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  一切経山1949m 東吾妻山1974.7m
一切経山から見下ろす五色沼のコバルトブルーの輝き
2006-8-24
霧の流れる湖面は日の光の変化に合わせて色彩を刻一刻と変化させます。五色沼は妖しさを秘めてまさしく魔女の瞳。
一切経山から酸ヶ平、鎌沼と巡るコースは花を楽しみながら、展望を楽しみながら、のんびりと散策するには絶好のコースです。
今回は東吾妻山にも足を延ばしてみました。

2016-7-9
再訪しました。なんと一切経山には浄土平からは入山できません。噴火警戒レベル2ということで大穴火口から500mの範囲には立ち入りができず、登山道がわずかにその範囲内となってしまっています。不動沢から家形山経由で五色沼側から4時間かけて登れば登れないことはありませんが、気軽に登れる一切経山というこれまでの認識では現実的なルートと思えずとてもとても気合いが入るものではありません。(^_^;
しかたなく浄土平から鎌沼、酢ヶ平を往復してきました。

2016年7月現在浄土平から一切経山へは入山できません。
2016年10月19日より酢ヶ平経由一切経山頂上のコースは通行可能となりました。直登コースは引き続き通行止めです。(廃道)
2018年9月15日より大穴火口から1.5km内は立ち入りできません。したがって一切経山、酢ヶ平、五色沼は入山できません。
2020年6月10日より大穴火口脇を通過する直登ルート以外は通行可能となりました。一切経山へは酢ヶ平経由で入山できます。
【日程】 2006年8月24日
2009年6月14日(こちら)
2016年7月9日(こちら)
2018年7月21日(こちら)
2021年8月11日(こちら)
2023年6月18日(こちら)
【山域】 吾妻連峰
【天候】 2006-8-24晴
2009-6-14雨
2016-7-9晴
2018-7-21晴

2021-8-11晴
2023-6-18晴
【アクセス】 福島西ICからフルーツライン、磐梯吾妻スカイラインとつないで高湯温泉経由で浄土平へ。
【駐車地】 浄土平駐車場。(有料)
観光客の停車する駐車場の先に非舗装の臨時駐車場があります。登山者はなるべく臨時駐車場に停めた方が観光客の邪魔にもならず、また登山道にも近く好都合です。
【コース】 2006-8-24
浄土平駐車場 − 一切経山登山口分岐 − 一切経山 − 酸ヶ平 − 鎌沼 − 姥ヶ原 − 東吾妻山 − 景場平
− 鳥子平
(追記)浄土平から直接一切経山へ登る火口縁の登山道は閉鎖になりました。酢ヶ平経由となります。
約4時間 一般向き

2009-6-14,2018-7-21,2021-8-11
浄土平駐車場 − 一切経山登山口分岐 − 酸ヶ平 − 一切経山(往復)
約3時間 初心者向き

2016-7-9
浄土平駐車場 - 姥ヶ原 - 鎌沼 - 酢ヶ平(往復)

約2.5時間 初心者向き

            一切経山を目指す

        鎌沼から東吾妻山

             一切経山頂上

【メモ】 2006-8-24
浄土平まで一気に車で:

浄土平は標高がほぼ1600m。磐梯吾妻スカイラインを一気に車で登ってしまいますので浄土平周辺のどの山もすっかりラクチン登山です。
スカイラインは濃い霧の中を走ってきましたが、浄土平では青空も覗いて絶好の登山日和となりました。
浄土平には大きすぎるくらいの駐車場、レストハウス、ビジターセンター、天文台などがあります。昔に比べるとハイカーも観光客も減少した印象で、駐車場はガラガラでした。
登山道阿h臨時駐車場を突っ切った先から始まります。駐車場からしばらくは右に噴気口を見上げながら遊歩道をたどります。オヤマリンドウやウメバチソウなど初秋の花が盛りです。酸ヶ平と一切経山との分岐を右に取るといきなり急登が始まります。

一切経山から見下ろすコバルトブルーの五色沼:
酸ヶ平分岐を過ぎると傾斜も緩んで山上漫歩となります。左後方には鎌沼も顔を見せ、前方には目指す一切経山のドーム状の山頂が見えます。
一切経山頂上から五色沼
だらだら登りしばしで山頂です。山頂にはいくつもの標柱が林立して信仰の山であることが判ります。以前、初夏の頃に法螺貝を吹きながら山伏姿の先達に率いられた講の皆さんに会ったことがあります。
頂上はかなりの広さですがそのまま進むとガレた急斜面のその下に五色沼を見下ろすことになります。この五色沼との対面は初めての人なら衝撃と言っていいくらい印象的なはずです。霧の流れに従って変化する日の光を受けて、刻々とその色合いを変える湖面は妖しいくらいです。どなたが言い出したのか、この沼は「魔女の瞳」と形容されています。
この日も湖面を霧が流れていたため、日差しが忙しく変化して湖面は鮮やかな変化を繰り返していました。まさしく五色に変わる山上湖です。いつまで居ても見飽きることのない魅力です。
左手を急下降して湖畔に立つこともできます。五色沼を間近に見ることが出来ますし、左手の草原もクロマメノキやオヤマリンドウがたくさんあって楽しめます。しかし戻るのは一苦労です。また3、40分あれば向かいの家形山に登ることもできます。この家形山は長大な吾妻連峰主脈縦走の起点でもあります。しかし、今日のところはここまでにして鎌沼へ。

底抜けの明るさの酸ヶ平と鎌沼:
途中まで往路を戻り、分岐から右に酸ヶ平への道を下降すると立派な避難小屋とトイレがあります。さらに下って酸ヶ平の一角で浄土平から直接登ってきた道に出会います。しっかりした木道で、足下には池塘の周囲にウメバチソウやアキノキリンソウなどが咲いていました。
酸ヶ平 右前方は前大巓
初夏なら湿原の周囲をコバイケイソウの白い花がとりまくのですが、すでにこの季節では枯れた葉が倒れているばかりです。
木道をたどると湿原の先が鎌沼です。蓬莱山を1/4周するような鎌の刃の形をしています。底抜けの明るさです。向かいの蓬莱山の針葉樹林と相まって北方的景観がじつに好ましく、また振り返れば前大巓と一切経山がせり上がって眺められ今歩いた跡を目でたどることができます。
鎌沼
湖畔をしばらくたどると谷地平分岐となり、その分岐を左に取ると湖畔をたどって浄土平へ戻ることができます。私たちはここを右にとり、さらに次の分岐で谷地平への道を分け姥ヶ原へ向かいました。姥ヶ原は火山性の台地で、半ば草原、半ば矮性の針葉樹の疎林という感じです。眼前にはゆったりとしたドーム形の東吾妻山が見えます。この気分の良い原で昼食としました。

シラビソに覆われた東吾妻山:
姥ヶ原の端で十字路となり右が谷地平、左が浄土平、そしてそのまま進むと東吾妻山登路です。
うっそうとしたシラビソの樹林の中の登りですが、純林というわけではなくたくさんの樹種がある豊かな森です。その下層を背丈の高い笹が埋めていて、景観だけからいえばちょっと鬱陶しいくらいです。ツルリンドウやギンリョウソウなどを見ながらひたすら登るしかありません。
30分ちょっとの我慢でいきなりハイマツ帯となり一気に展望も広がって、見上げた姿から想像もつかないようなカラッとした乾性の頂上帯となります。もちろん大展望です。一切経から延々と西吾妻まで続く吾妻連峰主脈のたおやかな稜線が雲の中に見え隠れしていました。
ここから磐梯山方面の展望も得られるはずですが、あいにく雲の中でした。
下山もうっそうとした樹林の中です。途中、コース右手に展望台があります。(ここの道標の方向表示がちょっと勘違いしやすく、右左を取り違えてしまいました。) 展望を示す案内板によれば裏磐梯の湖沼群が見渡せるようですが、こちらも雲の中でした。

最後まで楽しませてくれる景場平:
景場平の池塘
高度を落とすに従って巨木が見られるようになります。またシラビソだけでなくコメツガも目立ちます。シラビソ、コメツガともに、のたうち回るような姿をしたこの山の主と呼ぶにふさわしい老樹をいくつも見ました。
樹林から突然平坦地に飛び出すとそこが景場平。湿地帯ですが樹木も多く、むしろ沼が次々と現れる平坦地といった景観です。霧も出てきて池塘の幻想的な雰囲気を味わうことができました。
景場平からまた一旦樹林の中となりますが、それもわずかで、ひょっこり鳥子平の自動車道に飛び出し、浄土平から車を回してくれた仲間と合流しました。

ここまで火山性のガレた一切経山から酸ヶ平の湿地、鎌沼の湖沼、姥ヶ原の火山性台地、東吾妻山の樹林帯さらに景場平の湿原性の池塘群とたどりましたが、このわずかなルートの中によくぞこれほど変化のある景観がちりばめられているものだと感心します。山のエッセンスをぎゅっと押し込んだような吾妻山、いつもいつも楽しませてくれます。

吾妻山花図鑑(クリックで拡大)

 オヤマリンドウ

 フジイタドリ(?)

 ミヤマリンドウ
 (あまな氏撮影)

 ツルアリドオシ
 (あまな氏撮影)

2009-6-14
雨と霰と雷に見舞われましたが、そのおかげで静かな一切経山を堪能できました。
一瞬だけ五色沼が姿を現しました。
浄土平ではコイワカガミが満開でした。
 
       大雪田(一切経手前)
 
        イワカガミ(浄土平)

2016-7-9
一切経山への入山ができず酢ヶ平までの往復になってしまいましたが、のんびり静かな吾妻を楽しめました。以前から浄土平から鎌沼周回コースを楽しむ人たちも多かったので短いコースにはなっでも素晴らしい景観の中を歩けてまずまず満足です。

    鎌沼

     酢ヶ平
鎌沼花図鑑(クリックで拡大)

  ハクサンシャクナゲ

   ハナニガナ

  イワオトギリ

  ヤマブキショウマ

2016-10-18
噴火警戒レベルがレベル1に引き下げられました。それに伴い一切経山への通行止めが酢ヶ平経由については解除となりました。浄土平から直接頂上へ登るルートは引き続き通行止めです。

2018-7-21

       一切経頂上から五色沼 向かいは家形山

仲間に五色沼を見てもらいたくて出掛けることすでに3回、ことごとくはね返されています。1度目は噴火警戒レベルが引き上げられて入山禁止、2度目は雨で会津小旅行に急遽変更、3度目はピーカンにもかかわらずスカイライン上部で積雪があって通行止め、なんという不運続き、お祓いでもしないことには五色沼が姿を見せてくれることはないのかも。
しかし、明けない夜はない、晴れない山はない、という通り4回目にして女神は待つ者に微笑んでくれました。やっと眼下に魔女の瞳と称される五色沼のコバルトブルーの湖面を見てもらうことができました。どうにか言い出しっぺの面目を保つことができてめでたしめでたし。
折しも下界は災害級の猛暑でしたが暑さ知らずの山上漫歩を楽しむことができました。
この日特筆すべきはおびただしい数のアキアカネ。どこからこんなに集まってきたんだと不思議なほどです。こうまで多いとアフリカのバッタの襲来を思い起こして不気味なほどです。ただ、アキアカネが登ってくると東北や越後の山で悩みの種のブユがいなくなるのがありがたいです。きっとアキアカネが食い尽くしてしまうのかもしれません。

   浄土平から一切経山(大穴火口)

   一切経山登路から振り返る吾妻小富士

一切経山花図鑑(クリックで拡大)

 マルバシモツケ

 オニノヤガラ

  ヤマサギソウ

  オオシラビソ

2021-8-11
いつものコースで
一切経山から見る東大巓(ひがしだいてん)方面の山々

いつものコースで一切経山から鎌沼を歩いてきました。
霧の中を登って頂上でパッと晴れ上がるという願ってもない展開で初心者の同行者には印象的な山になったと思います。こんなことが山を好きになるかどうかの分岐点になるようで最初の頃に雨にたたられたりするとそれっきり遠ざかっちゃうなんてケースも多いですからね。
鎌沼から姥ヶ原経由のコースで下山しましたが姥ヶ原は昔の笹原と低木の景観からかなり変遷して樹木が生長してそろそろ樹林の平坦地と化しつつあります。
ホシガラス

2023-6-18
かわいい花を愛でながら:
一切経山付近には花の大群落は見られませんが小さな花を探しながら登るのも楽しいもの。

  アカモノ 

 ミツバオウレン

 チングルマ
【便利帳】 トイレ:浄土平、酸ヶ平避難小屋
【収穫】
(^_^;
2006-8-24 102片 390g 
2016-7-9  9片 90g
2018-7-21 12片 20g
2023-6-18 5片 20g
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