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唐倉山(1176m)南会津にひっそりたたずむ岩峰
南会津の山々は交通事情が良くなったといえ関東からはまだまだ遠い山域で、あまり知られていない珠玉の山がたくさんあります。その南会津の中でも隠れた存在の唐倉山に登ってきました。
麓のカヤトから見上げるとかわいい岩峰で難なく登れそうに思えましたが、山頂目前のトビツキ岩で無念の撤退となりました。
でも麓のカヤトといい、スリル満点の岩稜といい、また大岩を捲く急な北斜面の雪との格闘といい、実に楽しい山でした。
まあ、あの岩稜も通って通れないこともなかったのですが、季節の良いときにまた雪辱戦を挑むことにして、今回のところは見逃してやろう。(^^;
(一般ハイキングコースではありません。)
【日程】 1999年11月27日
【山域】 南会津
【天候】
【地図】 1/25000会津山口
【アクセス】 塩原から国道400号、121号をとつないでまずは会津田島へ。さらに針生、駒止トンネル経由で南郷村山口。さらに伊南川に沿って北上、木伏から林道木伏椿平線に入りほどなく左に木伏椿平線を見送り林道木伏線に入って1kmほどで登山口。
【駐車地】 林道の左手上に広場を見るとそこが駐車地、登山口。
20台くらいは駐車できます。トイレもありますが戸締めとなっていて登山者用かどうか不明。
【コース】 駐車場 - カヤト - 旛岩下部−稜線−旛岩捲き道−裸岩−御柱岩−トビツキ岩
     −裸岩−南側下山コース
実行程約3.5時間強 ベテラン向き
唐倉山頂
カヤトから唐倉山頂を望む
旛岩
たちはだかる旛岩
御柱岩不思議な御柱岩

【メモ】 気分の良い登山口:
駐車地の先には最近では珍しいカヤトが広がり、正面に唐倉山を見上げて、それは気分の良いところです。山懐で風もなくぽかぽかと日溜まりになっていました。この八久保沢一帯はその地形が生み出すやさしい気象から姥懐と呼ばれているそうです。
見上げる唐倉山から左に延びる尾根は豪快な旛岩から始まり次々と岩が連なり、一方正面には頂上まで突き上げる斜面が二次曲線の様に次第に急峻となって、頂上直下ではほとんど垂直の壁のようです。小さいながらも実に豪快な楽しそうな山です。

のっけから考え込むような踏み跡の乱れ:
カヤトから落葉樹林帯に入りテープを頼りに徐々に急になる踏み跡をたどりますが、旛岩の基部でテープを見失ってしまい(実は下山時にテープの位置が低いことに気づいたのです。)、ままよと旛岩を左に捲いて尾根にとりつきました。じつはこれが失敗の始まり、当然旛岩は越えられませんのでせっかく登った尾根から今度は前夜の雪に白く覆われた北斜面を悪戦苦闘して捲くことになり、再び稜線の裸岩に登り返したときにはすでに登山口から1時間弱を要し、おまけにパンツは腐植土で真っ黒の情けないありさま。

展望の稜線:
裸岩からの展望は小気味よいものでした。なんと言っても伸びやかに尾根を広げる会津駒と双耳峰の燧岳が圧巻です。北隣に延々と広がる駒止山群の大きさもまた雄大です。一方、北に広がる会津の山々や南に高い県境の山群は不案内な私にはどれがどれやらさっぱりです。それにしてもこの山深さ。
そして眼下には尾根の北斜面が寒々と雪に覆われ、南斜面は暖かそうな樹林とカヤトが広がって初冬の妙な光景です。また灌木混じりの稜線には時々ゴヨウマツの巨木が現れ、これがとても姿よく印象的でした。
進むほどに次々とスリリングな岩が現れ息つく間もありません。最初に現れた御柱岩は不思議な景観でした。巨大な柱状節理が崩れたような岩が積み重なって行く手を阻んでいます。岩の前には幣が奉納されて、たぶんご神体でしょうか、いかにも神宿る岩の感じです。
尻の穴がむずむずするような岩場をいくつか越えて頂上も目前となったあたりでトビツキ岩と呼ばれているらしい岩場に出くわしました。何の用意もしていない上に人数も多い我々にはどうやら危なくて越えられません。時間のこともあり、ここは断念して引き返すことにしました。状況を判断してきっぱり引き返す、なんと勇気のある私たちなんでしょう。なぁんて、どうにもちゃらんぽらんな私たちはちょっと障害があるとすぐあきらめてしまうんです。

下山もまたスリリング:
登りがおっかなびっくりですから降りはもっとスリリングです。なんとか御柱岩まで戻りやっと一息つくことができました。それまで息つく間もないほどの急峻なトラバースと岩の連続で、お昼もしていないことに気づき、ここで簡単なティータイムとしました。頂上を踏むことなくとも気の合う仲間同士愉快に歩けたことに満足なひとときでした。
裸岩からは登路にたどった尾根道を捨てて、目印テープに従って一気に南に下る逆落としの踏み跡をとりました。落ち葉に埋もれているせいで、ほとんど滑り落ちるようにあっという間にカヤトの原まで降りてしましました。あたりは冬の日を包み込むような地形です。こんな山深いところにあまり人に知られることもなく心休まる場所があったのですね。
駐車地からまた頂上を見上げて、再来を期したのでした。

寄り道:
山口まで戻って山口温泉「きらら289」でゆっくり汗を流しました。