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花瓶山 はなかめやま692m

イワウチワが群れ咲く尾根

花瓶山のイワウチワ、話には聞いていたものの実際に出会うとその群落の大きさは想像以上で、思わずうっとりでした。
ほかにカタクリ群落も自然のままの姿を見せてくれますし、沢筋にはニリンソウ、キクザキイチゲなども顔を見せてくれてまさに花の山です。
ほぼ全山ヒノキやスギの植林地でハイカーの目で見ると凡庸な低山ですが花の季節にだけパッと変身するというそんな感じでしょうか。
またよく手入れの行き届いたヒノキ、スギの人工林もその関係の方たちには一見の価値ありかもしれません。


      花瓶山頂上
     如来沢の小滝
【日程】 2016年4月9日
【山域】 栃木茨城県境山域
【天候】 快晴

【アクセス】 東北道矢板ICより国道4号に出て北上し、箒川を渡ったら(野崎橋)すぐに側道に入ってそのまま国道461号に。
美原交差点で右折してバイパス経由で大田原市街地をかすめ黒羽へ。
黒羽は道が折れ曲がって少々わかりにくいですが、まず那珂橋西で右折して那珂橋を渡りあとは曲がりくねった箇所もあくまで国道をたどれば街を抜けられます。
唐松峠先で国道が分かれますがここは直進の大子方面へ。(県道大子黒羽線)
さらに雲巌寺・大子の分岐がありますので右の大子方面へ。明神トンネルを抜けてから如来で林道へ向けて左折します。
すぐに左右に分かれますが左方向を示している小さな案内板に従って左折し、あとは道なりです。
如来沢ダムを過ぎるとうつぼ沢出合い、付近に2箇所ほど駐車可能地があります。
【駐車地】
うつぼ沢出合に2台、50mほど先のゲート前作業広場跡に10台ほど。
作業広場はガイドブックなどで木材搬出用のため使用しないようにとの記述のある広場です。既に使用していないのか登山者の車でいっぱいでした。
【コース】
駐車地 - 林道 - 取り付き - イワウチワ群落
- 向山 - 大倉尾根 - 花瓶山 - 下山路
- 花瓶沢 - 林道 - 駐車地

全行程 5時間(休憩含む) 一般向き
【メモ】
登山道にはみ出すイワウチワ
いきなりイワウチワ:
駐車地からゲートをすり抜けて林道をわずかに登ると左斜面に這い上がる踏み跡があります。ここが登山口です。いきなり急登ですがすぐにイワウチワとご対面となるので息を切らすようなことにはなりません。早速カメラを取り出してパチリパチリとなりますからさっぱり歩は進みません。
とにかく大きな規模の群落で斜面のずっと下の方まで淡いピンクの花が続いています。
花の大きさは雪国のそれと比べてやや小振りですがその代わりこちらは数で頑張っているのでしょうか。あたり一面イワウチワ、イワウチワ、イワウチワです。
薄暗いヒノキの植林地がこの季節だけパッと艶やかに着替えたというわけです。
登山道にまではみ出しているので足の置き場には細心の注意が必要です。
傾斜が緩くなるとイワウチワも一旦終わり尾根にたどり着きます。
左に折れて尾根を少しだけ進むと向山頂上です。このあたりはずっとよく手入れの行き届いたヒノキ植林地ですが、山遊びの私たちには少し退屈です。

        イワウチワ


陽差しを受けて全開のカタクリ群落
大倉尾根:
いよいよ長い尾根の縦走です。
展望はほぼないに等しいのですがその代わりにイワウチワの群落が点在していて私たちを楽しませてくれます。さらに尾根の後半にはカタクリ群落が次々と現れてここでもさっぱり先へ進めません。
イワウチワにしろカタクリにしろかなりの規模の群落ですがまったく自然のままの姿です。これが簡単に来られる場所なら盗掘に会うか柵に囲まれ遊歩道が出来てしまうか、とそんなところでしょうがアプローチの大変さと歩程の長丁場とに守られている感じです。それは花々にもそれを楽しむ私たちにも幸いなことです。
もう一つ、大倉尾根の魅力は時々出会う巨木です。全体ヒノキとスギの植林地ですがその中に(特に稜線で)とてつもない巨木が混じっていてびっくりさせられます。それはブナであったり、ツガであったり、ミズナラであったり、シデであったり、クリであったり、アカマツであったり、と多種多様な樹種で、どれも腕の一抱えではとてもとても足りないほどの太さです。植林以前のこの山域の様子を伝え残しているようです。
以前林業家の方に聞いた話ですが稜線近くに落葉樹を残し斜面の谷側に針葉樹林を育成するのがよい森林だそうです。ここでは針葉樹が尾根まで達してはいるものの多少ともこの林業家の話に近い植林地のようです。

花瓶山:
大倉尾根は小さく緩い登降を繰り返しながら徐々に標高を上げていよいよ花瓶山に達します。
ブナ
最後に大登りして花瓶山です。しっかりした道が頂上を巻いて続いていますが頂上は左手に登った先にあります。この付近は道が複雑で方角をしっかり把握しておく必要がありそうです。頂上は山名板がにぎやかですが樹林に被われていて風当たりも強いので素通りして少し先の巨木の多い尾根分岐で昼食にしました。
花瓶山の先ではさらに巨木が多い気がします。
この先に次郎ブナがあるらしいですが私たちはここまでで引き返し如来沢へ下山ルートをとりました。
少々長い林道歩き: 
ミツマタ群落

下山点は笹に被われていてちょっと分かりにくいですがこのあたりに他に下山コースはありませんので間違えることはないと思います。
滑りやすい沢とも道ともつかないようなコースですがすぐにしっかりした道となりそのまま下れば林道に出ます。ここまで車が入れるようで複数の車が駐車していました。
ここから延々と林道歩きが続きます。とはいえ退屈なばかりではありません。ニリンソウ、ハナネコノメ、スミレ、キクザキイチゲ、ミチノクエンゴサクなど春の花が楽しい道でもあります。
途中斜面の上方にミツマタの群生がありました。山に生育しているミツマタでもかつて山中で栽培したものが起源という例が多いですのでここも天然とは断言できませんが少なくとも現在は自生地と考えていいかもしれません。
如来沢そのものは水量も多くはなくあまり魅力的とは言えませんが、2,3箇所だけ小滝がありました。見上げる斜面の落葉樹は芽吹き直前の淡い緑やあずき色の微妙な変化を見せていました。
駐車地に戻ったときには既に3台のみになっていました。




      芽吹き前

花瓶山の花(クリックで拡大)

  カタクリ

  キクザキイチゲ

  ニリンソウ
【便利帳】 コンビニ:大田原が最後です。
【寄り道】 鮎:黒羽には鮎、ウグイなどを扱う川魚店が多くシーズンなら那珂川産の天然ものが購入できます。
【収穫】(^_^;  48片 170g

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