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  氷室山 1125m
氷室山・宝生山・十二山・熊鷹山と繋いで旗川源流を半周する珠玉のコース
安蘇山塊核心部には自然林に覆われた美しい沢がいくつかあります。桐生川源流の根本沢、旗川上流の小戸川と大戸川、旗川支流彦間川などです。これらの沢筋は新緑の季節には山肌にヤマザクラ、見上げる稜線にアカヤシオ、ミツバツツジなどが咲き、また沢筋の林床はニリンソウ、スミレ、ネコノメソウなど春の花々に覆われます。
前夜の雨も上がり気持ちよく晴れた一日、旗川源流越路館沢から氷室山に登り、宝生山、十二山、熊鷹山とたどってきました。旗川源流は春の花に包まれ、また稜線は自然林の林床をミヤコザサが被って素晴らしい景観を楽しむことができました。
【日程】 2006年5月3日
【山域】 安蘇山塊
【天候】 晴れ
【地図】 1/25000沢入
【アクセス】 佐野市旧田沼から野上方面、作原経由で学林口まで。
蓬山で大戸川、小戸川の分岐があります。右折して大戸川方面へ。
【駐車地】 学林口で通行止めとなっていますが、その先の工事中道路分岐まで入り込んでいるようです。数台駐車できます。
しかし、学林口と西沢口に広い駐車場がありますので、こちらに駐車した方が無難です。(写真は工事中道路分岐)
歩いてもわずか10分ほどの違いです。
【コース】 駐車地 − 白ハゲ口 − 三滝上部氷室山分岐 − 宝生山分岐(越路館沢) - 参道稜線 - 氷室神社 - 氷室山
− 宝生山 − 十二山 - 熊鷹山 - 西沢口
約7時間 健脚向き

       ニリンソウの咲く旗川源流はまるで庭園のよう

   
         奥白根山、錫ヶ岳遠望

 
          のびやかな稜線の自然林

【メモ】
ふかふか落ち葉に緑のシャワー・越路館沢
珠玉の旗川源流から氷室山:
小滝を重ねて流れる旗川の源流部は新緑を透して光が溢れうっとりするほどでした。飛び石で渡らなければならない箇所もありますが、全体優しく、自然の中に浸りきった気分にさせてくれます。
ニリンソウ、ネコノメソウ、スミレ、フタバアオイ、ヒトリシズカ、コチャルメルソウなど春の花がいっぱいです。
距離はあるもののさして急登もないままやがて宝生山分岐に着きます。ここはニリンソウとネコノメソウが絨毯のように一面を埋めています。しかし、ニリンソウには数日時期が早かったようです。ここで左の小尾根を登っていく宝生山への踏み跡を分け、越路館沢方向へ右の踏み跡をとりました。さらに沢を詰めて頭上に稜線が近い徴のミヤコザサを認めると一旦戻るような方向に斜面を登ってすぐに稜線の道に合流します。この稜線の道は氷室神社の参道らしく、尾根を辿らずに水平道となっています。旧氷室村は葛生の奥になりますからきっと葛生側から登ってきた道なのでしょう。昔からよく踏まれた道のようでとても歩きやすく、両脇には檜が植えられています。参道をわずかたどるとやがて氷室神社です。春の祭礼が執り行われた直後らしい様子でした。
氷室神社
山頂は神社の裏手になります。はっきりした道はありませんが、下草もまばらなので適当に高みに登ると山名板がありました。しかし、どうもその北側の高みの方が標高が高いようです。神社裏だからこちらを氷室山とするか、あるいはこのあたりの最高峰を氷室山とするか、そもそも氷室山の呼称は一ピークの山名ではなく氷室神社一帯を総称した山名ですから、山名板を掲げるのはそぐわない気もします。

足尾山塊の展望:
氷室神社の南から足尾山塊と奥日光の展望が広がっています。やや木々が邪魔していますが、ちょっと灌木帯に入り込むと広い展望を得ることができます。袈裟丸山群から皇海山を経て白錫尾根までの長大な国境稜線の雄大さを一望できる貴重な展望地です。

宝生山から十二山までの稜線散歩:
氷室山から一登りで宝生山頂上。アカヤシオの咲く静かな頂上です。ただ、今年のアカヤシオは昨年の異常なほどの咲き具合の裏年ということでちょっと寂しい花着きです。
宝生山から一旦大下りすると長丁場の尾根歩きとなります。自然林とミヤコザサ、足下にはちらほらフモトスミレ、タチツボスミレ、エイザンスミレなども咲くとても明るく美しい尾根です。旗川源流とともにこのコースの白眉のポイントと言っていいかもしれません。
たぶん昔から氷室神社に通じる参道を兼ねた山道だったようで、尾根を辿ることなくほとんど水平道となっていますので快適にピッチをあげることができます。
そろそろ十二山も近いかな思う頃、黒坂石方面へ降る分岐が現れます。道は稜線の東側直下ですので気をつけないと通り過ぎてしまうかも知れませんが、ひょいと稜線の西側に出るとここが絶景の展望地、足尾、日光の大展望を広がっています。むしろ先ほどの氷室神社の展望地より大きな展望です。笹の中を黒坂石へ一筋道が下り、その向こうに椀名条山の稜線、そしてその先に雄大な袈裟丸山群、皇海山、庚申山、奥白根山、視界の端には男体山まで展望できます。この稜線を歩いてこのポイントを外してしまっては楽しみも半減というところです。

勝手を知った熊鷹山への道:
丁目石
十二山で根本山、熊鷹山を結ぶ登山道に飛び出します。さすがにハイカーも多くなりますが、それもそのはず、5月3日は根本神社の例祭日です。
道脇にはいくつも丁目石が見られ、古くからの信仰の蹟を見ることが出来ます。
あとははいつものなだらかな稜線歩きしばしで熊鷹山の360度大展望。全体春の靄がかかってはいるものの存外遠望が効いて安蘇山塊ぐるり手に取るよう。佐野、足利、栃木の安蘇前衛の山々を一望するにこれほど絶好のポイントは他にありません。しばらく低山の同定を楽しみました。

下山路を違える:
自然林とミヤコザサ・西沢口への下山路

山頂には西沢口を指し示す標識がありますが、以前旧田沼町でいただいた古いマップ(「山と滝MAP」)に従ったのが誤りでした。西沢口への下山路は小戸川への下山路の途中から別れるように記されていましたのでまずは小戸川への下山路をとりましたが、そんな分岐はなくどんどん小戸川の沢へ下降してしまいます。仕方なしまたしばらく戻り途中からトラバースして尾根に登るとちょうど熊鷹山南東尾根から下降する地点でした。コースは熊鷹山から展望櫓の脇を通って尾根通しにつけられているようです。(新しいマップは修正されていました。しかし合併により旧田沼町で発行していた「山と滝MAP」は手に入らなくなってしまいました。)
この下山路も自然林が美しく、途中白樺林などもあり最後の最後まで楽しめます。
しかし、とても残念なことに大戸川源流部は大規模な林道工事の最中でコンクリートの法面が嫌でも目に入ります。この山域の桐生側の林道の無惨な姿(http://www.kimurass.co.jp/isikamo.htm)を見ればわかるとおり、この林道も造るなり崩壊するんでしょうか。
沢筋の花(クリックで拡大)

 ハルトラノオ

  ヒトリシズカ

 コチャルメルソウ

フタバアオイ(あまな氏撮影)

ニリンソウ(あまな氏撮影)


             足尾山塊の展望


【便利帳】 トイレ:蓬山ログビレッジ、蓬莱山、学林口、白ハゲ口
コンビニ:田沼 市街から先にはありません
【収穫】(^_^; 大収穫 2.3kg 249片 ずっと手にぶら下げてると、重いんだ、これが(;_;)
【寄り道】 蓬山ログビレッジ:お蕎麦、バーベキュー、風呂
天然水:林道脇に蓬莱水、宝生水など湧き水が何カ所かあります。(沢にゴミを投げ捨てないようにフェンスが張られているのはなんとも情けない光景です。きれいな自然水は飲むけどゴミには無頓着なんですね。)
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