目次
木曽駒ヶ岳(2956m) 三ノ沢岳(2846m)

大展望の木曽駒ヶ岳 遅咲きの花いっぱいの三ノ沢カール

三ノ沢岳は中央アルプスの主脈から木曽側に派生するやや独立峰的ともいえる静かな山です。喧噪の千畳敷〜木曽
駒ヶ岳のルートの至近にある山とはとても思えないような静かさが魅力です。また西千畳敷、三ノ沢カールを従え
た花の山でもあります。さらに、柔和に思えるような木曽駒ヶ岳の平坦な稜線も、実は急峻な斜面の上に乗っかっ
ている豪快な山だと実感できる、そんな角度から見上げることのできる特異な位置にある展望台でもあります。

夏の終わりの好天の日、木曽駒ヶ岳と三ノ沢岳を結んで歩いてきました。
御来光を迎えた木曽駒ヶ岳からは360度の大展望が我が物にできました。北に槍ヶ岳と穂高岳を盟主とする北ア
ルプス全山、西に間近く朝日に輝く乗鞍岳と木曽御岳山、東に南アルプス全山と八ヶ岳、そして南には空木岳、南
駒ヶ岳から遠く恵那山までうねうねと続く中央アルプスの峰々、なんという大きな眺めでしょう。
三ノ沢岳は静かでたくさんの遅咲きの花に埋もれ、さらには豪快な展望を満喫でき、本当によい山でした。この日
もわずかなハイカーに会うのみで、自然がいっぱいのこの珠玉のルートを存分に楽しみました。


  宝剣・天狗岩を前景に三ノ沢岳を望む

  孤高を守る三ノ沢岳の勇姿

【日程】 2000年8月26,27日
【山域】 中央アルプス
【天候】 快晴
【アクセス】 中央高速道駒ヶ根ICを下りて右折、数分走ると萱の台駐車場。
ここからバスに乗り換えしらび平へ。さらにロープウェイで千畳敷。
ロープウェイ駅舎を出るとそこは千畳敷カールのど真ん中。
ロープウェイは大混雑です。シーズン中は2時間待ちは覚悟しないと。
【駐車地】 萱の台に大駐車場。さらにその先の黒川平にも大駐車場。
バスは駒ヶ根発の他、シーズン中は萱の台発臨時が出ますので萱の台からでも座れます。
【コース】 千畳敷−稜線(乗越浄土)−天狗山荘(泊)−中岳捲き道 - 木曽駒ヶ岳 - 中岳 - 宝剣岳
- 三ノ沢岳分岐 - 三ノ沢岳 - 極楽平 - 千畳敷
(一般向き 混雑のため1日目に木曽駒に登れませんでしたので2日目がちょっときつい)

【メモ】 覚悟はしていたもののロープウェイはすごい混雑:
シーズンはすでに終わったかなと思ったのが甘かったようで2時間待ち。そう簡単にラクチン登山はさせてくれないということでしょう。
おまけに旅行社の団体バスは予約を入れているらしく後からやってきて先に乗ってしまうのでたむろしている順番待ちの人数がなかなか減りません。でも、団体のみなさんのおかげで私たちもラクチンの恩恵にあずかっているんだと思えば、腹立ちも幾分かはまぎれるというものです。

千畳敷カール、本来素晴らしいところなんでしょうが:
スピーカでがなりまくるのはやめてくれぇ。観光客だって自然を満喫したくてここまで来るんですから。
今年は雪が遅くまで残ったのでしょうか、まだまだ花がいっぱいです。モミジカラマツ、ウサギギク、ヨツバシオガマ、ミヤマトリカブト、次から次へと現れて歓声を上げているうちあっという間に稜線の乗越浄土に達してしまいました。
混雑のおかげで大幅に遅れて予定していた木曽駒ヶ岳は2日目に。(残念に思ったこのハプニングが結果的には木曽駒での御来光と大展望のご褒美となってかえってきました。)

稜線漫歩:
夜起きだして外に出ると満天の星空。何年かぶりに仰ぐ天の川が感動的でした。
翌朝は朝食を弁当にしてもらい薄明るくなるや出発して木曽駒ヶ岳へ。
三ノ沢岳より見る木曽駒ヶ岳、中岳
中岳は捲き道をとりましたが、これが岩の多い道で思ったほど近道ではないことが判りました。でも豪快な宝剣沢上部を横切るのですからなかなか楽しい道です。
東の空の赤く染まる速度が加速するのにせかされ一気に頂上に達すると、ほぼ同じ瞬間に朝日が顔を出しました。何度見ても感動的な山の日の出です。
振り返れば木曽御岳がピンクに輝いています。展望は見えるべき山はすべて見えるまさに360度。とりわけ槍ガ岳と穂高岳が印象的でした。また南アルプス全山が見渡せるのも感動です。ぐるり見回すと、これが日本の3000m峰のほぼすべてというわけです。これから目指す三ノ沢岳がピラミダルな優美な姿を間近く見せていました。

初心者にはびっくりの宝剣岳通過:
展望を心ゆくまで楽しんでいよいよ今日の長い行程の始まりです。
まず中岳で摩利支天様に今日の無事をお願いしました。個人的な話ですが私の両親はなぜだか摩利支天様を信仰していたので私も他人とは思えない神様です。なんだか女の神様だというのに戦争の神様らしく,女だてらに勇ましいですね。両親はお詣りする際に剣を納めるとか言ってよくブリキで剣をこしらえては持っていきました。ここの摩利支天様にもでっかい剣が奉納されています。
さて、いよいよ宝剣の登り。要所には鎖があって特に難儀はありませんが、さすがに昔は難なく登った頂上の大岩は年齢による平衡感覚の衰えを自覚して敬遠しました。
宝剣山頂から極楽平までは何度か転落事故も起こっています。今回は初心者の仲間もいるので慎重にも慎重に時間をかけて通過しました。山は2回目と3回目という仲間もこれで一般コースなら怖いものなしです。(^^)

三ノ沢岳:
極楽平手前の分岐を右にとって三ノ沢岳を目指すと、いきなり静かな道となります。咲き残りの花とハイマツの絨毯、右に豪快な宝剣沢、左に優美な西千畳敷に源を発する三ノ沢、目の先は端正な三ノ沢岳、なんと贅沢な道でしょう。
大下りの後2つほどピークを越えると左に三ノ沢カールが現れます。ここは早い時期には花で埋め尽くされますが、さすがに晩夏とあってはちょっと寂しいお花畑でした。それでもウサギギク、チシマギキョウ、ウメバチソウ、トウヤクリンドウなどまだまだ楽しむことはできました。
山頂直下を左に巻き込むようにしていよいよ大岩の重なる三ノ沢頂上。この花崗岩の上に座って木曽川筋を見下ろすのはなんとも気分が良く、何時間いても飽きない眺めです。でも帰りの混雑も心配で、30分ほど山頂のひとときを楽しんで惜しみながら頂上を後にしなければなりません。
来るときの最初の大下りが当然ですが帰りには大登りとなるわけで、一汗かかせられます。
極楽平ではちょっと遅くなったものの、可憐な特産のコマウスユキソウがたくさん咲いていました。このあたりはトウヤクリンドウも多く典型的な砂礫地の植物相を呈しています。
極楽平からは30分の下りで観光客のあふれる千畳敷です。
木曽駒ヶ岳・三ノ沢岳 花図鑑(クリックで拡大)

 コマウスユキソウ

 イワベンケイ

 ミヤマホツツジ

ミヤマコウゾリナ

 トウヤクリンドウ
【寄り道】

雨でも降って登れなかったら萱の台の地ビールなんかいいかも知れません。
帰りの食事ならインターを突っ切って2kmほどの右側にあるレストランパオがおすすめです。エビフライ、味はともかくそのでかさが半端じゃないです。

【便利帳】 トイレ  :稜線に出ると小屋のトイレは有料です。ロープウェイ駅で済ましておいた方が。