むらの中に大量のゴミ。きっと大人数のグループが休んで最後にゴミ捨て場にしたのかも知れません。中にはビール瓶まで。こいつを拾い集めて、けっこう重いんだ、これが。(^_^;
地蔵平からは往路にとったあやふやな道は避けてしっかりした足尾側の道をたどりました。前衛ピークを巻いてあっという間に自動車道に飛び出しました。
 2009-10-17
写真を追加しておきます。
 
     首欠け地蔵
 
          双耳峰南峰・前地蔵岳
 
     紅葉
 
【便利帳】 トイレ:前日光ハイランド(横根牧場)
【収穫】(^_^; おお!大収穫 ゴミ自慢 71片 2700g 重いぜ(^_^;

   分別して記念撮影(^_^;

 嬉々として結んだマーカーも結局はゴミ
地蔵岳山頂の石祠に隠すようにデカサイズのガスボンベ。振るとシャカシャカ、ガスが少し残ってるじゃないか、罰当たりの大バカ者!
地蔵平でゴミの山を見つけて一気に2.5kg。
この2カ所以外ではポリプロテープのマーカーをはずした以外ほとんどゴミはなかったのですがねぇ。
ポリプロピレンテープは糸状になって野鳥の足に絡みつくんだそうです。やめようね、おっさん。
目次