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  坂戸山  さかとやま 633.9m

カタクリ大群落と上越国境の展望台
(2007-4-30)
坂戸山は六日町の裏山です。山全体が街のシンボル的存在の城跡であるためか六日町の皆さんにこよなく愛されているらしく、トレーニング姿で駈け登る人や空身の散歩スタイルの人たちで賑やかです。地元の方の話では毎週どころかほとんど毎日登るという猛者もいらっしゃるようで1000回登頂を果たした人もいるとのことです。
しかし、どこにもある城跡とちょっと趣は異なります。なんと言ってもかなりの標高差があるし、うれしいことに花の多さや展望の雄大さから言っても裏山の城跡という語感とはまるきりかけ離れた印象の歴とした登山対象の山なのです。
ここはカタクリ群落で知られています。特に桃の木平と呼ばれる頂上直下の平坦地と頂上先の大城小城付近の群落には圧倒されます。新潟のカタクリを見ると関東辺りで柵に囲まれて保護されたカタクリ畑同然の群落など見る気にもなれませんが、とりわけここの群落はすさまじいばかりです。ほかにもタムシバ、イワウチワ、イカリソウなど花の密度が濃く、花好きにはうれしい山です。
また、頂上からは特筆に値する第一級の展望を得ることが出来ます。右手苗場山から始まって平標山・仙の倉、谷川岳、三国川源流の丹後山、大水上山、兎岳、中ノ岳、八海山、権現堂山、守門岳、さらに遠く粟が岳まで残雪の山々が一望、そして見上げると間近に金城山と巻機山が高々と聳えています。岳望好きにもとびきりうれしい山です。

なお、六日町にはカタクリ名所が多く、六万騎山、飯綱山、坂戸山、八海山麓の順に時季を受け渡しながら次々と咲きますのでどこかで満開のカタクリに会うことが出来ます。

(2012-5-2)
各地とも天気が悪く、その中で新潟地方だけが雨を免れる予報だったため急遽雪の解けた坂戸山再訪になりました。
まだ雪解け直後で、最大のカタクリ群落地・桃の木平は雪の下でした。しかし、頂上付近のカタクリ群落は半分ほど開花していて充分楽しめました。さらに、下山路とした城坂コースは至るところカタクリだらけで、ほかに幾種類ものスミレやイカリソウ、エンゴサクなど花いっぱいでした。


(2014-5-4)
また残雪の大展望を見ようと再訪しました。
ユキグニミツバツツジ、タムシバの花付きがすこぶるよくてびっしり咲き競っていました。もちろんカタクリもイワウチワもイカリソウも花付きがよく、楽しい一日となりました。
【日程】 2007年4月30日(こちら)
2012年5月2日(こちら)
2014年5月4日(こちら)
【山域】 新潟
【天候】 2007-4-30快晴
2012-5-2 薄曇り
2014-5-4 快晴
【地図】 1/25000六日町
【アクセス】 ちょっと判りにくいです。(地図参照)
六日町IC出口左折、R17に出て六日町市街中心部へ向けて右折。市街中心部(駅入り口)で六日町大橋へ左折。R291を左折、すぐ狭い道を右折。ぶつかったら左折、道なりに右折して駐車場。
むしろ中心部で六日町大橋への道をやり過ごして坂戸橋へ左折した方がわかりやすいようです。坂戸橋を越えてぶつかったら左折、後は道なりで右折して駐車場。
【駐車地】
2007-4-30
神社前の登山口駐車場に十数台。
満車なら手前のディスポート南魚沼に駐車。現場に案内図があります。
2012-5-2
登山口駐車場は雪に覆われて使用できず、近くに臨時の駐車場がありました。(地図の*印)
【コース】 駐車場 - 薬師尾根 − 坂戸山 − 小城 −大城 − 坂戸山 − 桃の木平 − 城坂コース − 駐車場
実行程約2時間半 初心者向き

    小城付近からタムシバに囲まれた頂上を見る

    むせるような新緑の城坂コース下山路

【メモ】
(2007-4-30)
良く整備された薬師尾根コース:
駐車場から右手に登るコースが薬師尾根です。良く整備されて歩きやすく、登山というより公園を歩く気分です。道沿いには桜が植えられていてお花見の時期はきっと楽しい道でしょう。
登山者のほとんどは地元の皆さんらしく、トレーニングウェアで駈け上る人、ウォーキングスタイルの人などほとんどの方はちょっと裏山へという雰囲気で空身のままです。私たちのようにザックを背負って歩いているのはいるのはむしろ少数派です。
左右に石仏を見ながらひたすら一本調子の登りをこなすことしばしで、眼下に六日町の市街を見下ろすようになり、目を右手にやれば飯士山の鋭鋒や白く雪を残した苗場山などの展望を得ることが出来ます。

花の多さにビックリ:
山道らしくなるとイワウチワ、タムシバ、ミツバツツジ(ユキグニミツバツツジ)が迎えてくれます。イワウチワ群落は規模も大きくまたかなりの密度です。タムシバはこの尾根では残念なことに遅い雪にやられて花弁が傷んで茶色に変色していました。(頂稜部ではきれいな開花を見ることができました。)
寺が鼻コースを併せ、一旦傾斜が緩んで尾根が左に折れるとエチゴキジムシロやイカリソウ、タチツボスミレの大きな群落、そしてたくさんのタムシバがちょうど満開で賑やかです。
最後に鎖場を登ると待望の坂戸山頂上です。

城跡の頂上:
頂上には富士権現が祀られていて、その脇に三角点が申し訳なさそうに設置されています。
頂上一帯には空堀跡が見られ、山城であったことは素人目にもはっきり見て取れます。

八海山と中ノ岳
頂上のさらに先に尾根が続いていて、小城、大城と呼ばれる平坦な高みがあり、そちらにカタクリ群落があるというので足を延ばしました。なるほど圧倒されるほどの群落でした。やや盛りは過ぎていましたが、それでもたくさんの花が尾根を艶やかに覆いつくしていました。 

三国川源流をとりまく山々・丹後山、大水上山、兎岳、中ノ岳
この大城はカタクリもすごいのですが、それより圧巻はぐるり上越国境の名山に囲まれてそれらを見上げる展望です。三国川(さぐりがわ)を隔てて対峙する八海山、のしかかるように聳える金城山と巻機山、そして三国川源流の丹後山、大水上山、兎岳、中ノ岳が壁のように白く立ちはだかっています。さらに右にやや遠く苗場山、平標山、仙ノ倉山、谷川岳、左に遠く唐松山、権現堂山、守門岳までも一望です。
とりわけ三国川源流を真正面から見る位置にあるため丹後山から中ノ岳に至る上越国境(向こう側は利根川源流となっています。)の贅沢な眺めはこの山ならではの景観です。
しばし時間も忘れて岳望を楽しみました。 

金城山(中央手前)と巻機山(左奥の真っ白な峰)
 
 

桃の木平カタクリ群落
 

城坂コースもカタクリ、カタクリ:
頂上まで戻り、下山路は城坂コースをとりました。
頂上巻き道には珍しいショウジョウバカマとカタクリの混生群落があります。
裏坂戸登山道を分ける地点が最後の八海山方面展望地で、ここからはときどき六日町を見下ろしますがおおむね谷を下るように登山道が造られています。
杉木立を抜けると桃の木平の平坦地で、一帯がカタクリで埋め尽くされています。ちょっと言葉にならないほどの圧倒的な景観です。これほどの群落はそうお目にかかれるものではありません。
桃の木平から一気にジグザグを切って高度を落とします。この広い谷はスミレやイカリソウが多く、最後まで楽しませてくれます。
家臣屋敷跡を経て駐車地まではほんの一投足です。

2007坂戸山花図鑑(クリックで拡大)

イワウチワ

イカリソウ

ユキグニミツバツツジ

ミチノクエンゴサク

カタクリ白花

タムシバ

(2012-5-2) 
一部は雪の下でしたが今年も全山花、花、花:
例年になく雪の多い冬だったため10日ほど前にはこの六日町近辺はまだ一面の雪でした。ネットで得た情報では坂戸山頂上付近は5,60cmもの残雪があると言うことでした。しかしこの一週間で一気に暖かくなったため田圃の雪はすっかり消えて見上げる坂戸山も沢筋に雪が残っている程度です。
とはいえ、駐車場は雪に埋もれて臨時駐車場が近くに設けられていました。やはりこの冬はすさまじいほどの豪雪だったようです。
坂戸山山頂付近から守門岳
薬師尾根はすでにカタクリの最盛期を過ぎていましたが代わってイワウチワが満開でした。濃いピンクから純白までそれぞれ花色は少しずつ違いがありますがいずれも清楚できれいな花です。
頂上直下にはイカリソウとスミレの群落が見られます。

大城の大展望:
頂上からタムシバの咲く尾根をたどると大城です。カタクリ大群落が半分ほど開花していました。残りの半分は雪の下です。
ここからの展望は素晴らしいの一語です。とりわけ八海山と三国川源流の山々は圧巻です。
遠く弥彦山も見えました。ちなみにこの坂戸山と弥彦山は同じ標高634mです。スカイツリーの高さと同じと言うことでちょっと話題のようです。
城坂コースを下る:
大城から頂上まで戻り、下山は桃の木平を経由して城坂コースをとりました。
桃の木平周辺のカタクリ
 

残念ながら途中の桃の木平は雪の下でした。それでも周囲の雪解けの進んだ場所にはごっそりとカタクリが芽を出し、道の脇は満開のカタクリが惜しげもなく咲いていました。
あとは急峻な下山路を花を楽しみながらたどるだけ。登山道の脇にはイカリソウ、ナガハシスミレ、エイザンスミレ、ミチノクエンゴサク、キクザキイチゲ、エンレイソウなど次から次、ほんとうに花の多い山です。
下山してひょっと小さな看板を見たら崩壊の恐れがあるため城坂コースは登らないように注意書きがありました。(^_^;

2012坂戸山花図鑑(画像クリックで拡大)

  イカリソウ

  エンレイソウ

  イワナシ

  イワウチワ

  ナガハシスミレ

  ショウジョウバカマ

  タムシバ

  キクザキイチゲ

(2014-5-4) 
花付きが半端じゃない:
春の山の花が楽しみで登っている身としては前年も前々年も多くの春の花の花付きがイマイチで残念でした。しかし、今年はその分を取り返すようにどこの山でもたくさんの花が咲き誇っています。
きっと坂戸山のタムシバもカタクリも見応えあるだろうなと期待しての再訪です。
また今年も薬師尾根からのルートを取りました。
さっそくユキグニミツバツツジの密生した花群が急登を慰めてくれました。さらにタムシバも稀に見る花付きでそれらがちょうど旬でこれ以上の白さはもうないくらいの白さで咲いていました。足下にはイワウチワやイカリソウ、これらも例年とは比べようもないくらいたくさんの花をつけていました。
2014坂戸山花図鑑(画像クリックで拡大)

 ユキグニミツバツツジ

 イワウチワ

 ミチノクエンゴサク

  タムシバ

 ヤブツバキ白花

 カタクリ(桃の木平)

いつもながら感動の大展望:
八海山

混雑する頂上は素通りして小城、大城へ。頂上からはタムシバの咲く平坦な道をたどります。
突端の大城からはぐるり残雪の山々に囲まれたすばらしい展望が広がっています。八海山、越後駒、中の岳を真正面に望む特等席に腰を下ろしてゆっくり昼食にしました。次々に登山者がやってきてはすぐに戻っていきますので細切れながら静かな時間もあってそんなときには大景観を独り占めした気分になれました。至福のひととき。

【便利帳】 トイレ:駐車場
【収穫】(^_^; 2012-5-2 18片 190g
2014-5-4 16片 20g