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立岩 たついわ 1265.8m

圧倒される岩壁もスリリングな縦走路もすべてガスの中 
初冬の展望を楽しもうと立岩に出かけました。しかし霰も降るあいにくの天候で、星尾から見上げる豪快な岩壁もすっかり雲の中。登路のスリリングな鎖場や足もすくむ切れ落ちた尾根道も濃いガスの中なのですっかり迫力が感じられません。
でもそれはそれで幽玄な景観ではありました。
下山途中、威怒牟畿不動へ参拝する団体に会いましたが、今もなお信仰を集めているのですね。
【日程】 2002年12月1日
【山域】 西上州
【天候】 曇り/あられ
【地図】 1/25000荒船山
【アクセス】 上信越道下仁田ICから下仁田経由で南牧村に入り羽根沢で生涯学習センター前を右に折れ、星尾の集落を抜けるとどん詰まりが駐車地。
【駐車地】 駐車場はありませんが車道の行き止まり付近は路肩が広く10台くらいは駐車可能です。
【コース】 駐車地−ガレ下ベンチ−トラバース−尾根−西立岩−荒船分岐−威怒牟畿不動−駐車地
実行程約3.5時間 一般向き
      線ヶ滝

【メモ】 あいにくのガス:
星尾の集落を前景に仰ぎ見る立岩の姿は岩峰のひしめく西上州にあっても特異な存在と言うほかありません。なんと豪快な自然の造形。しかし、今日はあいにく上半分の頂稜部がすっぽりガスの中、ここで歓声を上げる段取りでいたのに、仲間たちに見せてあげられず残念無念。
星尾を過ぎるとやがて線ヶ滝、ここは帰りに寄ることにしてさらにわずか走ると車道は行き止まりとなりそこが駐車地となっています。沢にかかる橋を渡り植林地をしばしたどると道が二分して、右に南コース、左に北コースと分かれます。周回するなら鎖場がややきつい南コースを登路に取った方が楽かもしれません。
分岐から右にコースを取るといよいよ本格的な登りとなりますが、道は良く整備され特に急登ということもありません。

問題は落石の多いガレ場と怖いトラバース:
トラバース
植林地からイヌブナやカエデの優勢な林になるとほどなく擬木の階段が現れます。なかなかきつい登りです。あたりはきれいな林で紅葉の頃は黄色に染まりますが、すでにすっかり落葉してびっしり落ち葉を敷きつめた斜面がこれはまたこれで気分良いものです。
道が大岩に阻まれるようになると左にガレが現れ、これをロープや鎖の助けを借りながら直登することになります。狭い岩の間を真っ直ぐ登るので落石があると避けようがないかもしれず、緊張させられる場所です。どうにか登りにくいガレを登り切ると右に折り返すように鎖を張ったトラバースが待っています。これがなかなか高度感もあり慣れないとそうとう怖い目に遭うコース一の難所かもしれません。トラバースは左に回り込むように続いていますがはじめの20mほどを通過してしまえばあとは楽なもので、ほどなく尾根に飛び出します。ここから右に登ると展望ピークがありますが、この先いくつも同じようなピークがありますし、今日はガスで何も見えないことでもあるし私たちは先を急ぎました。

尾根に出てしまえば快適な道:
ルートはなぜか一旦右に尾根をはずしてから、湿っぽい北側斜面を這い上がるようについています。たぶん尾根づたいでは断崖に阻まれて通過できないのかもしれません。
所々藪をかき分けると展望ピークに出ますが、晴れていれば足もすくむような小ピークも今日はガスのおかげでなんと言うこともありません。仲間たちに言葉で説明しても全然迫力なし。おまけに霰も降り出して先を急がないとひどい目に遭いそうな空模様です。最後の梯子を越えると西立岩頂上。あまり広くはありませんが、ベンチもあり昼食の休憩にはちょうど良いようです。
ここから見る荒船山へかけての岩峰群は(特に紅葉時には)豪快そのものですが、ガスのために残念なことこの上なく、仕方なしごちそうの方に楽しみを移してゆっくり休憩しました。空ももちそうな気配です。

下山の北回りコースも楽しい道:
下山はすぐ隣の展望ピークから鎖に助けられながら一旦北側の斜面に出ます。このあたりはヒカゲツツジが多く、花時期には楽しいかもしれません。
やがて尾根に戻ると右には木の間越しに毛無岩方面の岩峰群が望まれ、こちらもじつに豪快です。以前この毛無岩に遊んだことがありましたが、右に左ににょきにょきと岩峰群が頭をもたげ特異な景観に圧倒されたものです。このあたりが西上州の核心と言っていいかもしれません。
しかしこちらの我々の道は左右は急峻ですが、尾根は平坦で快適そのもの。途中鎖のピークを越えなければなりませんが見たほどには危険もなく難なく通過できます。
鞍部に下ってそこから藪が覆い被さった道が尾根通しに続いていますがそれは荒船山方面への道で、私たちはコースを左に折れて良く踏まれた道を下山します。

朽ちかけた威怒牟畿不動:
倒壊寸前の威怒牟畿不動

「いぬむき」あるいは「いぬむぎ」と読むようです。
植林地の中を下ると右手大岩の下に朽ちかけた堂を見出すことができます。か細い道が通じていますのでそちらに行ってみると、大岩はオーバーハングして、ちょうど堂がその下に案配よく納まっています。そして頭上からは滝というにはちょっと水量が足りませんが、それでも先ほどからの小雨を集めて目の前をザーッと滴のカーテンのように落下して、なんとも不思議な光景を見せています。これが晴れていれば水滴に陽がさして虹が浮かび、まさに威怒牟畿不動の鎮座するにふさわしい神秘的な場所だと理解できるのですが。
とはいうものの今や堂は朽ちかけて倒壊寸前。近寄るのも危ないありさまです。かつてはかなり盛ったという話ですが、現代ではなかなか維持もままならないのかもしれません。
しかし、怒牟畿不動から下山にかかるとすぐ数十人の団体が登ってくるのに出会いました。ハイカーにしてはまちまちの服装と足ごしらえです。聞けばが長野県から怒牟畿不動にお詣りに来たと言うことでした。途中の石塔には次々にろうそくが灯っていました。今も信心で登る皆さんがいらっしゃるのですね。

線ヶ滝は一見の価値:
登路の南コース分岐に戻るとほどなく駐車地ですが、そのまま200mほど進むと右手に線ヶ滝を覗くことができます。なるほど線ヶ滝、途中に邪魔物がなく一直線に落ちています。鉄製の螺旋階段で滝壺前まで下りることができます。
【便利帳】 トイレ:線ヶ滝前
【収穫】(^^; 大収穫(^^; 
490g、約105片。