目次

  米山 992.6m
日本海を見下ろす展望とブナの森の新緑、春の花々
新潟のどの山に登っても必ずと言っていいほどその秀麗な姿を遠望することができる米山。一度は登ってみないと。

思っていた以上に素晴らしい山でした。米山は花の山です。オオイワカガミ、ムラサキヤシオ、スミレサイシン、ショウジョウバカマ、ユキツバキ、シラネアオイ、イカリソウなどなど、そのたびにカメラを構えながらですからなかなか足がはかどりません。そして圧倒されるブナの森の山です。芽吹き直後の淡い緑がもこもこと盛り上がっています。さらに眺望の山です。頂上から見下ろす日本海はまた格別。なんとももりだくさんの山でした。麓から見上げる秀麗な姿もあって、見てよし、登ってよしの山です。
またさらに歌ってよしなのかも知れません。そう、三階節で知られた米山は「さん」付けで呼ばれているとおり地元でとても愛されているようです。挨拶を交わすハイカーはほとんどが地元の方(雪国の山で残雪期はみなさん長靴ですからすぐにわかります。)、そして私たちが遠来のハイカーだと知ると親切に話しかけてくれました。
【日程】 2006年5月14日
【山域】 新潟
【天候】 曇りのち晴れ
【地図】 1/25000柿崎
【アクセス】 北陸自動車道米山ICから国道をわずかに走り米山トンネル先の大平入り口(信号なし)左折、道なりに走ると大平集落。集落内に登山用駐車場があります。ここから歩いてもいいのですがさらに奥まで入れます。集落を通り抜けて電波塔への道を右に分け左の林道を進むと登山口。
【駐車地】 登山口前の路肩が広くなって数台駐車可能。
【コース】 駐車地 − ロマンスヒル(二の字) − 711m峰 − ブナ林 - ガンバレ岩 - 米山(往復)
約5時間 一般向き

       柏崎から見上げる秀麗な米山

         下山途中から見上げる頂上
 
          刈羽黒姫山

【メモ】
ブナの森
いきなり花、花、花:
最奥の大平の集落は春の花に囲まれて静かなたたずまいです。
大平からほどなく、米山大平コース登山口。私たちが着いたときにはすでに数台の車が駐車していましたが、有名な山の割には意外に少ないなぁという印象です。あまり有名すぎて山好きに敬遠されてしまっているのでしょうか。
林道はさらに上部まで続き、終点から一気に頂上に達するずるっこのコースもあるようです。
登山道を歩き始めるといきなりスミレ、イワカガミ、ムラサキヤシオが迎えてくれました。カタクリはすでに実をつけてしまいましたが、ほぼ春の花総出でお出迎えという感じです。
ここのイワカガミはオオイワカガミのようで、でっかい葉を拡げています。不思議なことに標高が高くなるに従い葉はどんどん大きくなるようで、初め直径10cmほどで驚いていたら頂上直下ではその倍20cmくらいもあってほとんどお化けイワカガミです。
花になぐさめられながらとはいうものの登路は木の段の連続できついきつい、頂上までの間に平坦な場所はほんの2,3カ所あるのみでひたすら高度を稼ぐルートになっています。麓から見上げるピラミダルな姿からして、それも当然ですが。
最初の休憩適地はロマンスヒルと呼ばれる広場、地元では二の字と呼んでいたと小さな標識に書かれていました。(この手の標識が山頂まで点々と結びつけてあります。しかし、地点の呼び名などは大いに役立ちますが、続けてああせいこうせいの大きなお世話が書き込んであって、なんだかなぁ。)
さらに一登りで711m峰、上越(柿崎)の海岸と水田地帯の展望が大きく広がっています。ここから平坦な尾根(でも両側は切れ落ちているやせ尾根)を辿るとブナの森へと導かれます。ここのブナは巨木こそありませんがちょうど青年期の元気なブナで、森全体を淡い緑で包んでいました。しばし見とれてしまうほど圧巻です。
ところがブナの森の優しさは景観のみで、登路は一気に高度を上げる急登の連続です。(帰路ではこの急坂に加え木段が滑りやすく気が抜けません。)

大展望の頂上:
ブナの森を抜けると急登から解放され、残雪の上を歩くようになります。林道最奥からの登山道を合わせるといよいよ頭上に避難小屋が見えます。
この林道からのコースは最短で頂上を踏むことができますが、俯瞰した限りまだ途中の林道は雪に埋もれ通れそうにありません。見たところ谷側に崩落の痕もあってかなり無理な工事の様子が見て取れます。もうこの標高には人工林もないのでなんのための林道か疑問を感じます。
最後にスミレの咲く灌木帯の一登りで待望の頂上に飛び出しました。頂上は小広く、最高点に一等三角点と米山薬師、前後に避難小屋とトイレがあります。展望も得られず風も寒いのでひとまず小屋に退散しました。小屋は2階建てで広くて清潔です。ここで日本海の漁り火など見下ろしながら一夜を明かすのも一興かもしれません。
昼食を終えて小屋の外へ出ると今まさに霧がとれたばかりでぽっかりと刈羽黒姫山の展望が開けていました。まったく不案内な山域で、刈羽黒姫山さえ地元ハイカーに聞いてなるほどと言うようなありさまですが、さらに尾神山、城山など近隣の山々や柿沢ダムとそのロックヒル堰堤
裾を落とした先は日本海
の石を賄った石切山も教えていただきました。
周辺の山々を眺めているうちに徐々に霧が上がって海岸線、遠く弥彦山方面、上越国境などもうっすら認めることができました。さすが一等三角点峰です。秋のくっきりした遠望を得られる時期に再訪したいものです。

下山は往路を戻る:
車がありますので下山はまた往路をそのままたどりましたが、喘ぎ喘ぎの登りでは気付かなかった花を楽しみながらの楽しい下山となりました。
しかし、急坂に加え、濡れた木段が滑りやすく気が抜けません。仲間も何度かすってんころりとやってしまいました。
711m峰やロマンスヒルから見上げると高度感のある頂上を青空の中に見上げることができ、おお、けっこう頑張って登ったなぁと満足な気分になりました。そして、頂上直下のブナの森の見事さと沢筋に光る残雪のまぶしさ、雪国の春の山に登るといつもこんな幸せ感に浸ることができます。
帰途、海岸沿いの国道から見返したその端正な米山の姿にはほれぼれしました。最後の最後まで楽しませてくれた米山でした。
米山花図鑑(クリックで拡大)

 イカリソウ

 キクザキイチゲ

 ムラサキヤシオ

オオイワカガミ

シラネアオイ

ユキツバキ
【便利帳】 トイレ:頂上
コンビニ:米山ICから登山口までにはありません
【収穫】(^_^; 180g 31片 新潟の山はどこもきれいです
 目次